在庫一掃セールで気になるプロジェクト (その2)

今回はアシュトン・アソークの在庫一掃セール情報です。

アシュトン・アソークもノーブル・プルンチット同様に売れ残り在庫のセールスキャンペーンを張っています。

下の写真はアシュトン・アソークのHPから抜粋したものです。こういったバーゲンキャンペーンの広告は必ずタイ語のみになっているのは勿論偶然でも何でもなく、そこには値下げ価格は外国人にではなくタイ人だけに告知したい、というディベロッパーの意図が透けて見えます。


※アシュトン・アソーク広告

過去のブログでも、タイのコンドミニアムの二重価格は是正されるべきだと言及していますが、価格そのものや支払い条件が違うといった販売手法は一刻も早く止めて欲しいものです。

従来はパタヤ等の外国人区分から完売するようなリゾートエリアでこの手法は広く存在していましたが、中国人による購入が増えてから、バンコクでもこの傾向が強く見られるようになりました。

参照過去ログ:2019年のコンドミニアム市場は低迷か?(その2)

市場が低迷している理由は急激な価格上昇が主な理由となっていますが、差別的な二重価格構造は最近知られるようになり、外国人投資家には少なからず不信感を植え付けているものと強く感じます。市場が冷えている今こそ、タイのディベロッパーはこの悪い商習慣を根絶すべきでは無いでしょうか?

タイで合弁プロジェクトを展開している大手日系ディベロッパーにおいても、金を出すばかりでなく口も出す事により影響力を発してこの企業倫理観を正して欲しいものだと常々思っています。「販売価格&条件を統一しないと出資しない。」といった理念を貫くことこそが企業の信頼と持続性に繋がる事は間違いありません。厳しい言い方になりますが、「出資しているだけだから、そこまではできない。」との言い訳をしたいのであれば、社名を前面に出すのは止めるべきかと思っています。

ヨシダ不動産においても、日系大手ディベロッパー〇〇との合弁事業です、といった説明を販売時には行いますが、最近そのトークで日本人投資家を安心させる営業行為自体を後ろめたく感じ始めました。

いつも通りの脱線となりました。アシュトン・アソークの在庫一掃に話を戻します。そう言えばこのプロジェクトも三井不動産とアナンダの合弁事業である事は読者の皆様であれば既にお分かりですよね?

上記の写真広告には、
1ミリオンバーツディスカウント
ヨーロッパパック旅行付き
7.49ミリオンバーツからスタート
と表記されています。

アシュトン・アソークは平米単価23万バーツ〜、 6.9リオンバーツ〜でプリセールが開始され、瞬く間に完売した人気物件。但し、ディベロッパーは得意顧客へはVVIPセールと称し、正式プリセール前に5%程のディスカウント価格でフライングセールをするのが一般的ですので、実際は平米21万バーツ台のVVIP価格がついていたものと推測します。

参照過去ログ:コンドミニアムプリセールの現場風景

となると、7.49ミリオンバーツで最小構成30平米のユニットを10万バーツのヨーロッパ旅行を付けて販売しても、価格7.39ミリオンバーツ、平米246,333バーツとなり、プリセール価格当初の価格に若干は近付いたものの値崩れをしているといったレベルでもありません。

因みに対象ユニットは全て登記前の物件です。既に一時は完売し登記は2018年6月に始まっていますので、「まだ未登記物件があるの?」と驚きますが、これにはアシュトン・アソークの敷地に関する法定争議がその背景にあります。

既にご存知の人も多いかと思いますので詳しい説明は省きますが、2017年暮れに完成し今まさに登記開始という時にこの問題が発生し、登記が凍結される非常事態となりました。

結果的にはその半年後に問題は収束し登記開始となったのですが、問題発生直後の際にアナンダは、「この問題で登記は最長2019年3月までにずれ込む可能性がある。待てない場合には、既に支払った金額に数パーセントの利息を付けて返金&買い戻しを行う。」と購入者に発表したところ、200ユニット近くのキャンセルが発生したと聞いています。

アシュトンアソーク のプリセール時2015年頃まだまだ好調だった不動産市場も2017年暮れぐらいから少しずつ影が忍び寄っており、敏感な一部の人はそのシグナルをキャッチしていたはずです。また、この問題で当然転売は難しくなる、783ユニットの約9割が平米30〜36の1ベッドルームという極端なユニット構成なので賃貸競争の激化が予想される、そもそもこの問題は解決されるのか?等々の思惑が広がり、多数の差し戻し在庫に繋がったのです。

その後アナンダは、プリセール価格にたった数パーセントを付けて安価に買い戻したユニットを高値で販売していましたが(阿漕な商法との印象を持つのは僕だけでしょうか?)、無事登記が開始となった6月には既に市場低迷が始まっており、結局は多くの在庫を抱え今の在庫一掃セールまで未登記物件を抱える事になったのです。

話が長くなりましたが、未登記物件の販売を担うアナンダのリセール専門子会社The Agentより実際の在庫ユニット情報を取り寄せてみました。

例によって、ワンプライスと称しながらも、6.99・7.39・7.69・7.79ミリオンバーツのユニット(フォープライスですよね?)を合計16ユニット販売していました。

6.99ミリオンバーツというのは、ヨーロッパ旅行こそ付かないものの、かなり魅力的な価格ですよね?

次回は在庫一掃セールス物件の一部を紹介したいと思います。

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