タイ人から見た日本人

今回は少し投資観点から離れて、実際にタイ人として日本人が自国のコンドミニアムを購入することについて、どう感じているのか? 今までタイのディベロッパーや仲介会社と話し合いをしてきたことを通じて感じたことを書きたいと思います。
タイは親日国、というのは衆知の事実ですが、実際タイで暮らす我々はどう感じているのか?

※物件の管理人
この内容を書こうと思った2つの理由があります。
1つはヨシダ不動産がお部屋をお世話するお客様は日本人駐在員が大半です。ご案内していると、よくある質問の1つに「治安は大丈夫?」があります。確かに異国に住む以上、外国人は当然気になるものと思います。
慣れた駐在員やタイで暮らす日本人に言わせると、「今は日本のほうが治安は悪い」という方も多くいます。確かに日本での事件を見ていると、一体日本はどうしてしまったのでしょうか?と思うような出来事が昨今多いですね。子供をこよなく愛するタイでは、親子同士の殺し合いや赤ちゃんに熱湯をかける等の虐待は考えられないほどのことだと思います。

※都心アソークのコンド群
2つ目は先日コンドミニアム購入のご案内をしていた際、お客様から「タイもマレーシアも日本人がたくさんコンドを購入しているけどそれを現地の人は実際どう思っているのだろうか?金満国としてのやっかみはないのだろうか?」と聞かれた事です。
その方自体たくさんの事前学習をしており、中国、マレーシア、タイの3カ国いずれかでの購入を検討し、タイを最終判断地としました。実際、日本の現状は果たして金満国といえるかは如何かなと思いますが、アジアの人から見ればそのように見えるのかもしれません。
中国ではそのやっかみにおいて意地悪する輩もいたという情報、マレーシアとは航空便の数もさることながら日系衣食住の店舗の豊富さによる日本人が暮らしていく上での利便性に大きな差がある、こういった比較でタイを投資先として選択したそうです。
このお客様は、購入後先ずは賃貸に出し、定年後夫婦共々ロングステイをする計画です。今後ASEANの中心となるタイにおいての値上がりを見越して、今のうちに購入しておこうという判断だったのですが、
進出日系製造業の割合から見たときに、中国約3345社、タイ約964社、マレーシア約364社
という点にも着目しました。中国が圧倒的に多いのですが、中国の場合多都市に分布されていて、バンコクのスクンビット周辺のように日本人が集まっている国は世界的に見ても稀、ということでタイという結論に至りました
またご主人はタイと中国の2カ国に年間の半分は出張する中で、中国の反日感情に対することは報道されているほどには感じず、優しい中国人もたくさんいるということでしたが、やはり暴動等の危険性も危惧しなければならない、と見ていたようです。
一方タイでは多くの人に良くしてもらえた、という印象がかなり強く残っているという話でした。
確かにタイ人はおおらかで優しく争いごとを好みません。僕自身の経験で言えば、長距離寝台列車を例に挙げられます。好きなチェンマイに行くときに私もよく利用しますが、インドでは荷物をチェーンロックで椅子や網棚等に施錠をして防犯対策をとります。インド人または海外旅行者も同様です。これは極ありふれた風景となっています
方やタイでは普通に座席の上に荷物を置いてそのままトイレにいったりして、特段の注意は払っていません。たしかに盗まれたなんて話もあるのですが、それはどの国とて同じこと。3年住んでいるタイで、僕自身は盗難にあったことも危険な目にあったこともありません。しかし油断大敵、何かあれば自己責任ですので用心に越したことはありません。

※24時間体制ガードマンと管理人
では不動産ディベロッパーや仲介業者はどのように思っているのか? 今後の協力についての歓談においてや突然の訪問においてもとても親切で協力的です。是非日本人にたくさんのコンドミニアムを紹介したいという意気込みすら感じます。彼らがファシリティ等のない日本の分譲マンションを見たら、タイの物件の素晴らしさを再認識するのではないでしょうか?
日本の不動産業界と比較した場合、以下の内容でタイの自由度を痛感する次第です。
① 新築コンドミニアムディベロッパー
日本の場合
自社販売か販売提携業者に一任し、一般仲介会社への物件の紹介はまずありません。最終売れ残り物件を売り切らなければならないときに稀に情報が出るのがせきのやまです。
タイの場合
よっぽど売り切ることに自信のある場合を除いては、概ねヨシダ不動産のような仲介業者にも紹介してくれます、と思っていたのですが、実はどこの業者にも同じではないようで、会社の知名度と創業30年のグループ企業を持つ業界での信用が認知されたのがその理由となっています。
②仲介物件の紹介

