日本の空き家状況①

僕はフルーツが入っている料理は好きではありません。酢豚にパイナップルとか胡瓜が入っている場合もあります。よって旅行でタイに初めて来て以来20年以上経過しますが、ソムタムデビューはここ数年のことで、それ以前はサラダにパパイヤが入っているなんて考えられませんでした。
熟成していないとは知っていたけど、食わず嫌い状態のまま数十年。初めて食べたのが数年前。美味いではないですか。こんなうまいものを食わず嫌いであったなんてなんと勿体無い。ただとても辛いので「マイサイプリック」といって、全て唐辛子を抜いて貰っています。タイ人はそんなの美味しくないといいますが、いいのです僕が美味しければ。
さて今回は日本の空室率について
この内容はいつかまとめようと思っていたのですが、先日旅先のチェンマイにて大雨の中部屋から一歩も外へ出ることが出来たかった中、視聴できる日本のテレビ番組はNHKのみ、ちょうどそのときに放映されていた番組が日本の空き家事情の特集でした。
そら恐ろしく感じたのは、廃墟同然の空き家がとても多いことでした。
競売の連鎖
私も経験上、様々な空き家を見てきました。背筋が凍るような経験もしましたし、次のような経験された不動産営業マンも多いと思います。所有者が変わっても毎度のように競売になっていく家、登記簿謄本の所有者欄(甲区)を見ると、所有者たちの繋がりはないと思われますが、誰もが競売に陥っている姿があり、何かに取り憑かれているのではないかと思わざるを得ないような・・・結構多いのです。
競売まで陥らなかったとしても、債務欄(乙区)を見ると同様に一連の所有者たちに繋がりは感じられないのですが、その多くが多重債務に陥っている物件。科学的根拠は何もありませんが、購入前には全部謄本を取って、過去の状況は調べた方が良いのではないか、と僕は思っています。
都会の孤独死
これは空き家の話ではありませんが、勤務していた会社の賃貸部より連絡があり、大家さんに連絡が取れないとのことで、一緒にアパートに付いて来て欲しいとの以来があり、賃貸部は女性社員が大半を占めるので、男手がほしいという意味だったのですが、その時点で嫌な予感が脳裏に浮かびました。
賃貸部の話によると、元々はその大家さんはアパート1棟購入したのですが、その物件の1室に住んでいます。懇意にしていた銀行の支店から数ヶ月返済が滞っている、連絡しても電話に出ず連帯保証人は遠方に住んでいるとの事。許可を取ったので鍵を開けて一緒に室内を見るので立ち会って欲しいとの依頼でした。
大家さんはさほど高齢ということでもなく、年齢は50代後半であったと思います。この手の話は出来れば避けたかったのですが、その時の銀行の担当者は僕と懇意にしていたことも有り、行かざるを得なくなりました。
玄関扉を開ける際には感じるか感じられないか程度の異臭があり、その時点で覚悟は固まりました。扉を開けた瞬間、今までの人生では感じたことのない強烈な異臭が一気に噴出。その時点で中の状況は容易に察しが付きました。ミイラ化してとても小さく縮んでしまった大家さん。都会の孤独死でした。
突然の叫び声
またあるときはその方の母所有の空き家を売りたい。立地は人気の場所で金額が合えば当事勤務していた会社が買い取るということで話はまとまっていました。
建物調査時の立会いには以前そこに一人暮らしをしていたお婆ちゃんが付き添いと共に来られました。
申し訳ない言い方ですが、何か異様な雰囲気を漂わせる方でした。元々話があった時点で、その場所を住宅地図で調べたところ、僕らも良く知っている長い年月空き家であった物件でした。
整然とした町並みの中、鬱蒼と生い茂った樹木に囲まれるように建っており、その樹木によって日当たりは1、2階共に遮られています。投げ込まれたであろうゴミの散乱や門の周囲には道路とその土地の境界線をはみ出すほどのいくつかの粗大ゴミが置かれ、鼻を突くほどではありませんが十分に感じられる異臭。この家の調査に行くと思うとそれだけでとても憂鬱な気分でした。
