2019年のバンコクの不動産市場は? (その1)

今年に入り、1月、4月と東京、名古屋、大阪、福岡、仙台で海外不動産セミナーに講師として参加したのですが、その際にニュースレターを作成して配布しました。タイの最新不動産ニュース、不動産市場動向、おすすめ物件といった構成なのですが、こちらに掲載しておきます。

今後は四半期毎に作成する予定です。



※ニュースレター1号(2018年12月発行)



※ニュースレター2号(2019年4月発行)

ニュースレターでも記している通り、2019年のバンコク不動産市場は低迷する、と警鐘を鳴らしてきましたが、実際最近発表されているあらゆる不動産市場データをそれが現実化している事を裏付けています。

2019年に入り、中国市場の鈍化、銀行ローンの厳格化、総選挙実施による景気先行きの不透明感等が重なったのが主な理由、というのが一般的な見方ですが、それらは波のように打ち寄せてきたやや一過性の要因というべきものであり、根底にあるのは2018年に入り顕在化してきたバンコクの不動産市場の潮目の変化であると僕は考えています。

そこら辺の事を一貫して訴えてきたという事実は、このブログの読者の皆様にはご理解頂けるものと確信しております。

一応、関連する過去ログのリンクを貼っておきますので、時間のある人はご一読下さい。

参照過去ログ:
割高感が拭えないスクムビットのプリセール物件価格

プリセール物件がリセール物件より高い、といったねじれ現象

価格のねじれ現象 (その2) Noble Ploenchit(ノーブル・プルンチット)は現在も販売中???

価格のねじれ現象(その3)今年のSell Before Transferの目玉は昨年と同じプロジェクトという世にも不思議な物語

価格のねじれ現象(その4)根底にあるのは不動産市場の変化

2019年のコンドミニアム市場は低迷か?(その1)

2019年のコンドミニアム市場は低迷か?(その2)

現実と分析の狭間で

結構な文書量になってしまうのですが、読んで頂ければ今に至る流れが明確に理解頂けるかと思います。

加えて、冒頭に掲載したニュースレターの内容、前回まで特集した賃貸人気物件ランキングも読んで頂ければ、より理解が深まる事と思います。

2019年に入ってのコンドミニアム市場動向ですが、先ずはColliersから2019年第一四半期の統計情報が出ているので見てみましょう。

下図は新規発売のコンドミニアムユニット数のグラフです。


※バンコクコンドミニアム、四半期毎の発売ユニット数(出典:Colliers)

過去最大の発売ユニット数となった2018年第三四半期22,579戸、それに準ずる第四四半期20,881戸から2019年第一四半期は8,953戸と半分以下に留まっています。過去ログ:現実と分析の狭間ででも書いたように、異常な状況にしか僕の目には写りませんでした。

2018年後半の状況は、慣性の法則のように、走ってしまうと止まらない、惰性の中で産まれた結果だと思っています。CBDにおいては日系ディベロッパーとの合弁事業によるプロジェクトがその中核を担っていますが、堰を切ったように横並びで海外に進出して巻き起こすこの状況は、バブル時代に押し寄せた海外不動産投資ラッシュ時の記憶がデジャブとなって思い起こされます。

下図は2019年第一四半期のエリア別のユニット発売数ですが、CBDは全体の12%に留まっています。


※バンコクコンドミニアム、エリア別発売数、2019年第一四半期(出典:Colliers)

Eastern Fringeはプラカノン〜ベーリン間辺りと見ていいでしょう。19%の結果。

着目すべきはOuter City(バンコク郊外)の割合が62%に及んでいる事です。

下図のコンドミニアムの価格別発売ユニット数を見て下さい。


※バンコクコンドミニアム、コンドミニアムの平米単価別発売ユニット数、2019年第一四半期(出典:Colliers)

5万バーツ以下28%、5〜10万バーツ37%がOuter City、10〜15万バーツ16%、15〜20万バーツがEaster & Northern Fringe、20〜25万バーツがCBDとなるわけです。

販売不調への対応として、ディベロッパーは低価格コンドミニアムに方針転換を行なったものと見受けます。5万バーツ以下が28%という数字がそれを如実に現していますが、安いといっただけでこういったものに手を出すと怪我をします。

次回に続きます。

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