値崩れは賃貸相場へも波及 (その1)

コロナ禍ビジネス環境も1年以上が経過し、あっという間に4月になりました。年齢を経るごとに時間の経過が早く感じるようになります。かなり前にはなりますが、この事を顧客のお医者様にぼそっと漏らしたところ、それは医学的には既に説明が付いており、動的平衡(福岡伸一先生著)を読むと良く分かりますよー、との事で、早速Amazonで購入し読み始めたのはいいのですが、ちんぷんかんぷんで理解が一向に腹落ちする気配すらしないどころか、すぐ眠くなる始末で、「お医者さんってやっぱり頭がいいんだな〜。」と思いながら、本は本棚に埃を被って今も鎮座したままになっています。

海外不動産投資に興味があって当ブログを読んで頂いている方は、リテラシーの高い方ばかりかと思いますので、是非読んでみては如何でしょうか?いい本だな〜とは思うのですが、僕にはハードルが高かったかな?(〇〇先生ごめんなさい、今ここで白状します。)

旅行、飲食業界ほどではないものの不動産業者もコロナ禍では大きな影響を受けました。不動産業者と言うよりも、海外で自国人対象に不動産賃貸、売買を実業としている業者、と言い直した方が妥当かも知れません。国境を跨いでの移動が制限された事がその原因となっている、からです。これは説明するまでもないですよね?

ヨシダ不動産においても昨年度の収益を見ると、ざっくりではありますが、住居賃貸は昨年度比85%、売買は30%、オフィス賃貸はほぼ横ばい、といった結果になっています。

賃貸に関しては、4〜8月は新規赴任ができなくなったにも関わらず、まずまずの結果だったのではないかと思っています。3月に帰任した駐在員の穴埋めができなかった分、9月頃から特別臨時便の増加と共に後任の人達が入国し始めた結果、10〜11月は前年度を上回る成約件数を記録。12〜2月は前年度を下回りましたが、3月に関しては、前年度同時期既に渡航制限が始まっていた関係も大幅増加となっています。

3月の成約は4月に入居するケースがほとんどですので、今年の4月は昨年と違いのんびりしたソンクラーン(タイのお正月で4月13〜15日は祝日)とならない模様。嬉しい限りです。

目に見えて家族世帯が減少しているのは、やはりコロナが影響しているとみて間違い無いでしょう。企業側のリスクヘッジもあるのでしょうが、赴任者が意図的に家族帯同を選択しなかったこともあるかと思います。

その影響で、従来は空かずの間となっていた人気アパート(賃貸専用のワンオーナー物件で広い家族向けが一般的)も空室を抱えるようになりました。そして、それ以上に空室が出ているのは、サービスアパート、コンドミニアムとなっています。

サービスアパートは、日割り、月割り、年単位で滞在でき、ある意味でその点はホテルと何ら変わりがないのですが、滞在が短い程宿泊費が高くなる価格体系となっています。ですので、マネジメント会社によっても違いはありますが、観光客が多い時勢ではレートの高い短期滞在旅行客に優先して部屋を貸し、そうでない時には駐在員他の長期滞在者で埋める、といったマーケティング戦略を取り、収益拡大を図るのが一般的です。

バンコクでは大手となるセンターポイントはその最右翼で、観光客市場の低迷期やオープンしたばかりで知名度が低い物件においては駐在員ターゲットに魅力的な価格を提示しますが、旅行客が増えてくると大幅値上げをして長期滞在者を締め出しにかかります。

非常事態宣言の延長をし続けて、観光客の入国を一切認めていない現状の中、GDPの2割を占める観光業は壊滅的な打撃を受けている事は、タイに興味のある読者の皆様であればよく知るところかと思います。

サービスアパートの選択肢としては、指定隔離ホテル(ASQ)としてビジネスを続ける以外は、駐在員市場の取り込み拡大しかチョイスはありません。ASQを選んでも市場規模には限界がありますし、宿泊人数制限やより厳しい衛生管理、指定病院との連携、設定レートの限界(高過ぎれば誰も泊まらない)等々で実際はさほど美味しいビジネスではないようです。


※隔離ホテルを案内するHP

そこでもう一つの選択肢、駐在員市場の拡大を目論む訳ですが、渡航制限がある為通常期よりも市場規模はずっと小さくなっています。当然、そこで考えるのは、値下げ、より良い滞在条件の提示等になる訳ですが、そこで仁義無き戦い(古いか?)展開するのは想像に難くありません。

そこら辺の状況を説明しながら、コンドミニム賃貸市場の現状にも言及していきたいと思います。

 

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