賃貸業務で思う事あれこれ （その１）
つい1週間ほど前にエッセアソーク の2ベッドルームユニットにテナント入居となり、弊社で販売した全てのユニットの賃貸契約＆入居が完了しました。このユニットは内装、家具付終了後に賃貸募集のまま2ヶ月以上空室となっていた為、ほっと胸を撫で下ろした、といった状況です。
※エッセアソーク、2ベッドルーム
弊社より物件を購入して頂いているお客様は、「当然ヨシダさんのところでテナント付けも物件管理もやるんだよね？」と当然の如く期待していますので、空室が続くとかなり強いプレッシャーを感じます。
自社販売の物件は賃貸付け優先順位の最高位に来るものの、当たり前の事ながらテナントとなるお客様に押し売りする事はできません。その為、賃貸客に選ばれるような内装、家具付けを行なっているのは当ブログでも説明してきた通りです。
投資物件の推薦と販売、内装の施工及び家具付けを行なった後に、「賃貸できません。」では賃貸客付け能力を信じて大金を投じて頂いたお客様を裏切る事になりますので、責任者の僕にとって、販売物件の空室は最悪のシナリオとなる訳です。
管理のみを依頼頂いている物件に関しては、管理費用を頂いている以上一般オーナーの賃貸物件より優先順位は高くしておりますが、自社販売物件程の責任を担ってはおりません。
①自社販売物件→②自社管理物件→③一般物件、の優先順位は社内で周知徹底されており、①と②の物件に関しては、毎週メールで賃貸営業スタッフに情報が更新されるようになっています。①と②にとの間には大きな開きがあり、賃貸担当者は①の物件に関しては最大のアテンションを払っています。
因みに、③に関しては、社内システムの空室データベースに記録されているだけで、担当者が検索しなければ出てきません。
話をエッセアソークの2ベッドルームに戻します。
このお部屋には、タイ進出歴50年に及ぶ大手日系企業の現地社長が単身で入居しました。
2ベッドルームなのに単身者？と不思議に思う読者の方も多いかと思いますが、実際は100平米以下の2ベッドルームユニットに入居するのは、予算の高い単身者、夫婦世帯、夫婦＋乳幼児がほとんどで、小学生以上の子供を持つ家族世帯はアソーク〜エカマイ地区の賃貸専用マンション（現地ではアパートと一般的に呼ばれる）に住むのが一般的です。
賃貸専用マンションは築深物件が多いのですが、2ベッドルーム100〜200平米、3ベッドルーム150〜250平米と広い間取りとなっています。駅近等の立地は望めませんが、お父さんの通勤は社用車、子供の学校は通学バスが生活スタイルですので、家族世帯の場合は、居住空間の広さが優先選択肢となるのが一般的です。
奥様は駅近よりもスーパー近を優先します。スーパーが遠い場合は、アソーク〜トンロー地域限定のシーローと呼ばれるマイクロトラックを利用するのが通常です。乗り心地は極めて悪いのですが、現地で人気のフジスーパー等に常時待機しており、日本人が住むような物件は全て把握しているので使い勝手がいい為、このエリア限定のあしとして使われています。運転は荒く、隙あらば割り込む、といった抜け目ない運行スタイルが特徴です。
※シーロー
エッセアソークはアソーク通りを挟んで西側の立地で、駅に近い、日系スーパーに近いといった条件は備えていませんので、生活利便性の点ではアソーク〜エカマイ地区の物件に及びませんが、レジデンスとしての豪華さ、質感においては他の追随を許しません。
弊社の賃貸チームは、エッセアソークから通勤するのに便利な顧客企業の単身駐在員に的を絞り内覧案内を展開。この戦術は見事に的中し、買い物や駅近よりもラグジュアリースタイルの生活を優先に考える人達に次々と選ばれて行きました。
家族世帯には向かないエリアの為、2ベッドルームに関しても高額予算の単身者の方に成約可能性が高いのは分かっておりましたので、戦略通りの結果です。高額予算の方は大手企業でも高い役職の駐在員、金融期間の駐在員、又は中小企業オーナーに限定されますので、1ベッドルームよりも成約まで時間がかかったわけです。
賃貸に関しては、適格顧客からの依頼があるか否かの偶然性が成約までの所要時間を左右する為、運次第といったところがある事は否めません。当然ながら、より多くの賃貸客を扱う会社の方がその偶然が起きる可能性が高いわけです。
運次第と言ってしまうと身も蓋もないのですが、それは最後に残された部分であって、実際はそれ以前に創意工夫による努力が払われており、そちらの方が成約率を高める為の大きな貢献となっています。
今回のエッセアソークの場合、豪華物件の特徴を押し出し、通勤利便性の高い顧客企業に的を絞ったマーケティングをした戦術が成約に繋がったわけですが、賃貸業にはこのようなインテリジェンスは不可欠なのです。
次回はその辺の事を説明したいと思います。
