腐蝕が進むパタヤウオーターフロントレジデンス&スイート

つい先日、倒産して現在係争中のプロジェクト、サウスパタヤのウオーターフロントレジデンスに足を運んだのですが、プロジェクト倒産後放置された建物は名前通り海の前の立地ということもあり、剥き出しの鉄骨は錆び果て、いつ頭上に落ちてきてもおかしくないような状態となっていたのには驚かされました。


※腐蝕が進む躯体

2011年頃に売り出されたプロジェクトだったと記憶していますが(間違っていたらすいません)、バリハイ埠頭近隣のオーシャンフロントの立地、しかもパタヤを訪れる観光客の誰もが目をすると言っても過言ではない“PATTAYA”のネオンサインの隣という事もあり(誰もが目にするという事は、そこからの眺望も抜群)、その当時ではかなり高値設定となる平米単価10万バーツを軽く超えるプライスタッグにも関わらず、外国人区分のユニットは超高額なペントハウスを除いて完売した話題性の高いプロジェクトでした。


※ウオーターフロントレジデンス&スイート立地


※ウオーターフロントレジデンス&スイート完成予想図

問題の経緯をダイジェストすると大体次の内容となります。

建築が進んだ2014年頃、近隣住民から景観を乱すなどの理由で多くの苦情、批判が殺到し、タイ当局がこのプロジェクトの開発の正当性を調査する事になり、開発工事が一時凍結されました。

ディベロッパーであるチューリップグループは、建築認可を既に取得していた事もあり問題を解決して工事再開の見通しを立てていましたが、その後の調査で以下の事実が明るみに出て建築は2度と再開される事はありませんでした。

1. 53階建ての高さは、有名なランドマークであるプラトゥムナックヒル(パタヤの丘)から見える海の景観を遮っている。

2. タイの法律では、24メートル以上もしくは8階以上の建物は幅7メートルの道路には建設できない。ウォーターフロント・スイーツ&レジデンシスの立地する道路はこれに当てはまるとされる。

3. プロジェクトのデザインが承認されたものとは異なる。2008年にEIAの承認を受けた内容は35階建て、315部屋のプロジェクトであった。

2016年になるといつの間にかこのプロジェクトはBali Hai Co., Ltd(バリハイ株式会社、以下バリハイ)に売却されており、2017年1月にバリハイは倒産手続きを申請しました。

現在は購入者を始めとした債権者とバリハイの間で裁判係争中となっている模様です。

尚、このプロジェクトのHPは今もその当時のままです。怖いですね。

1年以上前に書いた、セントラルパタヤ明暗を分けた2つのプロジェクトに関連した内容がありますので参照願います。

このプロジェクトと同時にバリハイ埠頭の再開発プロジェクトとして進められた、バリハイセンタービル、周辺道路、マリーナ等の再開発と整備は計画通りに進み、周辺環境は見違える程の変化を遂げ、美しく蘇ったヨットマリーナには豪華クルーザー等も停泊しています。ただ、この朽ち果てた躯体だけは無残に取り残されたままとなっているのです。


※再開発されたバリハイヨットマリーナ

現地情報筋によると、バンコクでラグジュアリーコンドミニアム“エッセ”を展開しているシンハビールグループのディベロッパーであるシンエステートが買収を申し出ているが、その条件としてカジノ運営の認可を求めているとの事です。パタヤではカジノができる等々の憶測はあちこちで聞こえてきますが、現時点ではカジノは違法なので簡単には事は進まないだろうと思います。

認められでもすれば、かなり買いのプロジェクトとなり得ます。

もっともカジノ計画など無くても、パタヤ湾を北方向に見渡せる立地は希少価値が高く、パタヤ中心部へのアクセスもいい為、何らかの形で再開されるのであれば個人的にもかなり欲しいプロジェクトになるかと思います。

価格的には平米20万バーツ以上になってもおかしくないかも知れませんね。

但し、いつのことになるやら。現時点ではさっぱり見えてこないのですが。

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