2019年のコンドミニアム市場は低迷か?(その1)

12月11日付けのバンコクポストに2019年の市場予測が掲載されましたが、興味を引く内容が一部ありましたのでご紹介します。

現地外資系不動産大手Colliersによると、バンコクでは2018年1-11月の間に152プロジェクトで合計63,594ユニットの新規発売がありました。この数値は30年間で最高記録との事です。

四半期毎で見ると、2018年第四四半期の新規発売は49プロジェクトで合計23,800ユニットになる見込みで、これはマークしたばかりの第三四半期の最高記録を塗り替える形となります。

過去ログ:2018年後半、バンコクCBDのコンドミニアム市場総括プリセールラッシュに入る2018年後半のバンコクコンド市場を再度参照願います。

最高記録となった第三四半期は47プロジェクトで22,579ユニットでしたので、微増ではありますが、間違いなく記録更新となります。

気になるのは、販売率です。第三四半期は31%で、前期の58%、前年同期の47%の実績から大幅ダウンとなったのは、上記の過去ログで説明した通りです。

売れ行きが良く無いにも関わらず、ディベロッパーは更なる販売攻勢に出ている事に訳です。不思議ですよね?

如何なるディベロッパーの思惑が背後にあるのでしょうか?

1.2019年4月1日より始まるホームローンの引き締め
現状借り手によってバラつきはあるものの、タイ人は物件購入の際に価格の100%近くまでローンを組む事が可能となっています。タイ中央銀行はこの引き締めに乗り出しており、来年4月1日からは、10ミリオンバーツ未満の不動産に対し90%まで、10ミリオンバーツ以上に対して80%までと厳格化する事を金融機関に義務付けます。実際のルールはもう少し入り組んだ内容なのですが、そのうち機会があれば詳しく取り上げたいと思います。

2件以上の購入をするタイ人は勿論少なく無いので、この引き締めは販売を鈍化させる大きな要因となるディベロッパーは見ています。特に10ミリオンバーツ未満の物件は上位中間所得層の購入者が多い為、現金を用意できる場合が多い10ミリオンバーツ以上の市場に比べてより大きな影響を受けるものと予測しているようです。


※導入予定のホームローン規制内容

2.総選挙による景気下振れリスクへの懸念
2019年2月24日に総選挙が実施される見込みとなっていますが、2014年5月のクーデターから5年弱もの時を経ての民生移管となります。政情不安、景気の下振れリスクは当然ながら警戒されるところです。

3.中国人による投資の鈍化
今までも何度か言及しましたが、外資系大手CBREによると2017年は外国人のコンドミニアム購入の42%は中国勢(中国28%+香港14%)が占める結果となりました。
そしてこの中国からの買いがすでに鈍化傾向にあるようです。背景にはアメリカと中国の貿易戦争による景気悪化があるらしいのですが、確かにそこら辺は想像に難くないところですね。
2019年は更なるスローダウンが進むものと推測されます。


※2017年国別タイへの不動産投資 出典:CBRE

確かにタイコンドミニアム市場は、否定的要因に包囲されてしまっているように見受けます。

2019年のタイコンドミニアム市場は暗雲立ち込める中での船出となりそうですね?

ディベロッパー側には、否定的な要素を巻き起こす時限爆弾が爆発する前に1ユニットでも多く捌いてしまいたい、といった意識が強く働いていると見て間違い無いかと思います。

話は変わりますが、中国からの投資に関して、更に面白い記事を見つけましたので、次回紹介したいと思います。

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