2020年を振り返って 

改めて言うまでも無く、2020年はコロナ感染症が生活様式を一変させる中、経済にも激震が走りました。

僕が責任者であるヨシダ不動産も例外ではありません。

賃貸事業においては、3月半ば以降、日本からタイへの飛行機が飛ばなくなると共に新規赴任の流れが完全に停止。賃貸需要は既存のお客様の引っ越しに限定されてしまいました。7月から特別臨時便が運航されるようになると、それまで赴任できなかった駐在員需要が少しずつ伸び始め、11月は今年度初めて昨年同月の実績を上回るに至り、ほんの少しですが息を付けたところです。とはいえ、日本同様、世界中でコロナの第2波が猛威を奮っている中、まだまだ予断を許さないものと見ています。

任期が終了し帰任した駐在員の穴埋めができていないといった日系企業は多数に登り、待てないケースは到着後の2週間の隔離条件を承知の上で着任を進めていたものの、9月までは臨時便の運航数は全くその需要に追いつけず、まるで椅子取りゲームといった様相を呈していました。11月に入り臨時便の増便が行われる中、状況も改善してきました。とは言え、タイ人、又はその家族、労働許可証を有している者とその家族に限る、と渡航可能条件が厳しいのがその受給バランスを保っているのは間違いありません。

次回以降に言及しますが、この厳しい入国条件こそが、GDPの20%がインバウンド関連に依存している観光立国タイの経済を著しく傷つけている事は言うまでもありません。

そしてこの厳しい渡航制限は、賃貸事業以上にヨシダ不動産の売買事業にも大きなハードルとなっています。現地に来られないので不動産売買がほぼストップする点は読者の皆様の想像に難くないかと思いますが、それ以上にプリセールで購入頂いた物件の引き渡しに大きな障害となっているのです。

購入した物件の引き渡し、といった一大イベント。投資家の多くの人にとっても、人生の中で何度も経験するような事柄では無い上に、ましてや海外の不動産。よほど慣れた人ではない限り、その緊張感はレッドゾーンに突入します。そのような重大事項を現地に赴く事なく進めなければならないのは、不安であるばかりでなく精神的に大きな負担となるはずです。

海外不動産投資、もしくは自己居住目的での不動産購入、何れにしても海外での不動産購入に踏み切るのは一大決心となります。どんなふうにできるのかな?日本みたいにちゃんと約束事は守られるのかな?HPやビデオのようにユニットやプールなどは豪華に出来上がるのかな?等々、期待と不安を抱えながら完成時期を待っていた事だろうと思います。

なのに、コロナで現地に渡航できない為に、完成物件を自分の目にする事なく、残金を決済し登記しなければならないのです。残念でもあるでしょうが、一体どうすればいいんだ?困惑と共に途方に暮れてしまう、と言うのが心理ではないかと斟酌します。

又、登記前転売で利益を上げて出口を狙っていた投資家の方も少なくありません。損切りをしてでも手仕舞いするのか?登記して賃貸利回り獲得に投資戦略を転換するのか?と迷うばかりでなく、予定していなかった資金の手当てに追われる、といった方がヨシダ不動産のお客様でもいます。こうなりますと、個々のお客様が抱かれて投資イメージは一様ではありませんので、正確な市場分析と丁寧な説明を徹底し、誠意を持って大金を投じたお客様に納得の結論を出して頂く必要があり、当然不動産業者としては大きな責任を担う事になります。完璧な結論は保証の限りではありませんが、全力を傾けてのベストな結論を提示する事はお約束する、これがヨシダ不動産の原則的な考え方です。

以前当ブログで、投資家の皆様にとってヒマラヤ山脈を共に登るシェルパのような存在でありたい、と言及した事がありますが、今まさにそれが試されており、本領を発揮する時だと感じています。

話は変わりますが、これまでと違った考え方で見直しているのが管理業務です。

過去ログ:お部屋の管理について1〜3で、簡単ではありますが、所有している空室の管理に関して説明しました。バンコクの賃貸市場が極端な供給過多となっている状況下、賃貸難民となっている方と同様に管理難民に陥っている投資家の方も少なくない事実が見えてきました。

賃貸難民は僕の造語ですが、それに関しては、過去ログ:増加する賃貸難民を参照下さい。

ヨシダ不動産においても既に多数の管理物件があり、空室のユニットは定期的に換気や不具合のチェック等に足を運んでいますが、全く放置している投資家の方が実に多い事に驚きます。ディベロッパーから直接購入した、販売した仲介業者との関係が途絶えている等々が理由にあるようですが、タイのような高温多湿な気候の中で物件放置は致命傷になり、当然物件価値低下→投資利益低下を招きます。追加費用は必要になりますが、ちゃんと管理をする方が最終的にはずっとリターンが多い結果となります。多くの方がその事実に目を背けているように感じています。どこに頼めばいいか分からない?と言う人もきっと少なくないのでしょう。

ヨシダ不動産では、これまで販売した物件を中心に管理業務を担ってきましたが、他社で購入した物件においても、管理契約と賃貸付けは行っています。勿論、自己販売物件→自己管理物件→一般請負物件が賃貸付けの優先順位にはなりますが、一般請負物件でも賃貸物件データベースには登録されますので、他社に頼むよりも賃貸成約確率はグッと高まるはずです。

管理難民となっている投資家の皆様に応えるべく、今年に入り物件管理のソフトウエア開発を始めております。思った以上に時間がかかっておりますが、来年初めの稼働開始を目指しています。細かい経費管理、ハードウエア管理のレポートができるようになる見込みです。最終的には、機械化する事により、管理費用をもっと低価格化したいと思っています。

実は、今回から来年のバンコクの不動産市場の予測を書こうと思っていましたが、冒頭で今年のヨシダ不動産に関して簡単に触れておこうと書き始めたら、いつもの事ながらその前置きが長くなってしまい、慌ててタイトルを変えた次第です。

コロナで様々な困難はありましたが、ヨシダ不動産は巡航速度を取り戻しつつあります。今後もお引き立ての程をお願いします!

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