明暗を分けるパタヤのコンドミニアムロケーション (その3)

売れ残り在庫ユニットが積み上がっているもう一つのエリアとしてプラタムナック地区が挙げられます。


※プラタムナック地区

南パタヤとジョムティン地区の間の丘陵地隊となっています。南パタヤのウオーキングストリート地区脇の幹線道路を南に進み急勾配な坂を登るとそのエリアとなります。

従来からタイ王族の別荘、歴史のあるロイヤル・バルーナ・ヨットクラブ、大型リゾートホテル等があり、パタヤに比べて閑静な周辺環境が広がります。かつてレジデンスと言えば一軒家がほとんどでしたが、10年程前からコンドミニアムの開発が始まりました。

この地区は閑静な住環境、パタヤ中心部へのアクセスの良さ、丘陵地なので眺望がいい等の利点はあるものの、スーパー等がなく買い物に不便、綺麗なビーチはあるものの断崖絶壁に設えられた階段を降りなければ辿りつかない、丘陵地なので常時徒歩では登り下りする必要がある等の難点もあります。

2011-2015年の間はこの地区でも大小多数のコンドミニアムの建築ラッシュが続きましたが、前回説明したジョムティエン地区同様に不動産市況が暗転し膨大な数の売れ残り在庫が積み上がる結果となりました。

上述したこの地区の閑静な住環境は欧米・ロシア人には好まれる傾向にあり、又パタヤ中心部へのアクセスも良い事から、ディベロッパーは大幅値引き、利回り保証、ローン付き等の柔軟な対応を続け在庫解消はその後かなり進んだものと見られます。在庫が積み上がったプロジェクトのディベロッパーの中には特典として10年間のタイの入国ビザを付けるところもあり、まさにあの手この手といった思い浮かぶ限りの手管を動員しての仁義なき在庫一掃合戦といった様相でした。

2016年に入るとディベロッパーも新規プロジェクトを手控えるようになり、新規ユニット数も大幅に減少、その状況は現在も続いていますが、在庫一掃も進んだ事からパタヤの市場もそろそろ底を打ったのかな?という印象を受けます。

次回はパタヤの不動産市場現状に関して、公表されているリサーチ数値やタイ政府の大型投資プロジェクトであるEEC(Eastern Economic Corridor、東部経済回廊)等の動きを考察しながらあぶり出して行きたいと思います。

その前にこのプラタムナック地区からパタヤとジョムティン地区を結ぶ主要幹線道路であるTHAPPRAYA ROAD(タプラヤ通り)を挟んで東側に位置する一角について説明したいと思います。


※タプラヤ通り東側地区

僕の記憶では、タプラヤ通りは2006-8年の長い工事を経て、それまでの片側2車線から3車線に拡張された後、道沿いに小規模ホテルやレストランが飛躍的に増加し発展しました。そして東側のこの一角はタプラヤ通りを頂点に緩やかな坂が続く盆地形状となっていた為、従来からあまり人気が無く、パタヤの中流層が住む住宅もしくは空き地の多いエリアでした。

僕のウインドサーフィン仲間のタイ人がこの地区の一軒家を所有しており、家賃5,000バーツ程で貸していたのを記憶しております。買ったのはずいぶん前らしいのですが、購入金額を聞いたところ、それが家の値段なの?といった安さで5年落ちのトヨタヴィッツ(タイではヤリス)といい勝負?の価格帯だったと記憶しています。

一度訪ねた事があるのですが、庭付きのこじんまりした2LDKで、庭にはマンゴーの木が実を付けており、ベンチに座って食べていたのですが、盆地地帯といった事もあり風の通りが悪く、汗が止まらないは、大きな蟻に足をかじられるは(かなり痛いです)と散々な目にあったのを覚えています。

そんなエリアでしたが、パタヤやジョムティン地区へのアクセスがいい事から、やはりパタヤの不動産好況期に大型プロジェクトが計画され、Arcadia Beach Resort(1120ユニット)、Arcadia Beach Continental(1350ユニット)、Diamond Suites(500ユニット)等のプロジェクトが完成したものの、こちらでも又プラタムナック地区同様の仁義なき在庫一掃合戦が展開しました。


※アルカディアビーチリゾート

プラタムナック地区とは違い、ビーチが近い、眺望がいい等の利点は一切ない為、プロジェクト価格は3割以上安価だった点に加え、ホテル運営をして利回りを保証するといった大胆なプロモーション販売を行なった等でやはり在庫はほぼ一掃したようです。

但し、同地区にはその他にも小さなプロジェクトも少なからずあり、この地区に関してのコンドミニアム投資には細心の注意を払う事をお勧めします。

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