ラマ4世通りの台頭 (その3)

ラマ4世通りのプロジェクト開発に関して、残り2つをご紹介します。

再度プロジェクトロケーションを下図で確認下さい。


※ラマ世通り、大型複合プロジェクト立地図

3. Dusit Central Park(デュシット・セントラル・パーク)

こちらは始まったばかりのプロジェクトで完成予定は2024年、ラマ4世通りとシーロム通りの角地、バンコクの老舗ホテルデュシタニの敷地が再開発される形になります。MRTシーロム駅、BTSサラデーン駅のどちらも至近、バンコク随一のプライムロケーションと呼んでも差し支えない立地。ルンピニ公園はラマ4世通りを挟んで向かい側となります。


※Dusit Central Park完成予想イメージ

始まったばかりのプロジェクトなので開発詳細の大部分は不明なままですが、ホテル、レジデンス、オフィス、飲食店街が再開発される予定です。開発事業者はデュシタニグループとセントラルパタナ。セントラルパタナはセントラルデパートを運営するセントラルグループの不動産開発会社です。

4. One Bangkok(ワン・バンコク)

ラマ4世通りとワイヤレス通りの角地。104ライ(1ライ=1,600m2)=16.64ヘクタールの広大な敷地に建設中。最寄駅はMRTルンピニ。日本国大使館に隣接し、ワイヤレス通りを挟んで向かい側はルンピニ公園。2025年完成予定。

プロジェクト概要に関しては、下図を参照下さい。


※ワン・バンコク、プロジェクト概要

ホテル2棟(21階建、16階建)、オフィスビル3棟(50階建、58階建、40階建)、コンドミニアム(61階建、65階建)、オフィス&ホテル複合ビル2棟(60階建、 92階建)、コンドミニアム&ホテル複合ビル1棟(50階建)
と、壮大なプロジェクトで、一つの街が誕生するようなイメージです。


※ワン・バンコク完成予想イメージ

ホテルの一つは、リッツ・カールトン・ホテルになる事が、今年4月に発表されています。リッツは2023年に開業予定。


※ワン・バンコクにリッツ・カールトンホテルが開業、記者会見の様子

以上、簡単ではありますが、ラマ4世通りで開発中の4つの主要プロジェクトを紹介しました。

これらのプロジェクトに呼応する形で、他にもラマ4世通りでは大小様々な開発が進行中です。

デュシット・セントラル・パークのシーロム通りを挟んで向かい側の旧ロビンソンデパート跡地ではオフィスビルが開発中で、その一例となります。

BTS開通後の20年で開発が進んだスクムビット通りに追いつき、旧来の主要幹線道路の復権を取り戻せ、と言った狙いでしょうか?

私見にはなりますが、このようにラマ4世通りでオフィススペースの巨大な供給が行われれば、サトーン通りのオフィスビルから移転する会社が多いのでは無いかと予想できます。

シーロム通りのBTSが通っているエリアはまだ安泰かと思いますが、サトーン通りのオフィスビルが集中するエリアは、MRTルンピニ駅とBTSチョンノンシー駅以外に利用可能な駅はなく、通勤利便性は高くありません。ですので、ラマ4世とナラティワート通りの間に立地するサトーン通り沿いのオフィス賃貸需要がラマ4世通りに奪われるのでは無いかと予想します。


※オフィス賃貸需要の移動イメージ

上記と同様の理由で、以前はさほど変わらなかったコンドミニアム平米単価においても、スクムビットCBDは順調に上昇してきた中、サトーン地区の価格の伸びは見られず価格乖離が進みました。

現在はサトーン通りのコンドミニアム開発は、BTS駅のあるスラサク中心となっております。

失業率が極端に低いバンコクにおいて有能な人材を確保するためには、給与のみならず通勤利便性も重要な獲得条件となりますので、BTSもしくはMRTでのアクセス力の無いオスィスビルは淘汰されていくものと予測します。

今回ご紹介した4つのプロジェクトは、MRT駅に隣接又は直結しており、通勤利便性は抜群です。

将来のオフィス需要がラマ4世通りに移るとなれば、日本人居住区からのアクセスはどれも良好な立地ですので、日本人のシーロム・サトーン地区の居住需要は更に低下するのでは無いかと見ています。

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