出回り始めた投げ売り物件(その7) 登記前投げ売り物件諸々(2)

前回の続きになります。

 

Knightsbridge Prime Onnut ナイトブリッジ・プライム・オンヌット

 

この物件も完成し登記の運びとなりました。現地大手ディベロッパー“オリジン”と野村不動産によるジョイントベンチャーとなっていますが、野村不動産側の実務分担は資金提供とある程度のセールスマーケティングサポートぐらいであろうと見受けます。

 

日本の大手ディロッパーはほぼ全てタイへの進出を果たしていますが、コンドミニアム開発に関しては、名前は出ているものの概ね資金提供程度に留まっているのが実情かと思います。それでも日本ブランドが好きなタイ人に関しては一定の訴求力があるのでしょう。デザインや建築に参画している訳では無いので、ブランド名に期待を寄せても実際は無意味なのですが・・・。

 

広告に出ているユニットは47階(最上階)の1ベッドルーム26.5平米で、プリセール価格から20万バーツの損切り価格(4,954,100→4,754,100バーツ)で転売されています。損切り幅は大した事がありませんが、最上階のプレミアムユニットがこの有り様ですから、低中層階の住戸はもっと大きな損切りを強いられる事は想像に難くありません。


※ナイトブリッジ・プライム・オンヌット 47階1ベッドルームの損切り転売広告

 

プリセール開始が2017年半ば過ぎだったと記憶していますが、その頃はまだバンコク不動産市場は活況の真只中。オリジンのラグジュアリークラスのプロジェクトとは言え、大型商業モールに隣接というメリットはあるものの、最寄りのオンヌット駅からは700メートル以上の距離があり、必ずしも条件が揃ってはいませんでしたが、タイ人や中国人を中心とした外国人勢にかなりの勢いで売れていきました。

 

ヨシダ不動産にも販売枠があったのですが、日本人駐在員への賃貸利回り獲得を販売戦略としていた事もあり、結果的には1件も売る事ができませんでした。プラカノン以遠のエリアにおいて駅近物件以外は賃貸需要なし、という傾向がヨシダ不動産の賃貸統計にはっきり現れていた関係で、コンドミニアム売買においても駅近以外はお勧めしないというのが販売手法となっていた為、至極当然の帰結となった訳です。

 

Celes Asoke セレス・アソーク

 

こちらは損切り物件ではありませんが、最上階のデュプレックスユニットが3ユニットまとめて売りに出されているのが目に着いたので紹介する事にします。

 

39-40階(最上階)クラウンデュプレックスの名前が冠されていますが、5ユニットのみのプレミアム住戸になります。


※Celes Asoke セレス・アソーク クラウンデュプレックスユニット広告

 

No. 1 Crown Duplex (90 sq.m.) : 27.4MB
No. 2 Crown Duplex (90 sq.m.) : 29MB
No. 5 Super Crown Duplex (101 sq.m.) : 31.4 MB


※39-40階フロアプラン


※No.1クラウンデュプレックスユニット間取り

 

3メートルの天井高が設定されているプロジェクトですので、その高さが最上階にも適用されていれば(不明)、吹き抜け部分の天井高は6メートルに及びます。普通の2階建として間取りをすれば120平米になるはずのところを90平米の建築面積としている訳ですから、贅を尽くした設定である事が分かります。ユニット番号No.1の平米単価は30万バーツです。通常のユニットでも平米22〜27万バーツはするプロジェクトですから、結構リーズナブルな価格設定と言えます。

 

アソーク交差点付近、MRTスクムビット駅、BTSアソーク駅が至近となるバンコク随一のプライムロケーションとなります。プリセールの開始時期は市場活況時であった事もあるのですが、その頃売り出された他プロジェクトのように「飛ぶように売れた。」とは言い難い滑り出しだったと記憶しています。

 

ロケーションは抜群、プロジェクト完成イメージのかっこよさ、仕様等々、どれをとっても非の打ちどころがなかったのですが、ディベロッパーの知名度の低さが売れ行きの足を引っ張りました。

 

ディベロッパー“ラッキーリビング”の名を初めて耳にする読者の方も多いと思います。それもそのはず、セレス・アソーク前のプロジェクト実績は、ソイ49のLIVE@49しかありません。

トンローに位置するLIV@49は水漏れ等の問題が多い物件で、賃貸仲介をした担当者は問題が発生する毎にオーナーやら管理事務所に連絡を取り、その対応に頭を痛めていました。今では、「あんなところ仲介したく無い。」と言うのが、ヨシダ不動産の賃貸営業の共通意見となっているほどです。確かにその後LIV@49の仲介実績は目にしなくなりました。

 

セレス・アソークに完成してみれば見たところ申し分ない出来栄えですが、瑕疵に関しては前科がありますので十分な注意が必要かと思います。

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