伊藤忠商事もタイのコンドミニアム事業に参入
2月28日付のバンコクポスト(タイ英字新聞)で、伊藤忠商事がタイ大手財閥CPグループの不動産開発会社マグノリア・クオリティー・ディベロップメント(MDQC)との共同事業でアソーク地区にコンドミニアムを開発する、との記事が報じられました。
ニュース元がNNA/Kyodoと記されていたので検索したところ、以下の記事を見つけました。
※<日系進出>伊藤忠、CP系マグノリアとコンド開発 出店:NNA(共同通信)
プロジェクト名は、WHIZDOM ASOKE SUKHUMVIT(ウィズドム・アソーク・スクムビット)。前回のブログでプナウイティ駅前のウィズドム101を紹介しましたが、同じシリーズのコンドミニアムとなります。もっともこちらはバンコクCBDの立地なので、より高いグレード設定になるのではないかと思います。
価格は35平米で10.4ミリオンバーツ(約3,600万円)〜、平米単価は約29.7万バーツ(約105万円)となります。タイバーツは最近強含みで推移しており、NNAの記事内容と円換算レートに若干ズレが生じています。
最近のスクムビットプライムロケーションのスーパーラグジュアリー物件のプリセール価格は30万バーツ超えが常態化していますが、それに応じて売れ行きも鈍くなっているのが実情です。
グーグルマップで計測してみると、最寄り駅となるBTSアソーク駅までの距離は600メートル、徒歩8分と出ました。バンコクでは「ちょっと歩かない距離だなー。」といった印象。但し、MRTスクムビット駅も利用でき、アソークならではの利便性が光ります。
西側方向には、ベンジャキティ公園の綺麗な貯水湖、その向こうにシーロム、チットロムの摩天楼を見渡し、素晴らしい眺望が望めます。
バンコクポストの記事では、CBREのコメントとして、ホームローンの厳格化と昨年暮れにタイ中央銀行が行なった利上げといった市場環境下での参入はチャレンジ(厳しい)が予想される、を紹介し締めくくられています。
来月から導入される、ホームローンの厳格化の内容は、下表を参照下さい。
※2019年4月からの導入が決まっているホームローン新ガイドライン
確かにこの厳格化はコンドミニアム販売においては足かせになるものと予想されますが、充分な資金を持つタイ人富裕層が購入するCBDのラグジュアリークラス以上の物件販売に対する影響はさほどないものと思っています。
それとは別に、30万バーツ以上の価格帯においては、さすがの富裕層もより慎重なプロジェクト選択を行う為、結果的に買い控えの心理状況になっているといった傾向、つまりは価格的な問題の方が売れ行き鈍化の要因になっていると見ています。
簡単に言うと、「これ高すぎんじゃね?」とタイ人富裕層は感じていると言う事です。
又、タイ中央銀行が実施した利上げにおいては、タイバーツ高による為替デメリットが外国人投資家の心理を冷やしており、タイ人富裕層の購買欲への影響はさほどないものと推測します。
何れにせよ、当ブログでも昨年暮れから警告してきた不動産市場の低迷は現実化している中、このプロジェクトの趨勢は市場を測るベンチマークとして興味深いところとなるでしょう。