日本人エクスパットの減少でアパート稼働率低下(その3)

日本人エクスパット減少の考察は前回ご説明しましたが、それが何故アパート稼働率減少に直結するのか?について補足していきたいと思います。

日本人エクスパットの増減はアパートの稼働率が直接影響を及ぼす程の存在なのか?と考える人も多いかと思いますが、その答えYESです。

その1で紹介したCBREのレポート内容では、アパートの稼働率は92%と6年ぶりの低調な数字、となっていましたが、この場合のアパートは分譲マンションに当たるコンドミニアムや大小様々なサービスアパート等の物件は含まれておりません。

アパートとは1人のオーナーが所有する(実際は法人が所有する)賃貸専用マンションを指しています。バンコクでの居住経験のある人、当ブログを愛読して頂きている人には基本知識の部類かと思いますが、それ以外の人に取っては、アパートといった物件種類名は混乱を生じさせる要素になるのでは無いかと思います。

僕も20年以上前はその一人で、アパート???と聞くと、日本に良くある2階建ての昔で言えば〇〇荘、今風で言えばコーポ〇〇といった小規模で低価格家賃の物件を思い浮かべますが、バンコクCBDに点在する(スクムビット地区は特に物件数が多い)“アパート”はそのようなイメージとはかけ離れた物件です。

スクムビット日本人居住区トンロー地区を代表するアパート物件“セティワンマンション”を一例に挙げます。


※セティワンマンション外観

27、23階の高層2棟から為る物件で、安アパートといった風情は微塵もありません。

駅からは離れていますが、周囲には日本人に絶大な人気のあるフジスーパーや他ローカル有名スーパー、多数の日本食を始めとする世界各国の飲食店が軒を連ね、日本人御用達のサミティベート病院(日本のそこらの産婦人科病院よりもここで多くの日本人が生まれています!)は徒歩圏内、加えて日系幼稚園、学習塾、習い事教室等も点在している、いわば日本の生活がそのまま持ち込めるような住環境となっています。

物件詳細に関しては、弊社の賃貸用HPから抜粋した情報を参照下さい。


※セティワンマンション物件詳細

ユニット構成は、
1ベッドルーム(85〜90平米)2ユニット
2ベッドルーム(150〜170平米)8ユニット
3ベッドルーム(250〜325平米)98ユニット
4ベッドルーム(400平米)2ユニット
で、ほとんどが3ベッドルームとなっています。

しかもサイズは見ての通り、とてつもない広さです。最近のバンコク駅近コンドミニアム は、1ベッドルーム30〜50平米、2ベッドルーム50〜80平米が一般的ですので、広さの違いは圧倒的です。

立地的には、駅から遠くても、駐在員世帯は社用車が支給されますのでご主人の通勤には困りませんし、奥様は駅よりもスーパー近の方が優先となり、子供の通学はスクールバス(日本人学校)が一般的になります。又、学習塾に通うケースも多いのでそちらへのアクセスも優先事項となります。

生活利便性、ユニットの広さの観点から、就学児童のいる家族世帯がアパート物件を選択するのはごく当たり前の流れで、スタイリッシュでかっこいいが狭い駅近のタワーコンドミニアムを選ぶ必然性は全くありません。

駅から離れているとは言え、トンローの1等地でユニットの広さを勘案すれば、家賃はかなり安めに設定されています。これはオーナーが昔からここに土地を持つ地主さんだからこそ実現可能なビジネスモデルと考えていいでしょう。今の市場価格で土地を買い、マンションを建てて、この家賃で資金を回収するには膨大な年月がかかってしまいます。

セティワンマンションは築30年の物件ですが、管理維持状態が良く、テナント退去毎に徹底した修繕と原状回復を行いますので、デザイン面での古さはあるものの、きれいに仕上げられた部屋で快適に生活する事ができます。

セティワンマンションは常時満室状態の人気物件となっており、日本人居住率は何と95%。

スクムビット日本人居住区中心のプロンポン、トンロー地区ではこの類のアパートは数多くあり、そのようなアパートでは日本人居住率が9割以上というのもごく一般的な事なのです。

このような事情から、日本人地区のアパートの主要テナント層を形成する日本人エクスパットの数が減少すると、アパート物件の稼働率に直接的影響を及ぼすわけです。

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