バンコク中古物件 MODE Sukhumvit 61

前回のノーブル・リファイン以外にも、現行の中古市場を理解する上で参考になる物件がありましたので紹介する事にします。

MODE Sukhumvit 61(モード・スクムビット61)はエカマイ地区ソイ61に立地し、最寄りのエカマイ駅からは約400メートルで、斜向かいにはマックスバリューがあるパークレーンショッピングモールがあります。


※モード・スクムビット61


※モード・スクムビット61、ロケーションマップ

人気物件は往々にして大型高層タワーのラグジュアリー物件が多いのですが、こちらは8階2棟の低層レジデンスがプールを囲む大人のブティックリゾートといった様相のコンドミニアムで大規模物件とは対照的な位置付けです。

しかし、これがただの低層物件とは侮れず、駐在員層には大変人気があり、完成後の3年程は空室を確保するのが困難でした。築7年を迎え、かつての黄金期のような賃貸需要はありませんが、現在でも根強い賃貸人気を誇っています。

ゲイソン・プロパティー社によるプロジェクトで、バンコクのコンド事情に詳しい人でも耳慣れない会社かと思いますが、今でもレジェンドマンション的な位置付けとなっているソイ18のDOMUS(ドムス)を手がけており、このモードがそれに続く第2弾。近々のプロジェクトは、完成したばかりのトンローソイ13のスーパーラグジュアリーTELA Thonglor(テラ・トンロー)です。全部で3つのプロジェクトしかないのですが、どの物件も際立って存在感の高いレジデンスとなっています。

ユニット詳細は次のとおり。

7階、2ベッドルーム西向き角部屋、87平米
価格:12.95ミリオンバーツ(平米単価:148,850バーツ)
家賃:58,900バーツ(日本人テナント入居中)
表面利回り: 5.46%

モード・スクムビット61の価格動向を見ると、この物件の値付けが割安である事がわかります。


※モード・スクムビット61の価格動向 (出典:HIPFLAT)

フロアプラン、間取り図、物件写真を参照下さい。


※フロアプラン


※間取り図(鏡面対照)


※2ベッド2バス 87平米

モード・スクムビット61では、内側を向いたプールビューの1ベッドルーム、外側を向いた2ベッドルームの人気が高いというのが弊社の賃貸データでわかります。

確かにこの2ベッドルームの間取りは素晴らしく、特にリビング&ダイニングの広さ、レイアウトは申し分ありません、というか僕の好みのストライクゾーン真ん中。収納も多くあり、気持ちよく住めそうです。セカンドベッドルームが手狭なのが気になりますが、リビングスペースとのトレードオフとなっている為納得ライン。バスルームデザインも秀逸です。

西側のソイ59では、超高層のHyde Heritage Thonglor(ハイド・ヘリテージ・トンロー)が建築中で、将来的には眺望が大きく遮られることになります。

又、弊社の賃貸担当者に聞くと、西側隣地にあるレストランでは、週末ともなると欧米人が開くパーティーの騒音が夜遅くまで続き、ヨシダ不動産で仲介した2組のお客様が他物件へ引っ越したとの事です。うーん、なるほど・・・。

視察中に居住中の奥様にその事実関係に関して伺ったところ、「ありますね〜。」との事、加えて、「新しいコンドミニアムの建設工事は夜も行われており、強い照明で照らしているので、夜はカーテンを閉めています。」と新たな問題点も発覚しました。

騒音等は近隣住民からの苦情で短期的に収束する事も多いのですが、まだまだ法治国家としては脆弱なタイでは、地元の有力者のコネクションパワーが強かったりすると、ちょっとした問題が一筋縄ではいかない場合も少なくありません。

又、室内の問題としては、フローリング材の隆起があちこちに見られました。「モードによく見られる現象です。」と賃貸営業担当者。

モード・スクムビット61の場合、管理事務所経由でユニットを借りると内覧、入居、退去の際にオーナー代行で全てを管理事務所の担当者が立ち合い、退去時には経年劣化に伴うちょっとしたダメージですらテナント側に責任を負わせ修繕費を請求し、それがあまりに馬鹿げた内容なので、現在ヨシダ不動産ではオーナー直接契約の物件しか仲介していません、との事でした。

多分、その物件の家賃が安いのは管理事務所紹介の物件の為、借り手が見に来ないので値下げしたのでは無いか?そのユニットは通常6.5万バーツが相場で、6万バーツ以下の家賃は初めて聞きました。その床も放っておくと、退去時にテナントに請求されますよ。ウチの仲介じゃ無いので、口出しはしませんが・・・とも言っていました。

そういった事は僕も初耳だったのですが、物件現場をホームフィールドとして活動している仲介担当者の情報力にはいつもながら感心させられます。

管理事務所が完全にオーナー利益を代表して立ちはだかるスタンスはオーナーにしてみれば心強い限りかも知れませんが、やり過ぎて借り手がそこに来なくなると本末転倒、テナントが付かず結果的にオーナーの利益は損なわれてしまいます。

興味深いです!

こういった情報は、現場作業の積み重ねによってのみ得られる類のもので、不動産統計ニュースやウェブサイトを見ても決して得ることはできません。

最近になり中古コンドミニアムに足繁く通い出した理由は、物件現場で生の市場動向を捉え買い場のタイミングを模索する為です。現場だけで得られる貴重な情報には神が宿るといえば大袈裟かも知れませんが、不動産といった投資商品には株や債権といった投資とは明らかに一線を画す要素が存在している事は間違いなさそうです。

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