コンドミニアムのブランディングを信用するのは危険

ペッブリー駅やラマ9世駅周辺のコンドミニアムを視察して気づいた事は、リズムはアドレスと並びAP社の最高グレードのラインアップの位置付けであるにも関わらず、こちらの2つのリズムのユニットは大きく見劣りする仕様水準となっている点です。

上場ディベロッパーの最上級グレードともなれば、エアコンは天井にビルトインされるのが一般的ですが、こちらは壁掛けスタイル。加えてシャワールームの温水器までむき出しの壁掛けとなっている安普請。これではライフと全く差別化ができていないでは無いか、と思ってしまいます。洗面台とトイレの作り込みを見ても最上級グレードの面影は全く見られません。

※リズムアソーク2、リビング

※リズムアソーク2、バスルーム

※リズムアソーク2、バスルーム

実際ほとんどの主要ディベロッパーは、同じブランド名を冠していても、エリアによって仕様水準を変えているのが実情です

リズムのレベルを期待して購入した人にとっては、「裏切られた。」ということになりはしないかと思うのですが、タイ人購入者には許容範囲との事なのか大きく疑問を感じます。

タイのコンドミニアムのプリセール時にはショールームすらできていない事が多く、ロケーション、大まかな物件概要、フロアプラン、間取り図、価格のみを頼りにユニットを選択して予約金を払い込むのが一般的です。

当然ある程度ディベロッパーやコンドミニアムブランドの知識を有する人であれば、このシリーズであればこの程度の仕様といった認識を持って判断すると思います。当然最高グレードのブランドであれば、温水器がシャワールームの壁付けになるとは誰も想像しないのでは無いでしょうか?

僕は昭和半ばに生まれ育ったのですが、その当時はこの温水器は台所や浴室(当時はお風呂場というのが一般的な呼び方でしたが)でよく目にしました。温水器というより瞬間湯沸かし器と呼んでいたと記憶しています。その当時は今のシステムバスのようにワンタッチでお湯張りができるようなシステムはなく、お湯の蛇口を捻ると「ボン」という音がしてガス湯沸かし器が点火して給湯していました。

僕にとってのこの瞬間湯沸かし器は昭和を象徴する遺物で、見た目麗しいとはとても言えず、いい印象は全くありません。という事で、現在の日本で見る給湯、お風呂のお湯張りシステムの素晴らしさには感動すら覚えます。

タイのマンションではボイラーを設置してのセントラル給湯システムはほとんど見られず、キッチンやバスルーム毎に温水器が設置されるのが一般的です。その方がコストも安く、熱い湯船に浸かる習慣が無いタイではそれで十分という事なのだと思うのでそれはそれでいいのですが、高級グレードのユニットで壁付けは容認できません。多少のコストがかかってもきっちり見えないところに収納して欲しいものです。

※ラグジュアリーグレードのコンドミニアムでは温水器を洗面台の下などに隠すのが一般的

温水器の話がつい長くなってしまいましたが、この類の事はAP社のもう一つのラグジュアリーグレードであるアドレスシリーズにも同じことが言えます。

弊社が賃貸で扱う、アドレス・チットロム(タワー)、アドレス・スクムビット28(タワー)、アドレス・スクムビット42(低層)、アドレス・スクムビット61(低層)も統一されたスタンダードはなく、その品質も見事にバラバラです。

アドレス・スクムビット28は豪華物件で絶大な賃貸人気を誇り、アドレスシリーズにおいてもフラッグシップ的な物件となりますが、アドレス・スクムビット42は場所も見栄えも悪く、これが同じブランド?とにわかに信じられません。立地の関係ももちろんありますが、平米単価は倍以上違います。

他のディベロッパーはどうかと言うと、ノーブルやメジャー等の明確にシリーズ名でのブランディングは行っていないところ、アナンダやサンシリのように比較的はっきりとグレード分けをしているところ、と会社により大きく違っている事がわかります。

ブランド名を冠するのであれば、明確なガイドラインに沿ってわかり易く行って欲しいところなのですが、「売り切る。」という至上命題を掲げるディベロッパーは、建設するエリアによっては売値を抑えたい=コストダウンをしたいという思惑の中でブランディングの継続性を犠牲にする傾向にあります。ブランド名をそのまま信じ込んで購入すると「期待と違っていた。」という結果になりかねません。

「〇〇シリーズですから大丈夫ですよ〜。」といったセールストークを鵜呑みにせず、ディベロッパーが名付けるブランド名は参考程度に考えて、どのような水準の物件なのかを十分に検討して購入することをお勧めします。

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