激減するパタヤのコンドミニアムプロジェクト (その3)

Colliersのレポートによれば、売れ残り住戸が最も少ないのはウオンアマット地区で、セントラルパタヤ地区がそれに続く、との事です。それ以外の地域で膨大の売れ残り在庫があるのは前回説明した通りです。

パタヤコンドミニアム市場で選好されるエリアが変遷してきた経緯に関しては、過去ログ:パタヤコンドミニアムの現状(その1)で述べた通りです。外国人バイヤーの中心が欧米人→ロシア人→中国人と移り変わる中で、リゾート感溢れるビーチから利便性の高いパタヤ中心に人気エリアが変わった、と言う事です。

これは、パタヤにおけるインバウンドツーリズムの流れと呼応します。当然と言えば当然なのですが、情報を得て興味を持って旅行で訪れる、そこを気に入り不動産を買って住む、その不動産を使わない時には人に貸して収入を得る、多くの自国民が短長期に滞在する事に目をつけ賃貸投資をする、ざっと心象風景はこんな感じでしょう。この発想メカニズムは、あくまで“遊ぶ”が起点になっていますので、バンコクのようなビジネス都市のそれとは異なります。

話を戻しますが、ウオンマット地区に在庫が少ないのは、このエリアで選ばれるのは、ビーチ沿いの限られた地域の物件に限定されており、開発そのものが少ない、と言うのがその理由です。ビーチ以外は従来からタイ人が住むローカル色の強い街並みが続く、一言で言えばローカルタウンです。ですので、開発地域が非常に限定的な上にビーチフロントでは空き地がなく開発用地の確保が困難なのです。

パタヤ地域においては、ビーチロード沿いはホテル、ショッピングモール、土産物店、レストラン等が軒を連ねており、コンドミニアムの開発余地は無いのですが、セカンドロード沿いには未だ若干空き地があります。セカンドロード沿いのコンドミニアム、特に眺望の良いタワー物件は人気があります。


※パタヤ地区地図

サンシリ社開発のエッジ・セントラルパタヤが2年ほど前に売り出された際、中国人によるairbnb等を用いた日貸し投資が過熱状態であった事もあり、外国人区分ユニットはプリセールを待たずに完売となったのはまだ記憶に新しいところです。

参照過去ログ:Edge Central Pattaya プリセール前に外国人区分ユニット完売

その前身となった、やはりサンシリ社によるベース・セントラルパタヤやSCアセット社によるセントリックシーといったセカンドロード沿いの物件人気は未だ衰えていません。これらの物件は、セントラルショッピングセンターや一昨年前に開業したターミナル21等の大型ショッピングモールに強く恩恵を受けている事は確かです。それが選ばれる立地となっているのは、やはり投資家層が欧米系から中国人を中心とするアジア系に移った事が背景となっている点は言うまでもありません。

Colliersのレポートによると、最近は利回り保証付きのホテル投資物件がよく売れており、3〜10年間で5〜7%の賃貸利回りが保証されるケースが多い、との事です。ヨシダ不動産においても、ラマダ・ミラ・ノースパタヤに関しては、この冷えきった市場状況においても確かに幾つか引き合いがあります。


※ラマダ・ミラ・ノースパタヤ

あの手この手のプロモーションを展開した結果、既に在庫残は10%ですので、パタヤでは高い売れ行きと言えます。

購入したユニットはホテルに全面委託はするものの、年間14日間は無料宿泊が可能なので、さほどパタヤには頻繁に行く事が無いオーナーにとっては趣味と実益が叶うといった事なのでしょう。

自分で住むので市街地よりはビーチがいい、といった強い動機が無い限りは、パタヤ中心部、特にセントラルパタヤロードとノースパタヤロー周辺のパタヤセカンドロード沿いの高層物件をお勧めします。

賃貸需要も他地域に比べてずっと高いので、自分で住まなくても賃貸投資に舵を切れるからです。それでも日本人の長期テナントは絶対数が少ない事もあり確保が非常に困難ですので、中国人や欧米人を対象にして、且つ月貸しを含めて幅広く賃貸募集をしない限りは利回り投資はまず成立しません。

純粋に利回り投資をするのであれば、パタヤではなくバンコクを選ぶべきです。

不純とまでは言いませんが、これが遊びを起点とした投資のもたらす結果なのであり、冷徹に数字を見つめた不動産投資との違いである、曰く当然の帰結なのだ、と認識するべきなのかも知れません。

プラタムナック地区、ジョムティエン地区のコンドミニアムをお持ちのオーナー様から、なんとか収益化できないか?とのご依頼を受ける事も少なくありませんが、これは結構な難題となります。

賃貸のターゲット層は、airbnb等を活用したホテル貸し(現在のタイの法解釈ではコンドミニアム においては違法行為)、中長期滞在者に対しての月貸しになって来るかと思いますが、これはホリデイレンタルを主要業務に据える現地不動産業者(又は、旅行会社)との連携が欠かせません。その場合、最低英語力は必要になってきます。又、パートナーとなり得る信頼できる不動産業者を見つけるのは至難の技となりますので、相当の覚悟が必要となります。

開発業社が日系ディベロッパーであるケースも少なくありません。ヨシダ不動産まで相談が寄せられると言うのは、販売元ディベロッパーへ寄せていた信頼が消え失せ、匙を投げた結果なのかと斟酌しますが、パタヤの賃貸市場はこれまで説明した通りですので、残念ながらなかなかお役に立つ事ができ無いのが現実なのです。

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