バンコクCBD土地価格は30年で1000%上昇!(その2)

前回からのレポートの続きです。

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1970、80年代は明確なCBDの定義付けは無く、都市開発は幹線道路の建設と共に郊外に広がっていくのが普通だった。2000年代に入るとトランジットラインと共に都市化が始まると近代的な高層建築のオフィス、タワーレジデンスなどが広く受け入れられるようになり、開発はバンコク中心部に集中するようになった。これによりバンコクCBDが明確に定義付けられたのである。

マストランジットラインの開通は、生活、職場、余暇つまりはライフスタイルの大きな転換点となった。そしてラインの充実化共に都市化がさらに進み、バンコクCBDの人口は勿論の事、地価の上昇も加速を始めたのである。

2020年代半ばまでにバンコクのマストランジットラインの全長は460キロメートルに達し、ロンドンの地下鉄総距離409キロを追い抜くと予想されている。

マストランジットラインの1日の利用客数が120万人を超える現在、駅周辺の土地は大幅な上昇を遂げたものの、人気のある沿線、人気のある駅により地価の上昇幅には大きな差が見られるようになっている。ラインの人気度と駅の人気度が地価を決定づける最も重要な要素なのである。

もう一つの重要な要素は、その土地でどのようなプロジェクトが建築可能なのかと言う点である。これは省庁の都市計画や規制事項によって決定されるが、建築規制はより厳しく巧みになって来ている中、それこそが地価を決定付ける要因となって来ているのである。

地価上昇は建築コストの上昇よりも速いため土地の取得コストが開発コストのより大きな割合を閉めるようになった。開発コストはコンドミニアムの販売価格を押し上げ、賃貸利回りで得られる収益ハードルはより高くなってきている。

最高グレードのホテル、オフィス、ショッピングモール、レジデンス、病院などが揃うバンコクCBDの魅力は今後も衰える事はないだろう。

地価上昇の割合はどの土地でどのような開発が行われ、どれだけの収益を生むかにかかっている。

収益性はその土地に何を造れるのか、又その開発に対して利用客がどれだけ支払えるのかによって変わってくる。

永久所有できる物件を開発する潜在力が低下傾向のバンコクCBDにおいて、地価上昇は継続するだろう。

最近では地価がそこに現存する物件価値を上回る例が見られるようになって来ており、古い物件が取り壊されて再開発される事例を目にするようになった。

既に行われたワイヤレス通りのKian Gwan Tower 1やチットロム通りのVanissa Building1の取り壊しはその一例である。Dusit Thani ホテルの取り壊し、再開発計画も既に発表された。これまでの取り壊し事例はワンオーナー物件に限定されている。

 

※2019年1月に取壊され再開発される、1970創業の老舗ホテルDusit Thani Hotel

現行のコンドミニアム法では区分所有者100%の同意が無ければ、取り壊しはできない。実際これまでに取り壊されたコンドミニアムは1件も存在しない。既にいくつかの古いコンドミニアムが全ユニットの総額よりも敷地の地価が上回っているケースもある。それでも区分所有者100%の同意を取り付けるのは困難なので、建て替えが全く進まない状態となっている。

このようなコンドミニアム法や建築基準などの見直しが無い現状では地価の上昇は続くものと思われる。

尚、上昇ペースは経済環境や開発サイクルにより変化する。

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不動産業界に携わる方にとっては平凡な内容ですが、前回と今回のレポートでバンコクCBDの成り立ち、スクムビット線沿線の人気駅となるアソーク、プロンポン、トンロー等の駅近物件の希少性はご理解頂いかと思います。

※BTS駅直結コンドミニアムの先駆け、トンロー駅直結のNoble Remix

確かにバンコク中心部に住んでいると、BTS駅にコンドミニアムが直結、一流デパートと隣接、一流ホテルのシェラトンやハイアットなどが隣近所にある、等々の住環境に慣れてしまいがちですが、これが東京や大阪の大都市で言えば考えられない立地となる事は言うまでもありません。

※BTSアソーク駅、MRTスクムビット駅の2駅を利用できるAshton Asoke

このような立地のラグジュアリー物件はバンコクでも既に平米20万バーツ(約68万円)を超えて来ている中、アジアの不動産は格安といったイメージからはかけ離れつつありますが、逆に見れば超一等地の豪華タワー物件がまだこの価格で購入できる訳です。

レポート通りに地価上昇が続けば、一般投資家にはなかなか手の出し難い価格になっていきそうです。

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