バンコク築深コンドミニアムVS新築コンドミニアム (その5)

前回までは勝ち組の築深コンドミニアムがどのような市場価値を保っているのかについて、バンコクのコンドミニアムの価格変遷の歴史を織り交ぜながら説明してきました。

その後時間は空いてしまいましたが、今回からはシリーズのテーマに掲げていた話の肝となる“築深VS新築”に関して検証を進めたいと思います。

弊社のオフィスもあるアソーク地区での新旧コンドミニアムに目を向ける事にします。

先ずは新築物件から。

過去ログ:人気プロジェクト MUNIQスクムビット23、アソーク地区の他プロジェクトと比較 を参照願います。

2016年当時アソークエリアで建築中だったプロジェクトを比較しており、ここ1〜2年で引き渡しになった、又は今まさに引き渡しが開始となっている物件ですので、このエリアの新築コンドミニアムのレビューには役立つかと思います。

その当時から幾つかの物件は相場価格が下がりましたので、訂正しております。


※アソーク地区プロジェクト比較表


※プロジェクトロケーション

その当時の不動産相場は好況を背景に価格上昇中で、例えばアシュトン・アソークはプリセールから20%以上アップといった価格を付けていましたが、2017年末の引き渡し時に裁判沙汰で登記移転ができなくなるといった深刻な問題が発生。2018年6月には無事登記が始まり事なきを得たのですが、ディベロッパーによるキャンセル物件の買い戻し、加えていつ登記ができるのか不透明な状況の相場は下降。そこに2018年の市場鈍化が重なり、今の相場に至っています。ですので、結果的には一時の価格上昇が打ち消される程度に留まり、プリセール価格+5〜10%で現在価格は推移しています。BTSとMRT駅近のスーパーロケーションといったアドバンテージのある物件だけに、最近目にするような損切りといった状況にまでは至っていません。賃貸人気が高いのも価格維持に大きく貢献しているようです。

それにしてもその頃のブログを読み返すと、あの頃はかなりの上げ相場だったんだなあと今との違いを改めて実感します。

エッジ・スクムビット23は2年前に引き渡し終了、アシュトン・アソークは引き渡し間も無く終了、エッセ・アソークとノーブル・ビー19は引き渡し中、ムニク・スクムビット23は来年完成予定、となっています。

次は比較対象となる築深物件を紹介します。

物件名はLAS COLINAS(ラスコリナス)、上記の地図上に立地を加えておきました。


※ラスコリナス外観

MRTスクムビット駅まで徒歩2分、BTSアソーク駅まで徒歩5分、アソーク通り沿いに建つスーパーロケーションです。

1995年築、44階建、総邸数198。階数に比してユニット数が少ないのは、やはりこの頃のコンドミニアムお決まりの大きいユニットサイズに起因しています。
先ずはポータルサイトHipflatに掲載されている市場価値を見てみましょう。


※ラスコリナス市場価値 (出典:Hipflat)

現在販売中の平均平米単価は123,053バーツ。プリセール価格は幾らだったのかは不明ですが、この頃のラグジュアリー物件相場から推し量ると平米5万バーツ前後だったのでは無いかと思いますので、この数値をベースにすると当時からは2倍以上に価格が上昇した事になります。
売買物件を見てみましょう。


※ラスコリナス売買物件広告

ラスコリナスでは最多ユニットの間取りとなる140平米の2ベッドルームは15〜16.5ミリオンバーツ(約5,250〜5,775万円)で売られていますが、飽くまで希望販売価格であり、いくらで購入したかにもよりますが、売主の思惑はソンキッド・ガーデンのオーナーと似たりよったりといったところだと思います。

売買物件の広告数は75件と総邸数198件の割にかなり高い比率となっていますが、ソンキッド・ガーデンズの際に説明したのと同様に同一物件の重複広告が多い事によるものかとも思いますが、それでもかなりの数が売りに出されている印象です。

それでもアソーク周辺の新築物件に比べれば平米単価はほぼ半値となっていますので、アシュトン・アソークやエッジ・スクムビット23と同様にBTS、MRT駅近の抜群の立地の良さを考えれば、この価格は誰の目にも非常に魅力的です。

しかしながら、広告で出ている物件がよく売れている、という話は耳にしませんし、同物件の賃貸相場も下がっている割には弊社での賃貸実績はほぼゼロとなっています。

どうしてでしょうか?

この事実関連を検証する為には、ラスコリナスがどのような物件なのか?に関してより正確に理解する必要があります。

そこで久しぶりにラスコリナスに足を運び、物件視察を敢行しました。

次回はラスコリナスの詳細レポートを行い、何故半値という大きな価格差がありながら売れないのか?もしかしたら買い得な掘り出しモノではないのか?等を検証していきたいと思います。

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