バンコク首都圏の土地実勢価格が下落

REIC(Real Estate Information Center)の調査で、バンコク首都圏における2021年第一四半期の売地実勢価格が2.2%下落した、との報道が現地の英字新聞バンコクポストに掲載されていました。

何でも、土地実勢価格の下落はREICが2012年に調査を開始してから初めての事で、コロナ感染拡大による経済低迷が背景にあるとレポートしています。


※バンコク首都圏土地実勢価格の変遷

バンコク首都圏という言葉は何を意味するのかについて、先ずは解説したいと思います。バンコクは、日本の都道府県制度における東京都と同じ位置付けで、県としての行政単位ですが首都なのでバンコク都と和訳されます。そしてバンコク都に隣接する、5つの県、ナコンパトム県、ノンタブリー県、パトゥムタニー県、サムットサコーン県、サムットプラカーン県を含めたエリアがバンコク都と共にバンコク首都圏を構成しており、人口は1,460万人(2010年時点での人口センサス統計でバンコク都約830万人、周辺5県約630万人)となります。タイ全体の人口は、約6,800万人ですので、その20%がバンコク首都圏に集中している事になります。


※バンコク首都圏地図

1999年12月に開業したBTS(バンコク高架鉄道)、2001年に2004年7月に開業したMRT(地下鉄)は延伸を重ね、それと共にバンコク首都圏に人口流入が加速していきます。BTS、MRT沿線はその利便性の高さから次々と商業地、住宅地が造成されるのを背景に首都圏の地価は上昇を続けてきました。ここら辺の流れは、都市化の始まった世界の主要都市と特に変わりはありません。

下図は、1995年と2010年の人口や経済統計を非活したものですが、15年の間にバンコク640万人→830万人(30%増加)、首都圏5県340万人→630万人(85%増加)となっているのが分かります。 その後20年以上が経過していますので、更なる増加は間違い無いのですがいい資料が見つかりませんでした。


※タイの地域別の主要指標1995年と2010年比較

バンコク首都圏で上昇し続けた地価もコロナの不動産市場の低迷の影響を大きく受ける中、とうとう前半期から減少するというここ20年で前例のない事態を引き起こした訳です。

前年度比では、インデックス値293.3→326.2と33ポイント(11%上昇)となっていますが、これまで市況を見る中では2021年第二四半期も更に一段下げるのでは無いかと思います。

地価下落の背景には、土地の買い手となる大手ディベロッパーの用地買い控えが大きな要因の一つとなっているでしょうから、今年一杯新規プロジェクトは2020年同様見送られるのはほぼ決定的かと思われます。又、更に2022年もこの流れを引き継ぐ可能性すらあります。

勿論、全てのエリアで地価が下がっている訳ではありません。計画中、工事中の延伸区間沿線地域では大きな上昇が見られます。下図の5番目となるBTSスクムビット線沿線は、従来通り地価上昇が継続しており、このエリアに限っては不況などどこ吹く風?と言った状況です。


※地価上昇率トップ5

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