在庫一掃プロモーションが起こす市場ねじれ現象 (その3)

前回は4つのエリアのコンドミニアムを比較してみました。

インプレッションエカマイのプロモーションは2階限定ではあるものの平米13.9万バーツといった価格は、平米単価20万バーツ前後が相場となるエカマイのラグジュアリーコンドとしてはかなりの割安なので、価格が上昇しているオンヌット以遠のプロジェクトと比較して実証しようとの試みだったのですが、結論から言えば、必ずしも絶対的に得とまでは言い切れない部分も残った感があるのかな?と思っています。

エカマイで新築コンドミニアムを購入して賃貸投資をする、というインカムゲインに限定した場合は、日本人駐在層の需要が十分に見込める為、他3物件よりは圧倒的な優位である事は間違いありません。

日本人居住区エカマイの物件が郊外地区の物件よりも賃貸投資においては優れている理由に関しては、過去ログ:プラカノン以東の賃貸投資の重要点 ラグジュアリー物件は苦戦 を参考にして下さい。

一方、将来的なキャピタルゲインを見据えた場合、CBDからより離れるとは言え駅近といった強みを持っている他3つのプロジェクトの方により伸び代がある可能性も少なからずあります。

渋滞が絶える事なく、そして公共交通機関は充実してきたとは言え先進国と比較すればまだまだ未成熟のバンコクでは、駅近である事の希少性と利便性はより重みのあるものとなります。今後も首都としての人口流入は続くでしょうから、延伸計画と共に路線、駅が増えていっても駅近の重要性が色褪せる事は先ず無いでしょう。

トータルの投資効果を比較する為に売却額と利回りを予想して各物件の収益性を測ることも勿論ある程度はできます。ただし、利回りはかなりの確度で予測する自信はあるものの、キャピタルゲイン予想は簡単ではありません。過去20年に及び継続して不動産価格が上昇し続けた結果、1997年の通貨危機以来の価格調整を迎え暗雲広がる現在のバンコクの不動産市場環境では、その道のプロと言えども価格増減幅を見込むのは非常に困難な状況となっているかと思います。

郊外のプラカノン、オンヌットは2割、CBDのアソーク〜エカマイは1割の値上げを見込む、等を訳知り顔で述べる事は、机上の空論と言うよりもとって付けたような平仄合わせ以外の何物でもなく、そのような見方は信用に値しません。

下に続く内容はプロの業者の方には釈迦に説法となってしまいますが、アマチュア投資家の方も読者には相当数いるかと思いますので悪しからず。

不動産と言っても、このサイトではコンドミニアム投資に限定していますが、コンドミニアムの価値を構成する要素は、多岐に渡ります。

立地、ディベロッパー、プロジェクト概要、価格帯等が当然重要の構成要素になりますが、立地一つとってもCBD、準市街、郊外の大枠の中で各地域の特徴、人口、開発進度、将来計画があり、更にその中で駅近、スーパー近、アクセス利便性、今度の開発動向等が絡んで来ますので一筋縄では行きません。

更に、選択したプロジェクトの中でも、階数、間取り、方角、眺望等がユニット価値を決める構成要素となっており、改めて考えを及ばすと混沌の迷宮の入口に立たされたような気分になってしまいます。

加えて、どの物件を選択するかは、購入する側の目的によっても大きく異なります。

完成前の転売なのか?完成後所有して賃貸利回りを得るのか?自ら居住するセカンドハウスとするのか?また、それらの組合せなのか?

更に言えば所有期間によっても選択肢に微妙な変化を与えます。完成前までなのか?5年なのか?10年、それ以上なのか?

中には家族に相続させる、と言う超長期プランの人もいますが、日本人がタイで不動産を所有する、と言った基本事実の中ではどこかの時点で売却という出口があります。その時までの市場変化を見通そうとしても、今よりは良くなっているか否かぐらいがせいぜいで細かいところまでの予測は不可能です。

歴史から学べ、という向きの意見もありますが、歴史というのはそのままそっくり繰り返されるのではなく、その時代のエッセンスを飲み込みながら共通点のみならず相違点も創出しますので、その相違点が市場構成要素に変化を促す可能性も十分にあるわけです。

仮に東京の不動産史を紐解いたとして、参考になる部分もあればそうでない部分も多々あるかと思います。民族、文化、風土、経済環境、歴史が丸ごと違うタイで、日本で起きたバブルのような危機が来るのか?と考えても、その可能性はゼロとは言えませんが、不動産価格がピーク時の半値になると言ったレベルの価格クラッシュはかなり考え難いのでは無いかと思います。

毎度の事ながら話が大きく脱線してしまいましたが、実は今回のブログテーマが好機と考え、アソーク〜ベーリンのエリアをBTS駅毎にコンドミニアムの立地、ディベロッパーブランド、タワー/低層毎に価格水準表を作成し、どの価格になれば「買い」なのか?をまとめようと思い、相当時間をかけて取り組んでみたのですが、あまりに不確定要素が多くまとまらずその完成を見送った経緯があります。そして現時点で抱えている思いが上記の通りなのです。

試みとしては自身興味深かったので熱を入れて取り組んだのですが、このまま完成させても読者の皆様をミスリードする可能性がある、完成度に納得が行かない、という理由を以って見送りました。但し、断念ではありません。僕自身、バンコクのコンドミニアム鑑識眼を磨き、遠くない将来に再度チャレンジしたいと思っています。

今回のテーマの最後として言っておきたい事は、歴史的な価格調整が進んでいるバンコクのコンドミニアム市場では、インプレッション・エカマイのような、又はそれを更に上回る割安なプロモーションが今後継続に留まらず更に拡大するだろうと予測できる、という事です。

即ちキャッシュポジションを持つ人には大きなチャンスとなります。

興味のある人は情報から離れず今後度々出て来るであろうバーゲンセールを上手に捕捉して下さい。

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