バンコク築深コンドミニアムVS新築コンドミニアム (その6)

前回の告知通り、LAS COLINAS(ラスコリナス)を検証したいと思います。

余談になりますが、オフィスから近いので歩いて出向いたところ土砂降りに遭遇。傘を持っていたのですが、バンコクの激しい雨の前に無力化され、結果ずぶ濡れの状態での物件視察となりました。

ラスコリナスはオフィスと自宅の中間地点にあり、部屋のベランダからもいつも見ている建物ながら数年前の視察以来足を運ぶ事も無く、久しぶりの訪問と相成った次第です。

下は前回ブログのカバーで使った写真ですが、これはアソーク交差点を宵の口に撮影したものです。この写真からラスコリナスの立地の良さを改めて理解できるかと思います。


※アソーク交差点近辺

今回視察したユニットは33階の2ベッド2バス100平米のユニットになります。


※ラスコリナス 33階2ベッド2バス 100平米

このユニットタイプはラスコリナスの中でも最小ユニットタイプとなります。この頃のコンドミニアムは、1ベッド70〜120平米、2ベッド100〜200平米、3ベッド150〜300平米といった設定が一般的でした。

今考えれば贅沢なスペースの使い方です。

ラスコリナスが完成した1995年は、BTS(高架鉄道)もMRT(地下鉄)もありませんでした。アソークとスクムビット通り北側の角地で現在インターチェンジがある場所は当時空き地で屋台等が占拠していました。多分に地主がショバ代を取っていたのだろうと思います。向かい側のエクスチェンジタワーが建設を始めたところで、その後1997年のトンヤンクン危機(通貨危機)後しばらくは建築作業が中断、鉄骨が雨ざらしになっていたのを良く覚えています。

今の姿からは到底イメージできないのではないでしょうか?

その後BTSアソーク駅、MRTスクムビット駅ができ、アソーク交差点近辺はバンコクでも有数の超一等地と認識されるに至りました。

ラスコリナスのディベロッパーが公共交通機関ができる事を知っていたか否かは定かではありませんが、何れにせよアソークの超一等地に現在も聳えているわけです。

ユニットの写真を見ると、この頃のコンドミニアムの特徴が随所に見受けられます。広々としたスペースに木材を使ってコテコテに作り込んだ内装、低めの天井、開口部が少なく室内が暗め、寝室は腰高窓、古いキッチンデザインと機器、広さはあるが間取りは非効率的、バルコニーを占有するエアコン室外機、シャワー一体化浴槽、コンセントが少ない故に後付けとなった為壁を這う電気配線等々です。


※古いユニットの特徴一覧

勿論、圧倒的な広さ、眺望、収納力等々、古いながらの長所も少なくありません。但し、広さはあるが天井が低い為圧迫感がある、眺望は良いが室外機が邪魔、収納スペースの位置が微妙等々、良いところを十分に引き出せていないのが残念です。

このユニットに関しては床を張り替えていました。贅沢に天然木を使ったフロアがピカピカに磨き上げられており、グレード感十分です。ラスコリナスはタイル床がオリジナル設定ですので、かなりのコストをかけて張り替えたのだと思います。

そのついでに内装やキッチンもコンテンポラリーなスタイルに全面改装し、エアコン、キッチン家電、家具調度品も入れ替えていれば、随分印象が違ったものになったと思います。オーナー個々人で事情が異なるでしょうから、大きなお世話と言われればそれまでです。

但し、この状態でこのユニットを賃貸住まいしたいという酔狂なテナントが現れる事は先ず無いでしょう。残念です。

反面、美しいユニットに生まれ変われば必ず賃貸テナントが付くのか?良い価格で売却できるのか?と改めて考えると、なかなか自信が持ち切れないのが正直な気持ちです。

結論は後回しにして、共有設備を見てみましょう。


※ラスコリナス共益設備

物件グレードを誇示するにおいては重要な存在となるロビー周りは、古さは否めないものの広いスペース、吹き抜け天井、贅沢に石材を使用等により十分なグレード感を醸成しています。但し、ドライクリーニング屋や見た目が芳しくないライブラリールームは若干ディスクレジットになっている印象です。

25メートル長の大型プールやプールサイドのラウンジエリアの重厚なクラシック感はプラスに作用していると感じます。フィットネスルームもやはり古めですが、広いスペースに並ぶエクササイズマシーンは新しいものが使われており実用十分、雰囲気も悪くありません。最近のコンドミニアムでは、高層階の広く取られた開口部からパノラミックな眺望を見渡すようなフィットネスルームが主流になっていますが、ラスコリナスの開口部は小さく若干の閉塞感ありといったところでしょうか?

キッズルームは屋根のあるセミアウトドアの仕様ですが、よく見ると子供用プールだったところに水を抜いて遊具を置いたようです。これも実用には問題なさそうです。

写真にはありませんが他にも御影石造りの大型スチームサウナもあります。この頃の物件は天然木材、大理石、御影石等々の高級建材をふんだんに使っているのが一般的ですが、ラスコリナスも例外ではありません。

尤もこの頃作られたコンドミニアムのターゲット層はタイ人富裕層オンリーでしたので、その目的に叶う高級仕様にする事が必然的にプロジェクトの前提条件だったのだろうと思います。

一軒家には敵わないまでも十分に広い、高級感あり、ホテル並みの共益施設というのは欠かせない要素だったわけです。

ですので、1990〜2005年頃につくられたコンドミニアムには、メイドルームが備えられているユニットが数多い、と言うよりもごく一般的でした。そこからもその頃のコンドミニアムの位置付けを垣間見る事ができます。

今でもリッツカールトンレジデンス等の最高級クラスのプロジェクトにおいては、メイドルームやメイド用キッチンを備えるユニットを数多く見る事ができます。

次回はこのラスコリナスと平米単価が2倍となる周辺新築コンドミニムとの比較に焦点を当てたいと思います。

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