2019年のバンコクの不動産市場は? (その2)

2019年第一四半期の平米単価別発売ユニット数を掲載します。


※バンコクコンドミニアム、平米単価別発売ユニット数、2019年第一四半期(出典:Colliers)

28%を占めている5万バーツ以下のユニットは、数では2,416ユニットとなります。こんな安いコンドあったの?という印象ですが、これは中小含めたいくつかのディベロッパーが販売鈍化に対応し廉価物件に舵を切った結果です。立地はバンコク市外で、駅近、タワー、ラグジュアリーといった条件からは勿論外れます。

下図は平米単価価格帯別の販売物件数と平均平米単価の変遷を表したグラフです。


※バンコクコンドミニアム、平米単価価格帯別発売ユニット数と平均平米単価、2019年第一四半期(出典:Colliers)

この価格帯のコンドミニアムの発売実績数を見ると、2018年第四四半期はゼロ、2016年第一四半期まで遡っても、1,000件以下の数値が点在するに過ぎません。販売悪化を見越したディベロッパーのにわか対応と理解していいと思いますが、ホームローン厳格化の背景もあるので、タイ人の中間所得層の1件目としての実需購入は結構あるだろうと予測します。その意味ではディベロッパーの戦術は一定の成果を上げるでしょうが、海外投資家が購入する適格物件でない事は言うまでもありません。

僕の記憶では、タイ不動産が日本人投資家に注目され始めた5年前ほど前は、ベーリング地区の低層コンドミニアムが低価格を理由に人気を集めていたと記憶しています。25平米程のユニットが2ミリオンバーツ(当時の為替レートで600万円以下)の価格で日本市場をターゲットに大々的に宣伝していました。

当時コンドミニアムは飛ぶように売れる盛況期でしたので、現地のどのディベロッパーもわざわざ日本市場にアプローチする事は無かったのですが、このプロジェクトは駅から遠く現地ではあまり注目を得る事もなかった為日本市場に目を付けたのだと思います。

当時バンコクCBDのラグジュアリーコンドミニアムは既に20万バーツに迫っていましたので、バンコクの不動産情報が限られている中(実際はディベロッパーのHPを英語で読めばいくらでも情報は取れたのですが)、割安感を持って受け入れられました。

タイのコンドミニアムは安いはずだと半ば偏見とも思える発想が日本人の間ではまだ強かった時期でもあり、そこに600万円以下の価格が日本人投資家心理にプラスに響いたのだと想像します。

実際は駅近物件でもなく、エリアもベーリング(ソイ107、心越えるとサムットプラカーン県)なので、現地の不動産市場に精通していれば全く割安感はありません。

結果、この物件は、売るに売れず、貸すに貸せず、キャピタルゲインも利回りも得る事ができない状況となっています。今現在でもこの物件の日本人オーナーから弊社に問合せが入りますが、お役に立てるのは難しいのが現実です。


※当時日本人に売れたベーリングのコンドミニアムの一つ

平米5万バーツ以下、5〜10万バーツのユニットは全体の65%を占めた事から、平均平米単価が約15万バーツから約10万バーツに急落する、といった結果をもたらしました。

一方、平米単価20万バーツ以上のプロジェクトは、2018年の第三、第四四半期に比較すると2019年第一四半期は3分の1程に落ち込んでいます。平米25万バーツ以上の価格帯は発売ゼロとなっています。在庫が積み上がる中で見送ったとみていいでしょう。又、コンドミニアムからホテル、サービスアパートに切り替える動きも聞こえてきます。

前回のブログで掲載したグラフでも分かるように、平米20万バーツ以上は全体の8%、CBDでの発売ユニット数は全体の12%です。販売鈍化はどのエリア、価格帯でも起きていますが、CBDにおいては駅近を中心に用地が限定的な中、希少性においては他のエリアとは比較になりません。

又、スクムビットの日本人居住区であれば、賃貸利回りも無理なく確保でき、いざとなれば英語やタイ語ができなくても自分でマネジメントできる環境も整っていますので、予算が折り合えばやはり購入すべきはCBDのコンドミニアムなのだと思っています。

予算が合わない場合、前回ブログで掲載したニュースレターで紹介していますが、The Chamber(オンヌット駅前)、Whizdom101(プナウイティ駅直結)、Metropolis(サムロン駅前)等をお勧めしています。

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