バンコク築深コンドミニアムVS新築コンドミニアム (その3)

日本で言うところのレジェンドマンションに当たるソムキッド・ガーデンズ、1991年築にも関わらず、改装されている部屋が多い、共有エリアの維持管理が良い為古い、ぼろいといった印象はなく、威風堂々とした格調の高さを感じます。

これこそが価格が新築当初から5倍も上昇し、今以って家族用人気物件として賃貸市場に君臨するコンドミニアムたる所以なのだろう、と納得。

敷地面積が広いアドバンテージは、巨大なグリーンエリア、テニスコート、バスケットボールコート等を備える事により、遺憾無く発揮されています。

プールは最近流行のデザインとは言えませんが、大型でメインテナンスは行き届いています。


※ソムキッドガーデンズ、共益設備

CBDプライムロケーションで建築中コンドミニアムは1ライ(1,600平米)を多少上回る程度のものが多い、又大きな敷地を確保しているプロジェクトではユニット数を出来るだけ増やす為に、可能な限り多階数の建物を最大棟数で設計しますので、レジェンドマンションたるに必要な余裕といったものは感じません。

因みに、バンコク中心部でテニスコートを備えるコンドミニアムは数える程しかありません。日本のマンションでテニスコートを備える等は夢のまた夢という感じかと思いますが、1990年代に建てられたバンコク、パタヤのコンドミニアムではナイター設備を完備したテニスコートは少ないながらも存在します。もっとも雨の多いバンコクで屋外ハードコートを維持するのはコスト的にも結構な負担になるかとは思います。

管理状態の悪いコンドミニアムが多いタイでは、古くなると維持管理の悪さが一挙に露出し始め、古い物件ならではの敷地の広さといったアドバンテージが逆に仇になってしまっています。ボロさがあちこちに見られるようになり、結果ただ古いだけの物件に成り下がる事が多いのですが、ソムキッッド・ガーデンズは維持管理により格調の高さを守り続けています。

それでは個々の所有者が所有するユニットの方はどうでしょうか?

改装されている部屋も多いようで、それが広い部屋を探している欧米人ファミリー等による賃貸人気が衰え無いもう一つの大きな理由となっています

土地価格上昇と共にユニットのダウンサイズが進行しているバンコクでは、駅近のプライムロケーションともなると1ベッド30〜50平米、2ベッド50〜75平米が主流となっており、大きめのユニットは少なく、又3ベッドルーム等の間取りも希少になります。

ソムキッド・ガーデンズは1990年代のコンドミニアムのご多聞に漏れず、2ベッド118〜366平米、3ベッド250〜260平米と言う設定です。2ベッド366平米と言うのは3ベッドよりも大きいのでスペシャルユニットでは無いかと思います。

新築で目にする事が少なくなった3ベッドは、見つかっても90〜100平米ですので、250平米というサイズは途轍もない大きさに感じられますが、実際1990年代に建てられたコンドミニアムではこのサイズのものは少なくありません。

土地面積で日本の1.4倍、しかもデルタ地帯ならではの平坦な土地形状のバンコクは、山地の占める割合が多い日本とは異なり居住可能エリア広く、人口は日本の半分。一般家屋が日本に比べ大きいのはそのような背景があります。

但し、例外として、バンコクCBD駅近のコンドミニアムは日本同様に小さくなっています。


※ソムキッドガーデンズ、改装されたユニット

前出のポータルサイトHipflatでは、29件の売買広告、190件の賃貸広告が掲載されています。

22階建て計100邸のコンドミニアムにも関わらず広告件数が多いですよね?

専属・専任媒介契約が一般的では無いタイでは、オーナーは多数の不動産業者に同じ物件の売却や賃貸を依頼する為、同じ物件を複数の業者が掲載する事がその理由となります。日本の不動産ポータルサイトでも複数の業者が同一物件の広告掲載をしていますが、それと全く同じです。

但し、タイでは同じ物件でも業者により価格が大きく違っていたりするので、価格設定を売主が明確に伝え統制していないのか、業者が勝手につけているのかは不明ですが、僕は前者がその理由として大きいのでは無いかと思っています。

更に留意したいのは、販売価格は飽くまで売主が一方的に値付けしているものであり、実際の成約価格とは大きく離れている点です。
それでは一体実勢取引価格は幾らなのか?

タイの不動産市場で実勢価格を突き止めるにはかなりの情報力を必要とします。

例えば中古のAコンドミニアムを5ミリオンバーツで売却する際に仲介業者は土地局に査定価格を問合わせます。5ミリオンバーツで売買される物件でも査定価格が4.5ミリオンバーツだったり、4ミリオンバーツだったりします。登記移転に関わる税金を抑える為に通常はその査定価格に合わせて仲介業者は売買価格を設定し、土地局に申請を行います。

タイでの中古物件取引の場合、登記移転費用を売り手と買い手で折半するのが一般的ですので、税金等を最低限に抑える事に関して双方異論はありませんし、売買価格を実際の取引価格で申告するメリットは全く無いのです。

そのような背景があるので、実際の正確な取引価格を知っているのはその当事者のみに限定されます。とは言え、同じ物件を何度も仲介しているような業者は当然実勢価格を熟知しています。

ここで重要な点は、中古物件取引においては、外国人の投資家は圧倒的な情報弱者に立たされるという事です。悪徳な不動産業者に捕まりでもすると、すべからく取引相手と仲介業者の食い物にされ、不動産投資の成功などと抱いた希望は儚くも砕け散る運命を辿る事になります。

いつも通り話は脱線してしまう訳ですが、この不動産取引の実情は知っていて損は無いと思いますので是非頭に入れておいて下さい。

次回もソンキッド・ガーデンズの話は続きます。

思いの他、このテーマは示唆するものが大きく、終結を見るにはもう少し時間がかかりそうです。僕自身も書きながら自己啓発されているような感覚です。

興味のある方は引き続きお付き合い下さい。

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