回復基調が続くバンコクコンドミニアムマーケット

 

3月末からつい先日までタイ国外にいることが多く、ヨーロッパの某国にいた4月初めには時間を見つけちょこちょこと書けていたのですが、その後はあちこちへと移動が続きすっかり当ブログから離れてしまいました。

 

つい先日のバンコク不動産マーケットに関する英文記事を見つけました。ニュースソースは外資系不動産大手コリヤーズで、2017年第一四半期のコンドミニアム着工件数が2016年の同時期に比べ若干の伸びを見せたとの事。

 

2016年中、ディベロッパー大手は積み上がった在庫を掃く事に集中し、新規プロジェクトの発表を控えていたが、様々なプロモーションが功を奏し在庫一掃に目処がついた為、新規プロジェクトの開始に舵を切っているようです。

 

昨年は3期連続で新規プロジェクト発表が減少したものの、その間販売達成率が順調に推移したため、今年に入ってディベロッパー間での景況感が改善された事がこの結果に繋がったようです。

 

因みに販売達成率は、2016年第1四半期:55%、2016年第4四半期連続:57%、2017年第1四半期:60%と上昇が続いているとの事。

 

「バンコクのコンドミニアムの営業達成率はこんなものなの?」とつい思ってしまいます。新規プロジェクトがプリセールになる度に、初日2日間で完売とか80%販売とかいう話をよく耳にするので、大きく違和感を抱いてしまいますが、考えて見れば人気プロジェクトが大きな話題となっている影で、それ程でもないプロジェクトがやはり相当数存在するようです。

 

このコリヤーズのレポートもGreater Bangkok、すなわちバンコク首都圏を全般的に捉えている為、バンコク中心部のみを見ている僕の数値感とは大きく異なって来ます。

 

考えて見れば在庫が積み上がったのも郊外のプロジェクトのみに言える事であり、バンコク中心部のプリセールでそのような話はついぞ聞いた事がありません。そもそも回復基調という言葉自体に対して「不調だったの?」とつい疑義を抱いてしまいます。

 

その反面、この市場の動きに僕はある種の安堵感を覚えます。在庫が積み上がればディベロッパーはプロジェクトを手控えるといった堅実さをわきまえている点が見て取れるからです。

 

過去10年間のコンドミニアム市場を見ても、販売動向を見ながら供給のコントロールをして来た事が見て取れます。特に暴動や洪水などで景況感が下がった2011年前後にも昨年以上にプロジェクトを手控える動きがありました。そしてその後市場は大きな痛手を被る事なく着工数も販売価格も上昇に転じています。

 

タイの不動産市場はバブルでは無いかという意見を耳にする事があります。特に1990年に日本で起きたバブル経済崩壊を記憶している日本人から発せられるケースがほとんどなのですが、実際の市場は上記の通り十分に理性的な動向となっています。

 

参考までにCBREから発表された、2016年第4四半期時点での、バンコクコンドミニアムの竣工ユニット数の推移、バンコク中心部のハイエンドコンドミニアムのリセール価格の推移、2点のグラフをご覧下さい。

 

※バンコクコンドミニアムの竣工ユニット数の推移

 

※バンコク中心部のハイエンドコンドミニアムのリセール価格の推移

 

郊外では上位中間所得層の実需買い、中心部では富裕層やアジア近隣諸国の投資、という流れは全く衰えを見せておらず、2017年のバンコクコンドミニアム市場は予測通りの上昇を継続するものと思われます。

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