パタヤコンドミニアム市場の現状 (その2)

前回はパタヤ地区におけるコンドミニアムの供給数に関してエリア別に見てきましが、今回はエリア別に売れ行きや価格帯等を考察したいと思います。


※パタヤ地区2018年上半期エリア別コンドミニアム販売ユニット数と販売率 出展:Colliers International Thailand

上記のグラフは2018年上半期のエリア別のコンドミニアム販売ユニット数で、棒グラフの紺色部分は販売済み、グレー部分は販売残を示しており、その2つを足すと販売ユニット総数となります。

ウオンアマット地区では販売ユニット数が6000ユニットに対して、90%に当たる5400ユニットが売れ、600ユニットが販売残となっています。新規の供給が限定的な人気エリアならではの結果となっています。

パタヤ中心部とプラタムナック地区では共に8割程の販売率となっています。プラタムナック地区はあの手この手を使っての販売攻勢が功を奏したのか予想以上の結果です。

ジョムティン地区に至っては販売率85%となっており、そんなに売れているとはにわかには信じ難い結果です。数字に間違いが無ければ供給数の一番多いエリアでもありますので、今年上半期のコンドミニアム市場は急速に改善した事になります。それでも供給数が多いだけに15%とは言え4500ユニット程が販売残となっていますので、決して安心できる在庫状況とは言えません。

販売率は悪く無い数字となっていますが、販売数が大きいだけに、パタヤ地区全体では14000ユニットもの売れないユニットが残っている事になります。まだまだといった印象です。

次にエリア別の販売価格を見たいと思います。


※2018年上半期エリア別販売コンドミニアム平均平米単価 出展:Colliers International Thailand

ウオンアマット地区とプラタムナック地区が共に平米単価9万バーツとなっています。これは意外な印象を受けます。ウオンアマット地区ではオンザビーチのビーチフロントコンドミニアムの場合、平米単価12〜15万バーツ程。一方ビーチに行くには断崖絶壁を階段で降りなければならないプラタムナック地区ではビーチに近い物件はそれ程多くありません。

推測するに新規供給が途絶えているウオンアマット地区において、ビーチフロントでは比較的古い物件、又はビーチから若干離れる内陸部の安価な物件が市場に出回っているのに比べ、プラタムナック地区では最近まで新規供給が継続した事から新築物件を中心に売られた、という状況だったのでは無いかと推測します。

パタヤ地区の物件が平米8万バーツ弱となっていますが、パタヤ中心部においても、人気のあるセカンドロード沿いよりもそこから中に入ったエリアの物件数の方がはるかに多い為この数値まで下押しされたのだろうと思います。

次に着けているナジョムティエン地区は、繁華街から離れている事もあり、海沿いの広大な敷地に開発される大型コンドミニアムが中心となっている為、大小各種の物件がビーチ沿いと内陸部それぞれに混在するジョムティエン地区よりも平米単価が高くなっているのだろうと考察します。


※ナジョムティンビーチフロントにあるモーベンピックコンドミニアム

ジョムティエン地区においては、ジョムティエンビーチロード沿いのビーチフロント物件が敷地不足の為にその数が限定的になっている中、セカンドロード沿い又は更に内陸部のプロジェクトが数多く開発された中、平均平米単価は下押しされパタヤ地区では最安値の結果になったのかと思います。

ジョムティエン地区内陸部では、ウォーターテーマパーク並みの大型プールやウォータースライダーを設えたラグーンを囲んで低層レジデンスが囲むといったコンドミニアムが最近数多く開発されました。グランドカリビアン、セブンシーズ、アトランティス、セブンシーズコートダジュール、ベネチアン等々の多数の物件がそれに該当します。設備は素晴らしく、建築のクオリティスタンダードも決して悪くないにも関わらず安く購入できますので魅力的である事は確かなのですが、敷地から一歩外に出るとビーチ、買い物、食事等へ行くには全てが遠く、利便性は決して良好とは言えません。売却するにも競争が激しいのでなかなか思うようにはいきません。

パタヤ地区のコンドミニアムは販売率こそは好調に推移していても、市場に出回る販売物件の絶対数が何しろ多いので、供給が限定的なウオンアマット地区、中国人が爆買いするビーチロードやセカンドロードのパタヤ中心部以外では、売れ残り物件がはけるまでにはもう少し時間がかかりそうです。

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