後に聞いたところによると、近隣住民からの苦情で売却を判断する結果となったらしいですが、そのお婆ちゃんは10年ほど前から介護施設に移り、依頼主である息子含めその他の家族も誰もそこに住む予定はないということでした。
都内の中でも人気のある場所で町並みも綺麗な立地です。リフォームするには相当なお金がかかりそうでしたが、立て直して綺麗にすればとても見栄えのする印象を受けました。
新築物件を建築する用途で購入すると物件の建物は、引渡し終了後すぐに解体工事に取り掛かるので
内部を見ない場合もあるのですが、同行した解体業者がそそくさと中を調べだしたので、
一人外で待っているわけも行かず、重い気持ちを引きずって内部に入りました。
ある部屋の襖を解体業者が開けようとしたところ、突然の怒鳴り声、「そこは空けるな。」。声の主はそれまでほほ無言であった持ち主の老婆でした。ドラマにもあるようなシーンのようですが、ほぼ表情のなかった老婆の形相は引きつり僕は平静を装いながらも背筋は凍る思いでした。
後になって事件性はないことはわかったのですが、何か思い出のあるものが詰まっていたのかもしれません。触れられたくないものがあったのだと思います。
どんな事情があれ、心の奥底には触れないのが僕らの仕事であり、もしそれを話し出すことがあれば親身になって聞くのも又僕らの仕事でした。
長く不動産業に身を投じていれば、喜怒哀楽や悲喜交々の怒・哀・悲の部分に携わることを避けられない部分もありますが、幸せな不動産取引が出来ることを願ってやみません。
NHKの番組では、空き家にゴミが投げ入れられる、放火等の危険性を報じていました。
誰かが住んでいる
その他にも長く誰も住んでいなかった家の売却依頼がありました。その家は長く空き家であった割には整理整頓され、聞くところによると奥様が1ヶ月に1度は清掃に来ていたようです。しかし売主からは、どうも人が住んでいる形跡がある。調べてくれないかとのこと。
日中物件の近くを通る度に鍵を開けて内部を除いたのですが、そこに誰かがいることはありませんでした。ただ長く空室であった部屋から感じる独特の雰囲気も又ありません。ある日2階の和室に毛布があったのを見つけました。奥様がそんなはずはないとの反応。
たまたま隣地は僕が購入をお手伝いさせて頂いた家であったので、状況確認してみると深夜何かしら音が聞こえたことがあるというお話。そこで深夜に見回ったところ、人が寝ていました。
深夜のことですから、僕も寝ていた相手も心臓が飛び出るほど驚いたことを覚えています。寝ていたのは浮浪者で、確かにそのときは大寒波の時だったと思います。彼は朝早く家を出て、深夜になると舞い戻り寝床にしていたとのことでした。涙を流さんばかりに謝っていたのと、その日は僕にとっても身に染みるような寒空であったので、悩みましたが大家さん共々二度と入らない約束をして警察には引き渡しませんでした。今になってみると、その判断が防犯的に正しかったのかどうか?
増え続ける空き家において、建物の一部崩壊、雑草問題、害虫の増加、不法投棄、景観の悪化、放火等の犯罪。様々な問題が提唱されています。
その空き家は建蔽率ぎりぎりまで建築されていたので、庭と呼べるものはなくゴミの不法投棄等はなかったのですが、侵入者の放火や、タバコの不始末により失火等は十分に想像がつくわけで、近隣住民への防犯の為、心を鬼にして警察に届けるべきであったのかもしれません。
様々な要因はありますが、増える高齢者、少子化によって減少する人口。子供たちは価格が低下して購入し易くなった都心または都心近くのマンションでの生活。
家を引き継ぐものがいない。
日本に住む誰しもが、身近に空き家が存在するのではないでしょうか?
