中古物件市場で起きている事

今年に入り今まで以上にディベロッパーの在庫一掃セール情報、中古住宅情報を頻繁に見るようになりました。買い得な物件を見つける、というのがそのシンプルな理由です。

在庫一掃セール情報では、看板に偽りあり的な宣伝で実は全く得だと感じられないものもあれば、細かいところに目をつぶれば魅力的な価格で購入可能のものもある、といった具合ですが、例としてご紹介したのはバンコクCBDのラグジュアリー物件のみですので、CBDでも当初から売り出し当初から人気の無かったプロジェクトや郊外の駅近・駅遠物件を見て行けば、端にも棒にもかからないようなものも多数存在するでしょうから、まさに多種多様で混沌とした市場となっているのだと思います。

コンドミニアム市場の低迷により引き起こされているバーゲン物件の市場放出はプレビルドや完成後登記されていない物件のみに起きているわけでは無い事は、当ブログの読者であれば、それなりに推測しているのでは無いかと思います。

僕自身が不動産市場現況により目を光らせているのは、まさにそれが理由となっており、市場が低迷している今だからこそ固い賃貸利回りが得られる物件を得られるチャンスだからです。

消費者がデパートや高級ブランドのバーゲンに人が殺到するのは良いものが安く買えるからですが、不動産においては一般消費財とは違い季節毎の半額セール等は無いものの、受給変化、不景気、消費者意識の変化等々の様々な理由で市場が低迷した時にバーゲンセールが始まります。

但し、不動産価値はデパートのように定価→バーゲン価格のような単純な構図ではありません。バーゲンプライスと捉えられるかは市場への精通度によって左右され、一般の人には個々の物件が果たしてバーゲン物件であるかどうかも全く判断できないというのが実情かと思います。

市場情報、物件デューデリジェンス、将来市場予想の精度を持っていなければ、安く思って飛びついても投資失敗に終わり怪我をする結果となりますので、やはり市場を熟知している信頼できる現地不動産業者を味方に付けて行うのが得策です。

中古不動産市場においては、キャピタルゲイン狙いは先ず忘れて下さい。バーゲン物件拾いですので、同コンドミニアム 内で売り出されている他ユニットに比べてどれだけ安いのか、賃貸人気度と利回りを主要比較条件に集約して、このエリア条件で今この価格で買えるなら招待的に物件価格は保持できる、又は下がり難い、売却時に上がってくれたらめっけもの、くらいで考えるのが妥当でしょう。

僕自身が投資する際にはいつも利回り重視というかそれ一本です。

優先順位は、
1)空室率が低い
2)実質利回り5%以上(表面6%以上)

ですが、僕なりに好みのエリアがあり、勿論エリアの将来性を考えて、直感的ではありますが、ここであれば将来まだまだ行けるだろう、というところを狙います。

因みに、バンコクCBDは既に将来価値を先取りしてコンドミニアム価格は上がりきった的な情報をあちこちで散見します。同意できる部分もありますが、全ての不動産が同じ価格で売っている訳では無いので、その傾向は否めない部分もあるがそれが大勢では無いとも思っています。

平米単価が30万バーツを超えてくると、日本人駐在員家賃手当てのボリュームゾーン内での家賃設定が難しくなる為どうしても躊躇してしまいますが、それでも立地、ユニット設定により低い空室率での賃貸運用が十分に見込まれるのであれば、いつも空室になりがちな割安物件よりはいいと思っています。

CBDよりも郊外物件の方はまだまだ安く伸び代があるのでお勧め、と言えばわかり易く聞こえはいいですが、
1)タイは発展途上国と中進国の中間点といったポジション
2)今後も都市集中は継続もしくは加速(バンコク集中)
3)家賃を下げれば賃貸物件はCBDが選好される
を考えれば、アソーク〜エカマイの立地は今後も高い賃貸需要を維持するでしょうし、それこそが物件価値の保全に直結するのです。

1)、2)の参考資料として、世界主要都市のハイエンドマンションの価格比較表を下に添付します。


※マンション(ハイエンドクラスの価格比較)2019年5月
出典:一般財団法人 日本不動産研究所

3)に関して補足する為に、トンロー駅に直結するノーブル・リミックスを例にとって説明します。


※ノーブル・リミックス

ノーブル・リミックスは2008年完成、築12年目となるので、それなりの老朽化が見えるものの、トンロー駅に直結するといった大きな利点を持っています。プリセール時の平米単価は10万バーツ以下スタートでしたので、その価格で購入したオーナーは安く家賃を設定しても十分な利回りが得られます。


※ノーブル・リミックス市場価格動向 出典:HIPFLAT

43平米のスタジオルームが比較的供給の多いユニットタイプです。通常2.8〜3万バーツで賃貸に出ていますが、空室が続くと2.5万バーツまで値下げされるケースも良く見受けます。それでも、ざっくりした計算にはなりますが、オーナーが仮に5ミリオンバーツで購入していたとすれば、表面利回りで6%は確保できる事になります。

こうなると賃貸人の条件にもよりますが、プラカノン〜バンナー間の同価格帯の賃貸物件が選ばれるのが難しくなります。プラカノン以遠でも駅近新築物件となると平米単価13万バーツ〜にはなりますので、日本人駐在員や現地採用の日本人が住むにおいては、オンヌット周辺もここ数年で利便性は格段に高くなってはいるものの、アソーク〜エカマイ地区に比べると今尚圧倒的な開きがあるからです。

とは言え、ノーブル・リミックスを現行の市場価格である平米単価176,210バーツで購入しても家賃は割安設定できません。これを大きく下回る価格で購入することにより、空室の出にくい高利回り物件として運用可能になるのです。

又、ノーブル・リミックスは築12年になっていますが、日本と違い維持管理程度が低く老朽化の早いタイのコンドミニアムにおいては築10年以内のものが望ましいと思います。当然新しい程いいのですが、築5年を以内ともなれば既に新築分譲時の価格は高値となっていましたので、市場悪化がもっと深刻化しパニック売りにでもならない限りは、築浅・低空室率・高利回り・安価といった条件を備えた中古物件が市場に出回る事は無いでしょう。

タイの不動産市場はまだそこまでは悪化していません。

今回はコンドミニアムのバーゲン価格に関しての考え方のアウトラインを簡単に説明しましたが、次回は具体的な販売物件を例に挙げて考察したいと思います。

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