将来の賃貸激戦区スクムビット36 (その4)

リズム・スクムビット36−38

アイデオQスクムビット36

ヴィタラ36

168スクムビット36

 

※BTSトンロー駅前物件マップ

どれもがスクムビット36の中に入った物件で、リズムとアイデオは高層、ヴィタラ36と168は低層物件となっています。

 

リズムは2016年に開業し、物件としては際立ったものはないもののこれといった非もなく、ディベロッパーであるAP社の中では最高グレードの物件なのですが、残念ながら賃貸が奮っていません。

 

将来の賃貸激戦区スクムビット36(その1)でも書いたのですが、それはソイ36の住環境に起因していると思うのです。昔ながらのよろず屋みたいな商店と2、3の飲食店がある他は何もなく、ラマ4世近くになると大きなくず鉄屋がデンとあったりして、何しろ印象が悪すぎです。聞くところによるとこのくず鉄屋は将来的に無くなるそうなのですが、現段階では周辺環境に大きなダメージを与えていますのでさっさと移動してもらいたいものです、ほんとに。

 

リズムは高級物件なので安い家賃設定もなかなかできず、駅徒歩7分とさほど近いわけでもなく、とテナントにとっては決め手に欠いてしまいます。一方のトンロー駅直結ノーブルリミックスの1ベッドルームは3万バーツから借りられます。リズムの新築の誘惑に心惹かれながらも、現実的な利便性を直視しノーブルがどうしても選ばれてしまうのです。

 

現在建築中の高層2タワー、アイデオQスクムビット36も同様の運命を辿るものと予想します。こちらはトンロー駅徒歩9分、とリズム以上に駅から離れています。これだけ離れてしまうと、アシュトン・モルフ38のように先進的なデザインで状況をひっくり返すのは難しいですし、賃貸競争はアシュトン完成時の2013年に比べ、ずっと激化しています。

最後のヴィタラ36と168スクムビット36は、1ベッドルームの予想家賃2万バーツ〜ですら大きな下方圧力に直面するものと見ています。尚、このエリアでは2ベッドルームの需要はほぼ無いものと思います。

 

駅から遠い低層物件の運命は厳しいものにならざるを得ません。

 

完成してもなかなか借り手が付かず空室のまま時間が経過すると、物件内での値下げ競争の消耗戦が展開します。値下げしながらも他のユニットに負けないようにコストの出費を強いられますので、精神的に穏やかではいられません。

 

168スクムビット36は、日系のディベロッパーであるラトレにより開発されましたので、ユニットレイアウトは良くできていると思いますが、借り手はコストコンシャスな顧客層になるので、より安く分譲したお隣りヴィタラのオーナーは値段で勝負を挑んでくるはずです。

 

もう一つ厄介なのは、2万バーツを切る物件を探す賃貸客は、日本人であれば現地採用組が多く、家賃手当が支給されない関係で安いほどいいのは言うまでもないのですが、駐在員と違って社用車も支給されないのでBTS通勤をするのが一般的です。そうなると、駅近は絶対条件となってきます。ですので、2万バーツを切って家賃設定をしても、オンヌット駅前の物件に軍配が上がる可能性が濃厚です。トンロー駅から3つ目の駅ですので、徒歩13分でトンローなら徒歩2〜3分のオンヌットと選択してくるのではないかと思います。オンヌット駅前にはテスコロータスやムービープラザといった商業モールと多数の飲食店が揃っており、住環境は現状のソイ36よりはずっと豊かなのです。

 

後述

 

将来の賃貸激戦区スクムビット36のシリーズ最終回はどうしても辛口になりましたが、実際は記述した以上に厳しい現実が待ち受けていると思います。

 

賃貸ビジネスを長くやっていると、賃貸の勝ち負けにはいつも圧倒的な差がついている事が嫌という程見えてきます。一般的に予算が見合うのであれば、「住む」と言うテーマには決して妥協はありません。それは誰にでも自明の理であるかと思います。

 

ですので、勝ち物件には空室待ちでテナントが並び、負け物件は見向きもされない、といった厳しい結果が伴うのです。

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