新型コロナウイルスによるタイ不動産業界への影響 (その1)

本日、WHOがパンデミックに指定した新型コロナ。当然ながら、その影響は不動産業界にも及んでいます。

日本からの駐在員の帰任・着任によってまさにかき入れ時となる3〜4月の日本人賃貸市場ですが、物件選定が大きく動き始めた2月はさほど影響が無いどころか前年を上回る成約件数となったものの、3月に入るとスローダウンが始まりました。

2月末頃から、在タイ日系企業は日本人駐在員の日本出張や又その逆のパターンに対して規制を徹底し始めました。
・不要不急の業務渡航の禁止
・日本出張からタイに戻る場合は、入国後7〜14日間の在宅勤務義務付け
といった内容でしたが、中には徹底されていない企業もあり、そのような会社の新規駐在予定者の中には、逆に深刻化する前に前倒しで住居内覧に来るような人もいました。

住居内覧の際には、子供が入園入学予定の幼稚園、日本人学校、インターナショナルスクールへの視察にもご案内する事がよくあるのですが、2月の半ば以降、どの教育機関も日本からの入国後2週間以内の場合は敷地への入場を制限したので、断念せざるを得なかったご家族も多数に上りました。こういった措置は現在も継続中となっています。

そんな中、3月3日に下の記事が日経で報道されました。


※3月3日 日経記事

タイ保険省が日本からの入国に関して、14日間の隔離を義務付けた、との内容です。

その後、在タイ日本大使館から次のメールが入りました。


※3月5日 在タイ日本国大使館からのメール

タイ保険省と外務省に確認したところ、そのような事実は無い、との確認が取れたという内容でした。

程なく、日経から下の記事が報道されました。


※3月3日 日経記事

タイのアヌティン保険相が地震のFacebookで自宅隔離義務付けを一度は発表したものの、「見直す必要がある。」と更新したが、その後明確な発表は行われなかった、との内容です。

一度発表された事がこのようにうやむやになるケースは、タイにおいては良くある事です。断言はできませんが、国民におもねる形で自身のfacebookで書いてはみたものの、利害が衝突する政府内外からの攻撃にあってそのままに放置する事にした、というのが経緯なのでは無いかと思います。

今から1ヶ月以上遡る2月26日、北海道から帰国したタイ人夫婦がコロナウイルスに観戦されている事が確認された、との報道は現地では大々的に取り上げられ、タイ国内には大きな反響を及ぼしました。


※2月26日 Newsclip

タイ人は平常時において感情を表に出す事のない一般的には温厚な国民性なのですが、当然のことながら内心ではコロナウイルス感染が日本で広がっている事に危機感を抱いています。ヨシダ不動産においても、商売柄日本から訪ねてくるお客様も多いので、約半数のタイ人社員は勤務中もマスクを着用しています。

そのような状況ですので、3月4日に日本から帰任した日本人スタッフにはそのまま在宅勤務を命じています。

現在では、日系企業駐在員によるフライング的な住居内覧の流れも無くなり、今月の賃貸リクエストは少なくなってきています。

駐在期間満期での帰任予定者も多いことから、新規駐在員の人事が大きく変わる事は無いのですが、パンデミック指定となった今、企業側としては、この問題が収束するまでは新規着任の延期を余儀なくされているようです。

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