日本人エクスパットの減少でアパート稼働率低下(その2)

タイ日系企業進出数の資料をネットで探しましたが、最新数値を発表するまでには至っておらず、若干古めの数値を頼りにしながら掘り下げて行きたいと思います。

JETROが2017年10月に日系企業進出数に関する調査報告書を発表しているので、それを見てみましょう。

前回調査した2014年次の数値と比較しています。

日系企業数は2014年4,567 社から 2017年5,444社と877社の増加となっていますが、製造業は199社の増加に留まっているのに対して非製造業は629社と、製造業の3倍以上の大幅な伸びを見せています。


※業種別日系企業進出数2014年 VS 2017年 (出典:JETRO)

製造業は現地で工場を稼働する等、投資規模が非製造業に比べて大きく、日本から派遣される駐在員数も又非製造業よりもずっと多いのが一般的です。つまり、製造業の進出増加は日本人駐在員数の大幅な増加に直結するわけです。非製造業の中でもサービス業、飲食業等は日本からの派遣を最小限に留め、現地で日本人を雇用するケースが多数派となります。

新たに増加した企業の規模別内訳において、大企業が404社に対して中小企業は432社となっています。


※日本側株主の規模別に見た企業数2014vs2017 (出典:JETRO)

前回のブログで述べた日本人エクスパットの減少は2018年と2019年の比較ですので、上記の統計ではカバーされていませんが、既に2014年から始まっていた企業進出状況の傾向が継続した、と考えれば容易に理解が行くものと思います。現地で不動産賃貸斡旋業をする弊社の取り扱い状況を見ても、この傾向と呼応しており何ら矛盾を感じません。

以上から、日本人エクスパット数の減少は、日本人のポジションをタイ人に切り替えた、長期駐在からプロジェクトベースでの短期派遣に切り替えた等よりも、駐在員数の多い製造業の進出が鈍り、日本からの派遣数が少ない非製造業が増えた、と言うのがより大きな理由なのでは無いかと思います。

加えて言うと、工場の閉鎖に伴う駐在員の帰国もかなりあるのでは無いかと推測します。これに関しては統計数値等の裏付けは無いものの、現地で日系企業の登記をサポートするコンサルティング会社よりそういった話は日常的に入ってきますので、間違いなく日本人エクスパット減少の大きな一因となっていると思っています。

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