それだけではなく、賃貸アパートマンションの空室の増加も挙げられます。賃貸物件においては完全に勝ち組負け組みが分かれ始めているのではないでしょうか?
それはその通りで、少子化が増加の一途をたどる中、相続対策等で増えている賃貸物件。その反面、あまりに低利率な住宅ローンにより、気軽に家を購入することが出来る現況があります。
例えば東京23区域で検証してみます。
家賃を住宅ローンの支払いにした場合いくら借り入れているのと同等か?またはどのような物件が購入できるか?35年ローン金利1%を例とします
家賃 借入額 購入対象
8万円(2DK) 約2,820万円 築10年前後の3LDKマンション
10万円(3DK) 約3,550万円 新築マンション、築5年前後のマンション、千葉埼玉に
近い23区の新築一戸建て
立地によって異なりますが、これ以上の家賃を支払っている方は新築マンション、新築一戸建て含め、より都心に近い立地または人気地域の購入が可能なわけです。
上記全ての内容は、頭金0円での計算ですので、加算できる頭金があればその上の物件を購入できるわけです。賃貸物件で訪れたお客様には、上記内容を説明し低金利時代には購入することもお勧めですとご説明して購入いただいたことが数多くありました。
2DKの賃料で3LDKのマンションが購入できるので、お客様にとっても悪い話ではありません。
また、収入から割り出してみると、
2014年平均世帯年収 約540万円
これを返済比率25%で逆算すると月々13万5千円の支払能力。金利1%、35年ローンでは約4,800万円ものローンを組んで余裕をもった生活ができるわけです。ただこれはあくまで数字上の問題で、金利が低い分借入額が高額になっても余裕の数字が出てきますが、実質はこの数字ですと年収の9倍近い数字ですので、これはお勧めできません。
一般的には年収の7倍(地域差有り)4,000万円前後が好ましいと思います。23区域で合算せずに夫妻どちらかが700万円以上で合算1,000万円以上の収入の方は、年収の8倍の購入金額も多く見受けました
返済比率25%については下記シリーズを参照下さい。
日本の住宅ローンを持ちながらタイのコンドに投資する①
よって古くからある家に住むよりも、金利が安い時代であれば都心傾向は強くなります。逆に金利が上昇したり購入価格が高い時代が来れば、親の家の立て替えや改装も視野に入ってくるのではないかと思います。
ただ上記540万円は全国平均で、東京都内に従事する方では合算年収1,000万円以上というお客様は珍しくありません。このあたりの収入の方は初めての購入であれば5,000万円以上、買い替えとなると、スムーズに買い替えが行えたとして7,000万円以上、または億に達する場合もあります。つくづく夫婦合算は強いなと思いました。
金利が安い現状下、返済比率が25%を超え30%以上になる無理な返済形態も減少しているのではないかと思います。
そして私が提唱してきた25%の返済率も、23%前後または20%以内ほどに減少しているのではないかと思います。
金利が安く、購入価額も安くなり、返済比率も減少していくなかで、この数字だけを見て勝ち組負け組みと言われている日本ですが、実際には余裕を持って住宅ローン返済している方も増えているのではないかと推測できます。
話は戻りますが、今後も高齢者は増加し、少子化が断続的に続いていくことは様々な情報やニュースを見ても続いていくことが予想されています、
しかしこの空き家または空室状況は更なる悪化が進行しています。それぞれの家庭で止むを得ない事情もあるでしょう。
次回はそのあたりも踏まえて、タイ人オーナーたちは人気の出ない物件でも即決されるような工夫をします。そのあたりに触れていきたいと思います。
そして気軽に住宅を購入できる時代に、高額と言われて来た物件や地域においても支払額は決して高くない状況なのですが、反面、賃貸物件を所有して気軽に生活したいという方が増加の一途をたどっています。そのあたりも触れていきたいと思います。

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