在庫一掃セールで気になるプロジェクト (その3)

前回に続き、アシュトン・アソーク登記前物件在庫一掃セールのお話です。

既に1年半前に登記開始となったにも関わらず、今以て在庫を抱えているか背景に関して前回説明しましたが、実はもう一つ大きな理由があります。

1998年6月登記が可能になると、再びアシュトン・アソークの転売市場は活性化しました。ヨシダ不動産においてもそのご数件の物件を転売仲介しています。

当然転売仲介をするに当たっては、所在階、向き、広さ、間取り、そして価格を比較してより条件の良いユニットを抽出して顧客に紹介するわけですが、その際にはディベロッパー(厳密に言えば子会社のThe Agent)以外にも転売希望のオーナーにも個人ベースで広くアプローチをかけます。

転売市場に関しては、価格はオーナーが自由に設定しますので、全くと言っていいほど統一性がなく大きなバラツキがあります。ですので、より高層階で条件のいいユニットがそれより条件面で劣ったユニットよりも価格が安いといった状況はごく一般的に起きてしまいます。

個人オーナーも当然転売市場には気を配っている筈ですので、何でそのような現象になるのか全く持って不思議に思ってしまいますが、実はオーナーによりその思惑が個々違う事が背景にあります。

オーナーによって、
(1)決済資金がないので、どうしても転売しなければならない
(2)決済資金は手当てはできているが、〇〇の価格であれば転売したい
と転売理由は大きく分かれます。

アシュトン・アソークのようなCBDラグジュアリー物件は(2)の方が多いと推察しますが、その場合、転売できなかった場合の利回り希望額、キャピタルゲインで確保したい利益等々の尺度に個人差があり、市場相場はある程度分かっていても全てを見通しているわけでもないので、どうしても価格設定に差異が生じるのです。

タイでも不動産ポータルサイトは急ピッチで進化浸透していますが、日本に比べればまだまだですし、5〜10ユニットをプリセールでバルク買いするような高齢者はそのような情報以上に自己の勘所に呪縛されていたりします。

話が長くなりましたが、ヨシダ不動産が転売する際にユニットを調べると、いつも条件のいいものは個人オーナーが出している物件でした。ディベロッパーが販売するキャンセルされ差し戻されたユニットは、いつも費用対条件において劣っていた為、仲介物件候補から外さざるを得なかったケースが多かったのです。

2019年後半からは個人オーナーの転売物件も既に売れた、又転売を止めて登記してしまった為に在庫は転売市場から時間と共に消えて行きましたが、ディベロッパー直とディベロッパーが転売希望のオーナーから預かっている在庫は未だ残っており、それが現在の在庫一掃セールとなっているわけです。

前回も書きましたが、6.99・7.39・7.69・7.79ミリオンバーツの価格で合計16ユニットを販売していますが、その一部をご紹介します。全て1ベッドルームユニットです。

1)12階 31.31平米 6.99ミリオンバーツ 平米単価223,251バーツ

アシュトン・アソークの居住階は11階からですので低層階となりますが、西側は高い建物がない為に眺望は綺麗に抜けています。リビングと寝室が壁で完全に間仕切られている人気の無いタイプの間取りとなっています。

2)24階 33.31平米 7.39ミリオンバーツ 平米単価221,855バーツ

中層階西側で眺望はより高くなるのですが内角凹部分のポジションにある為、左方向の眺望は遮られます。平米単価が1)より安いのはこれが理由となっています。間取りは1)同様に人気の無いタイプです。

3)22階 33.28平米 7.69ミリオンバーツ 平米単価231,069バーツ

ユニット北側は非常階段となっているので、よりプライバシーの高いユニットポジションとなり、緊急時の避難アクセスにもアドバンテージがあります。眺望は抜けており、可動式間仕切り設定の人気の高い間取りとなっているのもいいですね。それは平米単価に反映されていますが、この価格差であれば得かと思います。但し、西日は強く入るので、午後は室温が急上昇します。

上記3件のユニット価格を見ると、2015年のプリセール価格にかなり近付いていますので、ディベロッパーにしてみればファイナルセールと位置付けたキャンペーンと息混んでいるところなのでしょう。

価格的には魅力的なのですが、条件面を見るとどこかに短所を抱えているユニットが多く、やはり売れ残りユニットならではのラインアップである事は否定できません。

また、昨年から引き続き悪化しているタイ不動産市場では、コロナウイルスで大口顧客である中国人市場はほぼ消滅、泣きっ面に蜂といった現況は向かい風という生半可なものではなくまさに暴風吹き荒れるといった状況では無いかと思います。

昨年時点でこの価格で売れば既に在庫など残らなかったでしょう。キャンセルで安く買い戻した在庫をしめしめと高く売るといった欲かき戦術はまさに裏目に出たわけで、策に溺れた末の悪い結果の典型と言えるのでは無いでしょうか?

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