出回り始めた投げ売り物件(その1)エッセ・シンコンプレックス

これまでディベロッパーやインターネット販売サイトによるオンラインセールスを見てきましたが、今回からはインターネットサイトやFacebook等のSNSで販売している個人広告において目に付いたバーゲン物件を紹介していきたいと思います。

このぐらいの価格で市場を動かしたいと戦略的にバーゲン販売を仕掛ける大手業者とは違い、こちらは販売を余儀なくされている既存オーナー、もしくはその依頼を受けた代理業者の切実さが伝わってくるような思い切った値付けも目にするようになりました。そのような物件が増えて来ると不動産市場の下降に拍車がかかって行くのですが、欧米や日本とは違い透明性の低いタイの不動産市場においては、投げ売り物件がじわじわ増加→趨勢を占めていき常態化→気付いた時には底、といったイメージで秩序なくずるずると低迷が深化していきます。

ウォールストリートの株式市場のように何らかの好・悪材料に反応して、世界中のコンピューターに設定された売り・買いのトリガーが次々と反応して、価格が一夜にして上昇・下降するといったような状況とはかけ離れていますので、十分な発想の切り替えが必要です。

バーゲン広告の英語版を見るとDistressed Salesのタイトルが頻繁に現れますが、これは息詰まった上での販売(直訳)、出血セール(意訳)といったところでしょうか?そのような物件が英語広告で目につき始めていると言う事は、タイ人市場では既にかなり市場低迷の深刻化が始めっていると見ていいでしょうし、実際そのようになっています。

コロナの影響と言ってしまえばそれまでですが、不動産市場の低迷はその前から始まっている事は読者の皆様であれば理解されているところかと思います。
参照過去ログ:2019年を振り替って

ですので、コロナ問題が推測すれば市場が戻ると考えるのは早計です。

ディベロッパーは多くの売れ残り在庫を抱えている。中国人のタイ不動産人気は健在なので、コロナ後は反動買いも十分あり得る。等の市場要因を考え合わせ、今後の動向を見ながら適切な判断対処をする(政府答弁みたい?)、と言うのが目下の結論でしょうか?但し、どちらの要素も極端に強く出る可能性が高く、思わぬ方向にシフトするポテンシャルを秘めていますので十分な注意が必要です。

いつも通り前置きが長くなりましたが、気になる投げ売り物件を見ていきたいと思います。
Esse Singh Complex (エッセ・シンコンプレックス)
20階 1ベッド1バス 34.75平米 7.87ミリオンバーツ


※Esse Singh Complex 販売広告

プリセール時の購入価格が9.87ミリオンバーツ(平米単価28.4万バーツ)なので、2ミリオンバーツ (本日レート:685万円)程の損切り物件になります。既に昨年完成し登記は始まっていますが、これは未登記ですので、登記移転料は1%で済みます。

既に投棄された新築・中古物件に比べて税金コストが嵩まない点が、登記前物件購入の大きなメリットになるのは皆様ご存知の通りです。とはいえ、リセール物件の登記前転売物件と言ってもピンと来ない白帯クラス(失礼!)の方には、わかり難いかも知れません。

エッセ・シンコンプレックスは階下にショッピングモールのある高層オフィスタワーが隣接する複合開発プロジェクトで、敷地はMRT(地下鉄)ペッブリー駅に直結しています。北に一駅でアソーク駅、南に一駅でラマ9世駅、又ペッブリー駅から現在開発中の高速鉄道の停車駅となるマッカサーン駅(現在エアポートリンク線)とも高架橋で繋がっていますので、移動における利便性と将来性は抜群です。又、高速道路の乗降口も近いので日系駐在員の通勤にも重宝します。
参照過去ログ:バンコク〜パタヤ間の高速鉄道情報アップデート2

これまではペッブリー駅周辺エリアの弱点として、買い物や食事場所が徒歩圏内に無かった事が挙げられてきましたが、ショッピングモールの登場がそれを大きく一掃した形になっています。

Aクラスのオフィスタワーも需要が高く、多くの日系企業もオフィスを構えており、このコンドミニアムのテナントニーズにも大きく貢献しています。

このプロジェクトは、3年ほど前のプリセール時は2、3ヶ月で正真正銘完売しました。その後このような投げ売り物件を目にする事はありませんでしたし想像した事も無かったので、この広告を見た時にはちょっと驚きました。20階の南向きの眺望も抜けており、ユニット自体のマイナス要素は皆無です。

既に広告掲載後1ヶ月以上経っていますので、さすがにもう売れているかと思いますが、これは間違いなく“買い”の物件です。

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