価格のねじれ現象 (その2) Noble Ploenchit(ノーブル・プルンチット)は現在も販売中???

前回書いた、「プリセール物件がリセール物件より高い、といったねじれ現象」に関連した内容として、今回はノーブル・プルンチットを紹介します。

 

※Noble Ploenchit(ノーブル・プルンチット)

当ブログでも何度もご紹介した、BTSプルンチット駅に直結する一等地約15,000平米の広大な敷地に建てられた、14・45・51階の3タワーから成る全1,444ユニットの巨大プロジェクトです。全室プライベートエレベーター、全長45メートルのスイミングプール、噴水や池をあしらった広大なガーデンスペース等が揃うスーパラグジュアリーグレードとなっています。

駅を挟んだ向かいにはオークラホテルとオフィスビルから成るパークベンチャー、ワイヤレス通りを渡ればセントラルエンバシーとパークハイアットの複合ビルが近未来的でそびえており、更に最近これまたユニークな外観のクルンシー銀行本社ビルが完成し、プルンチット通りとワイヤレス通りの交差点はスタイリッシュビルのランドマークとなっています。加えて、クルンシービルを除き、全てがプルンチット駅とスカイブリッジで結ばれていますので、利便性の高さも際立っています。

このプロジェクトは2016年暮れに竣工済みで、既に3年目を迎えていますが、実はまだ登記されていない物件がディベロッパーより購入可能となっています。「完成して2年以上も経つのにまだ売っているの?」と大抵の人は感じるでしょうし、何らかの欠陥があるか、よっぽど人気のない物件なのでは?と思ってしまうのではないでしょうか?

ただ、ノーブル・プルンチットは立地の良さ、豪華ファシリティなどの条件も整っている為プリセール当初から飛ぶような売れ行きでしたし、完成後の賃貸人気もトップクラスです。

では、何故まだ完売してないの?

疑問は深まるばかりです。

1年ほど前に書いた「タイのコンドミニアム珍百景」でも、その辺の事情を書きましたが、先述したように実はまだディベロッパー在庫が残っているというのが根源的要因となっているようです。再度ディベロッパーのHPを確認しました。下図の概況報告書を見ると、確かにTower A〜Cの1〜3ベッドルームにはSOLD OUTとは書いていません。つまりは現在に至ってもプリセールからの在庫を抱えている事になります。これは最近になってベールアウトした表記ですので、「もう隠すのは止めよう。」と襟を正した表れなのかも知れませんね。

 

※ノーブル・プルンチット 概況報告書(FACT SHEET)

これであの珍百景に合点が行きました。

思い出して見ると1年半程前のこと、懇意にして頂いているお客様に、「ノーブル・プルンチットの登記前リセールは買いですよ〜。」とお勧めしたところ、「現地に足を運んでユニット見てきたけど1ベッドで15ミリオンバーツ以上のものばかり。プロジェクトは気に入ったけど高いので今回やめとくよ。」と2、3日後に電話がありました。

登記直前のリセール市場では、平米21〜25万バーツぐらいが相場でした。ですので、お客様の話と合致しません。

ノーブル・プルンチットの1ベッドは45平米〜ですので、そのお客様の見せられたユニットは平米単価30万バーツ以上だった事がわかります。又、その頃僕自身は完売したものと思っていたので、高いリセール物件ばかり見せられたのだろう、と考えていましたが、実際はディベロッパーのスタッフにプリセール物件を紹介されたのが事実だったようです。

つまり登記期間中の頃は、プリセール物件がリセール物件より高い「ねじれ現象」を起こしていた訳です。ですので、その頃はより安価なリセール物件が主に取引されていました。その状態が長く続き、コンドミニアム珍百景に繋がったというのが事の顛末です。そして、珍百景を書いた当時の1年前よりはその数は減ったものの、いま現在もわら半紙を貼られたままのユニットは100件をゆうに超えています。

ノーブルは3ヶ月半ほど前から在庫一掃を目指し、平米235,000バーツ〜のキャンペーン価格を打ち出しました。ちょうどその頃からわら半紙ユニット減少が加速したと記憶しています。

 

※ノーブル・プルンチット、キャンペーン広告

Park24とは事情が異なり、フェーズ2といった完成時期の違うプロジェクト内物件が存在するといった制約事項がないノーブル・プルンチットは、マーケット価格を真摯に受け止め、適切な価格調整をする事により在庫が掃けない局面を打開したわけです。

プロジェクト売り出し当初は平米16万バーツ~であったわけですから、平米23.5万バーツのボトムプライス設定は十分に飲める見直しだと常識的には思えるのですが、2012〜16年のコンドミニアム販売絶頂期に育まれた一等地巨大プロジェクトにかける思いは大きく、当事者にとっては苦渋の決断であったのかも知れません。

現在フェイスブックで売りに出ているリセールユニットを見ると平米28万バーツ以上となっています。登記済みユニットで大半は内装、家具付けも為されていますが、随分上がったな、というのが実感です。様々なHPにリスティングされている物件に比べて、僕がよく見ているファイスブックの販売グループにリスティングされる物件は本気売りのもの多く、勿論例外もありますがその値付けは信頼できるものが大半です。

 

※フェイスブックで売り出し中のユニット広告

ノーブル・プルンチットでは家具などはもちろんの事、キッチンユニットや洋服ダンスなどすら含まれていない状態で引き渡しのユニット設定ですので、妥当な価格差と言えます。底値23.5万バーツのユニットは2階など眺望最悪の物件ですので、適当な条件のものであれば26万バーツぐらいはするものと考えるべきでしょう。

これは飽くまでも推測ですが、今後ノーブルは、条件の極端に悪いユニットの場合は底値から値引きしてでも在庫一掃を図って行くものと思います。

現在のパーク24に見られるようなねじれ現象で一時は在庫が大きく残ったノーブル・プルンチットですが、市場と適切に向き合う事によりパーク24とは大きく違う結論に至ったのです。

プルンチット駅直結という稀有なプロジェクトですので、今後大きな景気後退でもない限り大きく値を下げる事はないでしょうし、あったとしてもそのような事態が起きる最後の物件の一つとなるのではないかと推察します。

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