都市以上に過酷なリゾート地域の不動産市場

コロナ禍の中での過酷な不動産市場に関して、これまでは主にバンコク首都圏を中心に説明してきましたが、今回はリゾート地域の話題です。

Real Estate Information Centre(REIC)は、プーケット県における2020年の下半期に売買された不動産は443件に止まり、非常に低調な結果になったと発表しています。

ヨシダ不動産では、バンコク、シラチャ、パタヤ地域の不動産しか扱わないので、正直プーケット不動産に関してはあまり馴染みがありません。美しいアンダマン海をのぞむプール付きのビラ等の広告を見るにつけ、「いいなあ〜。」と思い値段やロケーションをチェックする程度で特段の情報を有しているわけではありませんので悪しからず。

今回目を引いたのはその販売数の推移で、2018年からの売買件数(英語でUnitと表示していますが、これはビラ等の土地好き一軒家の数字も含んでいるものと推測)を次に掲載しますので参照下さい。


※不動産売買件数の推移2018-2020年、プーケット県

ピークを打った2018年上半期は3,788件あった売買件数が2020年には85%も下落している事が分かります。2021年の上半期もそれに準じた結果となる事は想像に難くありません。

外国人が物件を購入するリゾート地域としては、プーケット以外にもパタヤ、ホアヒン、サムイ島等が主に挙げられますが、純然たる観光リゾート地で名を馳せているプーケット、サムイ島、ホアヒンの方が不動産市場は壊滅的な打撃を受けています。

パタヤは世界的なビーチリゾートとしての側面以外にも、EE C(Eastern Economic Corridor 東部経済回廊)の地理的な中心に位置する為、周辺のレムチャバン、アマタシティ、ピントン等の工業団地に勤務する外国人エクスパットが多数在住しています。


※パタヤ周辺の工業団地

パタヤにはサービスアパートやアパートの供給は少ないため、外国人はセキュリティ付きのビラ(一軒家)やコンドミニアムに住むのが一般的です。外国人が多数住む人気コンドミニアムでは、長期滞在するリタイヤ組、駐在員ファミリー、リモートワーカー等が混在して居住しているケースが一般的です。

パタヤ地域においてもコロナ前には中国人が不動産の爆買いをしていましたので、不動産市場はコロナ不況が直撃している事は確かなのですが、ビジネス目的の駐在員が賃貸市場を下支えしていますし、プーケットとは違いバンコクから陸路にて2時間程でアクセスできることから、バンコク在住のタイ人によるセカンドハウス需要も小さくなく、売買市場を支えているものと見られます。

この点が都市機能を併せ持つパタヤとその他リゾート地域の不動産市場の明暗を分けているのです。

リゾート地域の不動産市場は観光市場と切り離せない関係がありますので、バンコク首都圏以上にリゾート地域の不動産市場はワクチン接種の進み具合→観光客入国の緩和具合に大きく依存している事は明らかなのです。

 

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