2021年新規コンドミニアム発売数は記録的な低迷

バンコクにおける2021年の新規コンドミニアムの発売数は、2020年より更に低迷するとのニュースが本日付のバンコクポスト(現地英字新聞)で報じられていました。

グラフを見ると2021年の発売は20,000ユニットが計画されているに過ぎず、ピークとなった2018年の66,201ユニットと比較すると、2020、2021年共に3分の1以下に激減している事になります。


※バンコク新規コンドミニアム発売数(2009〜2011年) 出典:Colliers International Thailand

グラフが示している以前、例えば2006年においても27,550ユニットの発売がありましたので、ここ15年で最も低い記録的な数値である事が分かります。

この低迷はコロナ問題が直撃している事は言うまでもありませんが、コンドミニアムの販売低迷は過去のブログで何度も説明してきた通り、2017年下半期から始まっていました。プリセールで購入したユニットの転売が難しくなり、ディベロッパーが市場価格の上昇に合わせた上乗せ価格に買い手が背向けるようになったのです。それまでは販売好調を背景に、プリセール購入された物件のリセール価格以上の販売価格をディベローパー各社は設定していましたので、市場の動きに対する反応が俊敏な個人の売り手とディベロッパーの価格は大きく乖離していきました。市場を熟知しているリセール市場での買い手は当然前者のチャンネルから物件を購入したのは当然の成り行きです。

2019年も新規プロジェクトの発表を継続した大手ディベロッパーとしては、在庫を積極的に値引き販売するのは困難だった事情も当然そこにはありました。2019年なると、プリセール価格以下で損切り転売をするリセーラーが目につき始め、2020年に入るとそれが大きく顕在化していき、コロナが直撃というのが今に至る流れです。

ディベロッパー各社は現在完成在庫の一掃にあの手この手の値引き販売を実施しており、個人リセーラーとの価格乖離はかなり狭まって来ていますが、止むに止まれぬ事情で大幅損切りに踏み切る人も少なくないので、市場を熟知するバーゲンハンターにはさほど魅力的には映っていないようです。

タイ人富裕層から中国人を中核とする外国人投資家に買い手の主役が移行して来た中、コロナ禍で外国人が入国できない現状では市場の底値はまだ先になるだろう、と考える人は多く、それも又至極当然だと思えます。

既に欧米食ではワクチン接種を開始してはいますが、その効果が発揮されたというニュースはあまり聞かれず、毎日耳に入るのは、変異してより感染力が高まり、ヨーロッパ各国で再度の緊急事態宣言発令、重傷者数、死者数共に急増中といったダウンサイドのニュースがほとんどです。

日本においても、本日より1月末までビジネストラックや再入国者の一部を除いて入国禁止となり、こりゃコンドミニアム市場云々と言っている場合では無い、というのが誰にとっても常態化しているというのが現実なのかと思います。

ワクチン接種による感染沈静化→外国人入国再開が市場復活の前提条件となる中、まだまだ暗く長いトンネルが続いていくのは必然と考えるのが妥当でしょう。

おすすめ