パタヤコンドミニアム市場の現状 (その1)

前回までは各エリアにスポットを当ててコンドミニアム市況の現状を説明して来ましたが、今回は公表されているデータを見ながら再度パタヤ地区全体の市場を分析したいと思います。

再度パタヤのエリアマップを参照願います。


※パタヤエリアマップ

前回までの説明では、2011〜14年に好調な不動産市場の中で多数のコンドミニアムプロジェクトが計画された旨の内容を何度か繰り返したましたが、次に掲載するColliersが公表しているグラフで見て取れます。


※パタヤ地区における新規コンドミニアム発売数 2011年上半期〜2017年下半期 出展:Colliers International Thailand

2011年上半期から2017年下半期の間に新規プロジェクトとして売り出されたユニット数を半期毎にグラフ化したものです。2011年上半期は5000ユニット程だったのが、2011年上半期・2012年下半期は10000-11000ユニットに倍増しています。その後の2012年下半期から2015年下半期の間は、増減こそあるものの3000-9500ユニットが半期毎に発売。そして2016年上半期は200ユニット程と急落します。その後は500-1800程の低い供給が続いてきました。

大きなプロジェクトとなると1000ユニットを超えるものも少なくないパタヤ地区において、200ユニットと言えば低層の小規模コンドミニムが一件発売されただけという感じですので、2016年上期には凄まじい程の急ブレーキがかかったのだろうと考察します。

ところが、2018年上半期は3563ユニットと前期から倍増に転じました。一時のピークの数値に比べてまだ3分の1程度とまだまだですが、2015年から始まった急落からは大きく上昇しています。この供給回復が継続するのかはまだ予断を許さないところはありますが、ボトムアウトした印象を強く持ちます。

プロジェクトの発売状況をエリア毎に分けたのが次のグラフです。


※パタヤ地区におけるエリア別新規コンドミニアム発売数 2011年上半期〜2017年下半期 出展:Colliers International Thailand

Na Jomiten(ナ・ジョムティエン)地区とはジョムティエン地区から南に続くエリアを指します。

2018年上半期の新規コンドミニアムの発売の半数以上がジョムティン地区である事が見て取れます。又、パタヤ中心部では600ユニット程の数値となっていますので、これは怒涛のごとく完売したサンシリ社の超人気プロジェクト“エッジセントラルパタヤ”である事は明白です。

ビーチぎりぎりまでコンドミニアムが立ち並ぶウオンアマット地区では以前からビーチフロントの立地が枯渇しており、2013年下半期に売り出されたのはビーチから多少内陸に入った立地のものとなっています。その後同地区での新規プロジェクトはほとんどありません。今後はビーチフロントに並ぶ大きな敷地を持つ一軒家等を買収しない限り、いい立地の確保は難しいのではないかと思います。

パタヤ中心部においては、パタヤビーチロード周辺でも若干空地が見られますが、ホテル、商業施設、バー、レストランが軒を連ねており、コンドミニアムプロジェクトは皆無です。セカンドロード沿いでは先述のエッジセントラルパタヤ、隣のベースセントラルパタヤ、そしてノースパタヤのセントリックシーがありますが、全て価格は上昇しています。今まで何度か説明した通り、中国人の積極的な買いが背景にあります。手頃な価格で出てくる外国人区分ユニットは既に希少性が高くなっているのが現状です。


※パタヤ中心部マップ

大型商業施設とホテルから成る複合コンプレックス”ターミナル21パタヤ”が今月開業予定ですが、これはバンコクでも人気の高いショッピングモールですので今後は台風の目になるのでは無いでしょうか?今までパタヤ中心部と言えば、南高北低でウォーキングストリートやセントラルフェスティバルのある南、中央が北部に比べて反映していましたが、この流れも変わっていくかと思います。南部、中央部の人気に北部も追いついていくでしょう。


※今月開業するターミナル21パタヤ

セントリックシーで値ごろ感のある外国人区分ユニットを見つけたら買い推奨です。

セカンドロードから中に入ったエリアではタワーコンドは建てられないので、大型プールを囲んだ低層物件となりますが、パタヤ中心部は他エリアと違って完全にボトムアウトしていますので、今後は低層コンドでも条件が良ければ価格上昇に転じるものと思います。

来年引き渡しになるグランドアベニューレジデンスやその向かいの完成済みのセンタラアベニューレジデンスは平米単価8万バーツを割ったら買い推奨です。立地、建築クオリティ共に良い物件ですので、自己居住や民泊使用(違法ですので自己責任で!)で考えているのであればお勧めです。タワー物件との価格差が広がれば、こちらも価格は上昇するものと思われます。

パタヤサードロード沿いは空地が目立つエリアで、ここまで来るとパタヤ中心部の利便性も無くなりますので、安くても購入は控えた方がいいでしょう。将来的にプロジェクトが再開する際にはかなりの数がこのエリアに計画されるはずですので、供給過剰に転じれば塩漬け物件になるリスクがあります。

ジョムティエン地区はエリアが広い為開発余地はまだまだ膨大にありますが、ジョムティエンビーチロード沿いの土地(ビーチフロント)はさすがに少なくなってきていますので、今後は希少性を背景に価格上昇に転じてもおかしくはありません。

但し、今まで何度か説明したように、投資顧客の中心層が欧米・ロシアからアジア(ほとんどが中国人)に変わる中で、選好されるロケーションがリゾート感覚溢れるビーチ付近から利便性の高いパタヤ繁華街に変遷していますので、ジョムティン地区の選択には注意が必要です。

パタヤで購入する日本人はセカンドハウス目的の人も多いので、ビーチでのんびり派の人にとっては平米単価12万バーツ〜購入できるビーチフロントコンドミニアムは魅力的かと思います。但し、移動には常時車やバイクが必要になりますし、公共交通機関と言えば乗合トラックの一択になります。又、出口プランも固めておく事も忘れてはいけません。

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