2019年度バンコク賃貸ランキング (その3)

前回掲載した2019年度バンコク賃貸物件ランキングで、地域別で9.4%を占めるプラカノン以東地区からランクインしているのは、11位に着けたIdeo Sukhumvit 93のみとなっています。

プラカノン以東で括られてエリアは、中心部から駅順にプラカノン、オンヌット、バンチャク、プナウイティ、ウドムスック、バンナー、ベーリン、サムロンと広大で、ここ5年程で多数のコンドミニアムが完成しています。

結論から言えば、ヨシダ不動産の顧客の大多数を占める日系企業の駐在員の物件選択トレンドに全く変化は見られませんでした。

アソーク〜エカマイ地区以上に駅周辺には新築コンドミニアムが立ち並び、オンヌットやプナウイティでは大型ショッピングモールが完成し、日本人にとっての生活インフラは格段に進化を遂げたものの、賃貸予算が潤沢な駐在員世帯にとってはスクムビット中心部から離れる必然性が全く無かったという事です。

Ideo Sukhumvit 93のあるバンチャクはローカル色が濃く買い物等に不便ですが、バンチャク駅が目の前とBTSで通勤する人には利便性が高いことに加えて、前回説明した新築のプレミアムが付き、現地採用又は予算の低い単身駐在員世帯に支持を得た結果となりました。広大な敷地に45メートルと25メートルの大型プール、ジョギングトラック、マルチスポーツ施設等が完備する共益施設の充実度もその選択に大きく貢献したと推測します。


※Ideo Sukhumvit 93

コロナの影響で賃貸物件の供給過多が見込まれる中、空室率が高くなりスクムビット中心部で賃料が低下すればプラカノン以東の賃貸物件は今後さらに苦戦する事になるでしょう。

割高になったスクムビット中心部よりはプラカノン以東の物件を購入する方がより高いキャピタルゲインを得られる、と考え、多くの日本人投資家が購入しているものと推測しますが、賃貸においては競争が激しく、思うような家賃が得られない、空室が続く、日本人以外のテナントの見つけ方が分からない等々、困難な状況に直面しているものと思います。

又、過去3年程にこの地域で売られたハイクラス以上のプロジェクトは、平米単価12〜17万バーツが中心価格帯でしたが、エカマイのラグジュアリープロジェクトやプロンポン〜エカマイの駅近築浅物件でも同等の価格で買えるものもありますので、そう考えれば決して割安では無いのです。

長く空室が続いたオンヌットの駅前物件を抱えて困っていたオーナー様と話をした事がありますが、まさにこの典型的な例で、スクムビットのサブアーバン地区が狙い目と言われ賃貸投資物件として購入したものの、空室が2年ほど続いた、と嘆いておられました。

比較すれば平米単価が安く、サブアーバンエリアの利便性向上に伴い、日本人のみならず他アジア人、欧米人、タイ人の居住人口が増えているのは事実ですが、その需要を獲得する手立てが無いままに投資を決断しても、結果は数値上の空論に帰すだけで損をしてしまいます。

統計数値が役に立つ事は言うまでもありませんが、言葉が通じない海外でその実践を日本と同じように振る舞ってもうまくいかない事も又当たり前なのです。

日本人が日本で不動産投資をする際には、信頼できる的確な情報を入手して不動産投資をすれば、テナントも不動産業者も日本人ですので、何らかの問題が生じても全て自ら対応可能ですが、海外不動産投資においては言語のみならず商習慣や文化の違いも又障壁となってしまいます。そういった状況に対処可能な能力を有している人は当ブログの読者の中にも少なからず存在するかと思いますが、過信は禁物です。現地で生活していなければ見えない要素も多数あるからです。

僕が従来から不動産投資対象としてスクムビット日本人居住区の物件を勧めている大きな理由はそこにあります。

参照ブログ:日本人の日本人による日本人の為の不動産投資 IN Bangkok

バンコクCBDの一角を成す地域ですので予算は他地域に比べて割高にはなりますが、このエリアは日本人に限らずタイ人、他外国人の不動産投資が1990年台から盛んに行われると同時にキャピタルゲインのみならず賃貸利回りにおいても他地域を凌ぐ最も大きな成功をもたらせて来ました。

そこに日本人居住区が形成され、安定した巨大賃貸需要があるのは、日本人不動産投資家にとってはまさに僥倖と言えるのでは無いかと思います。予算が許すのであれば、この点を利用しない手はありません。

誰かが言っていたから、〇〇で読んだから、と言った情報を鵜呑みにする事は危険です。特にSNS等で無責任情報が匿名で垂れ流される今、情報は無料でいくらでも入手できますが、その責任をとるのはその情報をもとに判断し行動を起こした当人である事は言うまでも無いからです。

近年バンコクの不動産が投資家の注目を集める中で、CBDのみならず、バンコク首都圏を形成する近隣県も含めて全地域でコンドミニアム建設が急拡大しました。そこにはBTSやMRTの延伸計画による後押し、日本や中国からディベロッパーの進出による助長、といった背景もありました。

売れれば勝ちといった心ない不動産業者や似非識者が発する、駅近なのに割安、タイ人が並んで買って即完売等の宣伝文句に煽られ、ラマ9世やラチャダ地区、ラプラオ地区等、住んでいる日本人はあまり目にしないエリアまでに不動産投資は飛び火していきました。

転売によるキャピタルゲインを狙って購入した日本人投資家も多いと見ていますが、2018年からバンコクの不動産市場は徐々に下降が始まり、2019年には顕在化し、2020年にはコロナ問題が留めを刺すという流れの中で、利益を乗せての転売どころか損切りを強いられる状況となっています。

そのような状況でも日本人賃貸需要の大きいスクムビット日本人居住区のコンドミニアムであれば、賃貸投資に切り替えて利回りを得る戦略に転じる事ができます。後は、不動産市場が好転するのを待って売却すれば投資益を最大化する事が可能なのです。

もし自分では手に負えないエリアで物件を抱え込んでしまった場合、間違った投資を挽回する為にも、地に足を着け現実を見据えた投資戦略に転じていく事をお勧めします。

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