新型コロナウイルスによるタイ不動産業界への影響 (その2)

今月完成、引き渡し開始予定だったアソーク地区のラグジュアリーコンドミニアムMuniq Sukhumvit 23(ムニク・スクムビット23)。Major Development(メジャー・ディベロップメント)社より、完成が6月にずれ込むとの連絡が入りました。

コロナウイルスの影響により建築資材や備品が入って来なくなった、というのがその理由に挙げられていました。ディベロッパーの文面には書かれていませんでしたが、往々にして中国からの輸送が停止した、という事なのではないかと思います。

サプライチェーンの主要なポジションを占める中国。中国で製造したパーツをタイで組み立てる等は良く耳にする製造プロセスですが、それが入って来なくなりタイの生産現場では大きな支障が生じています。

武漢にあるホンダが1ヶ月半ぶりに工場を再開させた、との報道がつい一昨日に発表されたばかりですが、発生源とされている武漢では、日系の自動車メーカーのみならず多くの自動車パーツメーカーが生産拠点を構えています。

中国では自動車のみならず、建築用資材からキッチンやバストイレのパーツまで多種多様な部品、完成品を製造している中国からの搬送が途絶えると、既にスペックが決まっているコンドミニアムにおいては代替部品を見つけるのは難しく、今回の完成遅延を余儀なくされます。

日本のマンションにおいても同様の問題が発生しているものと聞いています。

そして3月に入り間もなく始まった世界同時株安。ニューヨーク市場のダウ指数、東京株価の暴落が現在進行中となっており、株式投資を行っている人は悪夢を見るような思いを経験しているのではないかと思います。

それと同時に起きているのが円高の流れ。コロナ問題が取り沙汰される前には対ドル110円前後だった円は一時101円台まで急騰。その後は若干落ち着きを取り戻し、本日では103-106円となっています。

タイバーツはほぼドルと連動するような動きとなっている為、対円では大きく弱ぶくみました。
コロナウイルス発生前は円タイバーツの実質レートは3.6バーツ前後で推移していましたが、作日の時点で3.289バーツとなっており、約8.6%も円高に振れています。

コロナウイルス前よりも8%以上も安い価格でコンドミニアムを購入できるのですから、今決済しようとしている投資家にとってはかなりのアドバンテージとなるわけです。

遅延が生じたムニク・スクムビット23においても同様の事が言え、プリセールで購入した人は物件価格の15% 程しかまだ払っておらず、残りの85%は完成後の引き渡し時に支払いとなりますから、現時点で決済すれば何と8.6%ディスカウント、カミカゼが吹いたような感覚ではないでしょうか?

但し、決済前の転売を考えている人にとっては、昨年から低迷している不動産購入需要はやはりコロナウイルスの影響で中国人等は来なくなり更に輪をかけて減退していますので、損切りでもしない限りはかなり難しいというのが現状です。

又、このように為替が大きく動いている時には、どのタイミングで両替をするのか?というのは悩ましい問題で、いつも為替予想を外す僕のようのものにはまさにギャンブルとなります。極端な話、100円切るかもしれないし、元に戻るかもしれないし、と考えちゃうわけです。

昨日もトランプ大統領が英国を除くヨーロッパからの渡航者も30日間の渡航停止にする、との発表を受け、一度は反発したニューヨーク株式市場も再び下落。昨日のダウ平均は、2,352ドルも暴落。本日の日経平均株価は 1,128円も下落し、17,431円の終値。ダウ平均の下落率は、リーマンショックのスピードを超えている、と日経では報道されています。


※3月12日のニューヨーク株式市場 出典:日本経済新聞


※3月13日の東京株式市場 出典:日本経済新聞


※ニューヨークダウ平均下落率ランキング  出典:日本経済新聞


※ニューヨークダウ平均下落率スピード 出典:日本経済新聞

株価下落は、アメリカ、日本だけの話ではなく、震源地中国は勿論の事、アジア、ヨーロッパ、ロシアと世界中に波及しているのは、既に皆様がご存知の通りです。

僕は株の投資は行っておりませんし、全くの門外漢なのでこれ以上の言及は致しません。

リーマンショックとは違い金融機関そのものがいかれているわけでは無いものの、不動産も無傷では済まないはずです。

パンデミック化したコロナウイルスというのが問題の引き金である事は確かなのですが、経済界で起きている問題の本質として、これまで世界各国の中央銀行の金融緩和により引き起こされた、最高値を更新し続けた株高(アメリカ)やアジア不動産も含めて世界中で起こった資産急騰は実は限界まで来ており、大きな修正期に入っているのではないか?と僕の目には映ってしまいます。但し、僕は経済学者でもアナリストでもないただの素人ですので、そこら辺の事は適当に聞き流して下さいね。

何れにせよ、しばらく市場の動きに対して要ウォッチである事は間違いありません。

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