新しい局面を迎えたバンコク不動産投資

昨年暮れぐらいから、プリセールで完売し、人気物件と思われていたパーク24(フェーズ1)、アシュトン・アソーク、ライフ48などのユニットが、プリセールから5−10%ぐらいの限定的な上昇で売られている状況を目にするようになりました。売り急いでいるユニットになると、プリセール価格とほぼ同じ投げ売り価格で出ているではありませんか!

こういった状況は、記憶している限りバンコクの人気物件では過去起き得ませんでした。これにより、バンコクのプリセール投資も新しい局面を迎えつつある、という印象が僕自身に深く植え付けられたように思います。

プリセール物件は完成までに支払いが価格の2〜3割程で済む、うまくいけばキャピタルゲインを大きくのせて転売できる、といったメリットがあるのですが、物件は完成していませんので、当たり前のことながら賃貸利回り収入などはありません。

完成前の価格がプリセール価格とほぼ変わらないのであれば、一括で支払いをできる人にとっては、購入後即賃貸に回す、自己居住するなどすれば、資金を眠らせるロスが無い分、投資としては有利になるわけです。まあ最も自己居住では投資にはなりませんが・・・。

当然、今後こういった事態が必ず起きるとは限りませんし、完成直前の購入は必ずしも希望のユニットを確保できるわけではありませんが、プリセール一辺倒の発想はそろそろ見直しの時期を迎えたのでは無いかと思います。

前回の「高騰が止まらないアソーク駅周辺プロジェクト」でも書きましたが、平米単価が30万バーツを超え40万バーツに届くようになると、3年ぐらい前までは特に珍しくなかった「すぐ完売といった」状況は起きにくくなるばかりでなく、完成後もディベロッパーは売れ残りユニットを抱えるようになるのではないかと思います。

バンコクの高級コンドミニアム不動産市場は、2005〜2014年はタイ人富裕層中心の投資、2015年〜現在は自国の不動産が高い香港、シンガポール、台湾、中国(大都市圏)からの投資が市場を牽引してきました。一般的には華僑は利に敏く投資がうまい、と考えられがちですが、それは成功した人が目立っているだけであって、その裏には多くの敗残者も数えられないほどいます。叉、現在投資しているのは華僑といるよりも、それぞれの国に住んでいる中国系の一般人です。ですので、高値を続ける一等地ラグジュアリーコンドと言えども、盲目的に追い続ければ大怪我をして破綻する人達が出てくる可能性は十分にあります。

コンドミニアムが絶好調の2005〜2015年頃は、ディベロッパーもプリセールで売り出した物件が転売され購入者の多数が大きな利益を手にした状況を、コンドミニアム市場価格を押し上げてくれるのは嬉しいが、その利益は自分のものにしたい、と半ば忸怩たる思い出見てきたはずです。そしてその利益を手中せんが為に、プリセールで全ての物件を放出しないで後で高値になった市場価格で売る→できるだけ将来価値を的確に織り込んで売る、と販売戦術を展開してきましたが、その行為が市場の許容臨界点を超えてくると、資金に余裕がある投資家の戦術としては、「完成前に値頃な物件を買えばいい。」に切り替えて来るのは理に適った選択となります。

実際AP社のフラッグシップ的なアルティメットクラスのプロジェクトVITTORIO(ヴィットリオ)はプロンポン駅徒歩5分以内といった好立地の豪華コンドミニアムながら、平米単価35万バーツを超え且つ100平米超の大きなユニットばかりであることから完成から半年ほど経過した現在でも在庫を抱えている状態のようです。結構な値引きをしているもののなかなか在庫がはけないといった情報も耳に入ってきます。

 

※VITTORIO(ヴィットリオ)

実は、世界のあちこちで大規模な不動産投資を行っている弊社のお客様ともそんな感じで投資戦略を練り直しており、今後は、余程魅力的なプロジェクトであっても値ごろ感が無ければプリセールでは購入しない、完成登記前の人気プロジェクトの投げ売りを安値で拾う、といった方向性で舵を切る話を進めております。

タイの不動産投資はその創成期は既に終焉しており、5年ぐらい前までの何を買っても儲かる、といった状況は既に過去の話です。現在は、物件の誤った選択は致命的となり、高い確率で無残な投資結果をもたらします。

反面、そのリスクはコントロール出来ないわけでも全くなく、間違いのない物件を購入することにより、期待以上の賃貸利回りとキャピタルゲインを得る事はまだ十分に可能なのです。

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