値崩れは賃貸相場へも波及 (その3)

コロナによるツーリズム鎖国状態の中、ホテル利用されてきたサービスアパートビジネスが干上がり、短期から長期の駐在員顧客にターゲットシフト、仁義なき価格戦争に入った経緯は前回まで説明下した通りです。

とは言え、駐在員層においても、企業側人事の舵取りは、帰任>着任にならざるを得ず、「こちらの水はあーまいよー。」といった状況では決してあります。敢えて説明するまでもありませんが、駐在員市場でのサプライ側プレーヤーは、サービスアパートのみならず、コンドミニアムや賃貸専用マンション(現地では総称してアパートと呼ぶのが一般的)もあり、その競争に凌ぎを削っている状況です。

サービスアパートの極端な値下げは、これまで「サービスアパートに住みたいけど予算がなー。」と思っていた駐在員層にとって大きな呼び水となる事は確かです。但し、ここで誤解をして欲しく無いのは、予算のある人は必ずサービスアパートをチョイスする、といった先入観です。確かに、ホテルのようなサービスが付帯しており(実際は必ずしも同じではありませんが)、不具合等への対応力ではコンドミニアムを大きく凌ぐサービスアパートには有利な点が多いですが、全ての面で凌駕しているわけではありません。

日本人駐在員が居住先候補に挙げるようなコンドミニアムは、その豪華さに置いて、日本の一般的なマンションとは比較にならない程高く、日本で言うところの憧れのタワマンレベルではありません。高層階からバンコクのスカイラインを一望するインフィニティプール、大型フィットネスルーム、煌びやかな吹き抜けロビー、スカイラウンジなど標準装備で、部屋に直通するプライベートリフトや展望台浴場などを完備するところまであります。
ヨシダ不動産の内覧においても、サービスアパートとコンドミニアムを同時に数件ご案内するのは一般的で、同じ予算でもコンドミニアムを選ぶ人は全く珍しくありません。

それは、(1)清掃・洗濯サービス等をパッケージ化したサービスを付帯する、(2)常時いい部屋を揃えている、といったヨシダ不動産ならではの2つの強みが大きく訴求しているのだと思います。「それだったら、別にサービスアパートを選ばなくてもいいよね。」となるわけです。

コンドミニアムはあくまで分譲マンションですので、お部屋によってインテリア、家具等は異なり、ヨシダ不動産で内覧にご案内するお部屋は、コンドミニアムがプロジェクト販売時に宣伝用に用いるショールームレベルのコンディションのものが少なくありません。手前味噌にはなりますが、コンドミニアムが選ばれる背景には日頃の仕入れ努力がその背景にある事は明白な事実なのです。

バンコクにある日系不動産業者の多くは、「予算があるのであれば、問題の少ないサービスアパートがいいですよ。」と勧めるケースが多いですが、それは、先述のサービス提供能力が無いのに加えて、不具合等の問題への対処能力が無い、又は面倒なので対応したくない、というのが背景にあるのかと思います。
それに関しては個々の会社の考え方なので僕がとやかく言うことでは無いのですが、そうなってしまうと物件供給数の一番多いコンドミニアムが賃貸対象から外れる事を意味しますので、多くの魅力的な物件が提案できないのが残念どころではなく、我々不動産業者の存在意義は一体どこにあるのだろう?と思ってしまいます。

いつもの通り前置きが長くなってしまいました。

本題となるコンドミニアムに起きている賃料低下の現状に関しては、次回に回します。

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