パタヤの日本人テナント(その1)

パタヤの賃貸市場に関して、簡単に触れておきたいと思います。

パタヤ地区の日本人テナント対象者は、企業駐在員と遊び目的の中長期滞在者の2種類です。

企業駐在員数は限定的で、日本人学校があり日本人生活インフラが整っているシラチャの方に住むのが主流となっています。

チョンブリ、チャセンサオ、ラヨンの3県にまたがる東部経済回廊(EEC=Eastern Economic Corridor)には大規模工業団地が点在しており、多数の日系企業の工場が生産ラインを構えています。

 


※EECの工業団地マップ

バンコクに近いエリアやアユタヤ方面に勤める人であれば、バンコクに住み通勤するのが一般的ですが、EECエリアが通勤先になる場合は、シラチャから通勤する事により大幅に時間が短縮されます。又、ここ数年で日系スーパー、ハーモニックレジデンス(サハ東急)やラグゼシラチャ(Jalux)等の日系企業が運営するレジデンスが登場する等、日本人に便利な生活基盤が整い、日本人が住む利便性が格段に高まりました。このような経緯で、EECに勤める日本人はシラチャに住む、というのが定着したのです。

但し、EECのエリアでもラヨン地区が通勤先になる場合は、シラチャよりもパタヤからのアクセスの方が優れています。世界的な観光リゾート地であるパタヤは、住宅供給力ではシラチャを遥かに凌ぎます。又、海外駐在経験が長く、語学能力のある人の中には、日本人ばかりいるシラチャより開放的なリゾートに住みたい、と言う人も少なくありません。このような条件に合致する人がパタヤに住む駐在員層になります。

住宅供給力は確かにあるものの、高額家賃補助を会社から支給される駐在員層の眼鏡に叶う高級物件というのは、実はパタヤでは限定的です。バンコクやシラチャのように、実績を持つ企業が運営するサービスアパート、アパート(賃貸位専用マンション)の類は非常に少なく、リゾートコンドミニアム等はオーナーが使わない際に賃貸に出すケースが多いので、供給期間が安定しない、オーナーの趣味に偏ったインテリアになっている(特に欧米人オーナーに見受けられる)等々、数はあるけど使えない物件が多い、といった裏事情がありました。

又、駐在世帯の場合、子供はシラチャの日系幼稚園や日本人学校に通学するケースが多いのですが、スクールバスはウオンアマット地区、セントラルパタヤ地区までにしか来てくれません。

上記のような経緯で、日本人駐在員世帯が賃貸居住するコンドミニアムは非常に狭い選択肢となっています。

その一つは、ウオンアマット地区のランドマークとも言えるノーズポイントで、その隣のザイヤも最近は人気があります。共にバンコクのディベロッパー“レイモンランド”により開発された物件です。

 


※ノースポイント

二つ目は、セントラルパタヤ地区のプライムスイーツです。海からは離れますが、ビッグCやハーバーといった大型ショッピングモールに隣接しており生活利便性が高い、7階建の低層ながら、1ベッドルームでも100平米超と広く、間取りがいいのが人気の理由となっています、その隣にあるエーパスもプライムスイーツには及ばないまでも、やはり立地の良さから選ばれやすい物件となっています。


※プライムスイーツ

ターミナル21の上にはバンコク同様にセンターポイントがサービスアパートを開業しましたが、より利益が見込まれる観光客を中心としたビジネス展開をしている事もあり、駐在員層はあまり住んでいません。

センターポイントグループのビジネスポリシーは非常に明確で、ツーリストが好調な時にはホテルのように日貸し優先、そうで無い時にはビジネスマンへの中長期滞在にシフト、というのが通常のやり方です。

将来は、セントラルフェスティバルの隣に、三井不動産とアナンダがサービスアパート物件を共同開発し、アスコットグループがサマーセットブルーコーストパタヤとして開業する、と日経が報じていました。24階建、352室が供給されますので、パタヤにも本格的なサービスアパートが登場、といったところでしょうか。観光客に便利な立地ですが、サマーセットは通常ビジネス客を中心に据えてマーケティング戦略を立てますので、パタヤに居住する駐在員層には間違いなく有力な選択肢になるかと思います。

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