バンコクのビンテージマンションはどれだ?

販売価格が平米単価25万バーツを超えてくると、家賃が追い付いて来ないので、賃貸利回り投資は難しくなる。25万バーツ以上のコンドミニアムを購入するのであれば、将来日本で言うビンテージマンションとなるような要素が必要である、といった内容を説明しました。

 

それではどのような物件がその範疇に入るのでしょうか?

 

つい先日、引き渡し前の物件チェックの為にリッツカールトンレジデンスに足を運びました。

 

72階建てのタワーコンドで最上階に近いユニットなのですが、リビングからはチャオプラヤ川やバンコクの街並みを一望する圧巻の眺望。天井高は3.4メートルあり、床から天井まではガラス一面の開口部なので、足元から眼下にはドラマチックなシティビューが広がり、月並みな言い方ですが、「息を飲む。」というのが最適な表現となります。

 

※リッツ カールトン レジデンス

 

BTS駅は目の前、バンコクのランドマークとなるユニークな外観、現行タイでは最も高層な建築、下層階はホテル、リッツカールトンによる管理、豪華なファシリティ、120㎡以上の間取り、2ベッドルーム以上のユニットのみ、等々破格なスペックをまとったスーパーコンドミニアムです。

 

54階までが一般グレードで、それ以上の階はスカイレジデンスという高スペックカテゴリーとなります。一般グレードでも天井高3.1メートルもあり、他のラグジュアリーコンドミニアムでもこの設定はなかなかありません。

 

プリセールが開始となったのは5年以上前の事ですが、その頃は平米単価25万バーツ~の値付けとなっていました。「その頃買っておけば…。」と思う人も少なく無いのでは?既に価格は大幅に上昇し、現在は平米単価40万バーツを切るユニットはまず見つかりません。ディベロッパーのペース社自身が多数のユニットを温存しているのですが、値下げをして売りたいなどとは全く思っていないようです。

 

リッツカールトンレジデンスの話が長くなりましたが、これなんかは将来のビンテージマンションどころか未来永劫最高峰のレジデンスとして君臨し続けるコンドミニアムではないかと思います。

 

日本のビンテージマンションの定義を見ると、

 

築後数十年たっても尚人気が衰えず、価値が上がっているマンション。立地が良い、築後10年以上たっている、ハイグレードな住居用として建てられた、デザイン性が高い、管理状態が良好で、メインテナンスが行き届いている。

 

といった条件が掲げられています。

 

バンコクではコンドミニアムの歴史は浅く、築後数十年~というコンドミニアムの数は限られています。価値が上がっている、という点に関しては、日本と違い物件価格は上昇を続けていますので、バンコクCBDで新築価格を下回ったコンドミニアムというのはあまり目にしたことがありません。

 

ですので、バンコクのコンドを東京にあるビンテージマンションと単純比較して論じるのは難しいのですが、そのような存在になると予見できるコンドミニアムは既にいくつか存在します。

 

上記にあるリッツカールトンレジデンスはその一つでしょう。ハイグレードな住居、デザイン性等においては、現存する東京のビンテージマンションをはるかに凌いでいます。管理状態、メインテナンスにおいても、リッツカールトンが行うので懸念はないと思います。

 

但し、改修・保全を長期にわたり入念に計画して、そのノウハウの蓄積がある日本では、メインテナンスという点においては万全な体制がとられています。それに比べ購入時にわずかな修繕積立金を支払うのみのバンコクのコンドミニアムは、メインテナンスシステム自体に大きな問題を抱えています。

 

バンコクのビンテージマンション候補に話を戻すと、川沿いのビッグプロジェクト“フォーシーズンズ レジデンス”もリッツに肩を並べるプロジェクトですが、リースホールド(定借物件)である点がマイナス要素となります。

 

その他にも比較的最近のコンドミニアムとしては、トンローのクワトロ、ルンピニ公園近くの185ラチャダムリ等は有力候補であり、古いもので言えばアソークのザ レイクス、ドムス、ミレニアム レジデンス等も見逃せません。

 

ドムスはゲイソンプロパティー社によって開発されたのですが、この会社はディベロッパーとしては中堅クラスで、大手の一角とは言えないものの決して侮れません。エカマイの低層物件モード61も同社によるものですが、今以て高い賃貸人気を誇っております。又、現在トンローの中心で建築中のテラ トンローも同社によるもので、大型ユニットの為全戸億ションとなるにもかかわらず、すでに90%が売れました。こちらも間違いなくビンテージマンションの一角を占めるはずです。

 

実は11月に販売予定のTHE ESSE SUKSHUMVIT 36(ジ エッセ スクムビット36)も将来のビンテージマンションになるポテンシャルを十分に持つプロジェクトだと見ています。平米米価は30万バーツを超える見込みですが、BTSトンロー駅直結、3ライ以上(約5,000平米)の大きな敷地に、今までのエッセ アソーク、エッセ シン コンプレックスに匹敵するファシリティ、ユニット設定が計画されています。バンコク随一の人気エリアに条件が揃ったプロジェクト、業界内では既に大きな話題となっています。

 

※ジ エッセ スクムビット36

 

このようなプロジェクトであれば、平米単価25万バーツを上回っても購入する価値があると思います。ビンテージマンションの諸条件に加えて、ランドマークとなるような心を震わせるデザイン、駅直結等の将来的に得難い立地条件等がそれに加わっていますので、不動産としては無類の強さを発揮します。現段階では高い賃貸利回りは難しいかも知れませんが、物件価格は上昇こそすれ下がる事は無く、いざとなれば現金化する事も難しくありません。

 

再び話をセレス アソークに戻します。

 

平米単価25万バーツを超えるこのプロジェクトは、立地を考えれば納得の値付けなのですが、ディベロッパーのラッキーリビング社にはあまりいい印象がありません。同社は昨年にLIV@49というコンドミニアムをスクムビットソイ49に竣工しているのですが、日本人居住区中心の立地である為、弊社も数部屋の賃貸仲介を行っています。

 

実は一つのユニットで深刻な水漏れの問題が発生し、それに管理会社の不手際も重なり、かなり面倒な問題に巻き込まれた苦い経験を持っています。弊社の若手営業マンが2週間に渡り振舞わされる結果となったのですが、それを横で見ていた僕としては、このラッキーリビング社の手がけるプロジェクトにどうしても信頼を抱くことができませんでした。

 

それもプリセールに足を運ばなかったもう一つの理由となります。ラッキーリビング社が将来ビンテージマンションとなるような物件を開発するとはとても思えなかったのでした。まあ過去の轍を踏まずに素晴らしいコンドになる可能性もありますので、購入した人はこれを読んで落胆などしないようにして下さいね。

 

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