日本の場合
ここは意外と知られていない場合が多いのですが、一般仲介売買の場合、売主側が売却依頼を受けたときに、その情報は売主のために早期売却を目指す、ということを名目に、国土交通省指定の『レインズ』という情報サイトにすべて登録し情報の共有化を図ります。これをしないと業法違反で厳しく罰せられます。すなわち仲介物件であれば、どこの不動産業も同じ物件を扱えるということです。

※レインズ検索画面
レインズには日本全国の売り物件が登録されており、買主側業者はこれを基にお客様の希望に沿った物件を探します。
よって1つの物件の契約において売主側、買主側業者が契約から引き渡しまで共同作業を行う場合が多いのです。そして売主は売主側へ、買主は買主側業者へ仲介手数料を支払います。これを業界用語で“片手”といいます
かたや売主側から売却依頼を受け買主も自ら見つけた場合は双方からの仲介手数料収入となり、これを“両手”といいます。
結果、不動産業界は横のつながりが広がり仲間がどんどん増えていき、同じ営業区域であれば他社の営業マンのほとんどが顔見知りといっても過言ではありません。情報こそ命の世界ですので、この仲間達と情報共有や、困ったときには助け合う、といった協調が育まれ、お互いになくてはならない存在となります。
金額の大きな物件になると、1つの契約に仲介業者が4,5社も入ることがめずらしくなく、業界用語で“あんこ”と言います。
しかしやはりどこにも少なからず悪行を働く輩がいます。上記レインズで気になる物件を見つけると売主業者へ物件の有無を確認するのですが、物件はまだ売れていないのにも拘らず「終了しました。」(売却済みの場合の業界用語)と欺く者もやはりいます。

※レインズ結果一覧
何故かと言うと、前述した“両手”を狙うわけです。仲介手数料が倍になるわけで、気持ちは十分にわかります。
しかし成約してもいないのに成約したように見せかけ、情報を日本全国に流通させるのではなく自社のみで留めてしまうわけですから、確実にその物件を決めてくれるお客様が現存しない限り成約への道のりは遠くなってしまいます。これは“両手”で倍の仲介手数料を取得したいがための売主無視の手法です
実際は名だたる大手不動産業者にもこの手法を取る会社はあります。(結構多いです。)

※スクリーンゴルフ付き物件
タイの場合
宅建免許が存在しませんので、誰でも不動産業者を名乗ることが可能です。もちろんレインズのようなものも存在しません。
例えば日本の場合は、レインズに掲載されている物件を自社ホームページに掲載しても良いか、必ず1件1件確認を取らなければなりません。これだけでも大変な作業です。僕の所属した会社でも確認専門のパートを7、8
名雇っていました。
しかしタイの場合、まず宣伝活動を断られることはないし、逆に確認をしたところで、どんどん使ってください、と言われるだけです。
日本では取り扱えない新築マンションを取り扱え、仲介会社も物件収集において聞けばかなり苦労しているにもかかわらず、苦労して集めた物件ですら喜んで紹介します、という対応にこちらも感謝しきりです。
不動産業者としては少しでも売れれば収入になるわけですから喜んで紹介してくれると思いますが、それにしても
予想以上に協力体制を敷いてくれている現状です。一般の方でも日本人ということで嫌な対応をされた方は少ないのではないでしょうか?いやほぼいないはずです。
ということで、ヨシダ不動産においても新築コンドミニアムや日本人が中々見つけにくい中古流通物件の多くを扱えるようになりました。
僕自身も日本人居住区ではないオンヌットに住んでいた時、物件の管理人たちも、屋台のおばちゃんたちも、近所で顔見知りになる人達も皆さんいつも笑顔で対応してくれていました。さすが「微笑みの国」だなと思いました。
それだけで一日の疲れが取れてしまう。笑顔って魔法ですね。

※魔法の笑顔。管理人とエンジニア
結論として、タイにおいては日本人に購入してもらう、または借りてもらうことは大歓迎なのです。
その証拠として、タイ人オーナーは日本人が部屋を借りることを望みます。
前回のブログ、「何故タイ人オーナーは日本人に借りてもらうことを望むのか」
に書きましたが基本的には大歓迎ということです。
次回はまた物件の紹介となります。

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