2019年日本人駐在者数減少へ

2019年第一四半期の日本人駐在者数は33,460人で、前年同期比34,404人から2.7%減少しました。
外務省発表の2017年10月1日時点での統計では(もうちょっとスピードアップできないもんですかね?)、タイの在留邦人数は72,754人と前年から増加しています。


※タイ在留邦人数の推移(2017年10月1日時点) 出典:外務省

又、永住者を除いた都市別長期滞在者数は51,981人と2位の上海を突き放し堂々の1位に輝いています。


※都市別在留邦人数2017年10月1日時点) 出典:外務省

外務省発表の在留邦人数は、3ヶ月以上の長期滞在者に課せられている在留届がベースになっているものと思いますが、在留届を提出してないリタイヤ組、タイ好きが高じて住んでいる人等を含めると、実際10万人以上は在住していると見られています。

弊社の賃貸部門のお客様の95%以上は日系企業の駐在員とそのご家族ですので、駐在者数の減少はビジネスサイズの減少に直結します。

元来製造業関連が中核を成している企業駐在員ですが、製造業種の進出数はここ3年ほど減少傾向にあります。

2012年尖閣諸島の国営化が引き金となり反日運動が激化、日系企業の中国進出が大幅に減速。政府はチャイナプラス1を提唱し、タイ、インドネシア、フィリピンへ等の東南アジアの国々を進出先として奨励しました。

2013年の日本人駐在者数35,539人の記録が残っていますが、現在よりも2,079人、約6%多かった事になります。

もう一つ見逃してはいけない点として、為替レートの推移が挙げられます。

尖閣問題の後、2012年12月に安倍政権発足すると、それまで1バーツ2.5円だったのが3.5円と、一挙に40%下落しました。製造ラインの海外移転は製造コスト低減が大きな理由ですから、円安に振れるとリスクを伴う海外進出はその大きな意味を失います。


※日本円-タイバーツ為替レート推移 出典:xe.com

為替以外にも、メーカーが進出したので子請け、孫請けとなる部品納入業者も同時に必要に迫られた等の理由もあり、進出背景は必ずしも単純なものばかりではありません。進出先の人件費レベル、投資環境、TPP加盟国か否か等も又重要な判断基準となるでしょう。

加えて、昨年勃発した米中貿易戦争の影響で、中国での製造事業を他のアジア諸国に移管する必要に迫られている企業も少なくないはずです。

中国からタイに移管する動きも当然あるのでしょうが、労働許可証の発行数を見る限りでは、その動きはまだ顕在化していないようです。

日本人駐在者数は減少していますが、逆に賃貸用のコンドミニアムは増加の一途を辿っています。今後も駐在者が居住するバンコクCBD地区では3万戸前後が新たに完成、供給される見込みですので、テナント獲得競争の激化は必至です。

土地価格を背景に新築物件価格は上昇し利回りを圧迫しているにも関わらず、会社支給の家賃はほぼ横ばい、そして賃貸競争は激しくなる、等々は利回り収入を見込んでいる投資家にとってあまりいいニュースではありません。

弊社においても、投資家のお客様にはテナント付けを約束する中で物件紹介をするのが常ですが、その約束を果たす難易度が上がっている事は前述の通りです。

バンコクにおいては最大級の賃貸シェアを持っているからこそヨシダさんのとこで買った、というお客様は少なくない事は十分心得ているつもりですし、無論の事、その期待に応えるためにも、弊社で購入頂いた物件には最優先にテナント付けを行なっています。

おかげさまで2019年1-6月の賃貸実績は前年同期比24%アップと好調に終える事ができそうです。駐在員賃貸市場が減少トレンドになる中でこの業績は悪くない、と思っています。

弊社で物件を購入して頂いているお客様に利回りリターンで答える為にも、この賃貸シェアは更に伸ばしていく必要があるものと改めて責任を感じています。

おすすめ