今後の動向が気になるNIMIT Langsuan
深刻な問題を抱えるNIMIT Langsuan(ニミット・ランスアン)、先ずはプロジェクト概要を見ることにします。
※NIMIT Langsuan
ロケーション
前回のブログで紹介したバンコクの超一等地ルンピニ地区、ランスアン通りに面した立地であるばかりでなく、ルンピニ公園まで100メートル程ですので、正真正銘のハイソ生息地ど真ん中になります。周辺にはQランスアン(永久所有権)、ハンサー(定借物件)といったラグジュアリーコンドミニアムの他に昔ながらの賃貸専用マンション、サービスアパートなども点在しています。アジアのNo1レストランとしてメディアに取り上げられるガガンもすぐそば、他にも多数のカフェ、飲食店がありハイソエリアに相応しいお洒落な街並み。道路を挟んだ向かい側で建設中のシンドーンビレッジが完成すれば、このお洒落度は一挙にヒートアップするものと思われます。
物件概要
ディベロッパー PACE Development Corporation PLC
開発用地 4,161平米
プロジェクトタイプ スーパーラグジュアリー
保有条件 永久所有権
総階数 地上54階地下2階
ユニット数 189邸
ユニットサイズ 2ベッドルーム 77-168平米
3ベッドルーム 136-218平米
4ベッドルーム 268-336平米
ペントハウス 640平米
共有施設 グランド階に緑豊かな庭園、10階にプール他の施設
完成予定 2018年
バンコクのコンド事情に詳しい方であればディベロッパーPACEには聞き覚えがあるかと思います。過去ブログでも取り上げましたが、BTSチョンノンシー駅前のマハナコン、即ちあのリッツカールトンレジデンスを手がけたディベロッパーです。
参照過去ログ:
THE RITZ CARLTON RESIDENCES 天空に聳える豪邸(その1)
THE RITZ CARLTON RESIDENCES 天空に聳える豪邸(その2)
THE RITZ CARLTON RESIDENCES 天空に聳える豪邸(その3)
PACEは他にもエカマイ地区にFICUS LAN(完成済み)、シーロム地区にSALADAENG RESIDENCES(完成済み)、ホアヒンにMAHASAMUSTR(開発中)など話題性の高い蒼々たるプロジェクトを手がけています。2003年CINKARA CO., LTDとして設立され、2013年にはタイ証券取引所に上場を果たしております。
※PACEの開発実績
※MAHAMASUTRホアヒン
PACEは2015年に北海道ニセコのスキーリゾートビラの開発を発表していましたが、どうやらその後は頓挫しているようです。
事業内容はレジデンス開発だけに留まらず、2014年にはアメリカの飲食大手DEAN AND DELUKAを買収しました。ところがこの買収後、資金繰りが極度に悪化。2017年10月にセントラルグループへ売却を図っているとのニュースが出ましたが、セントラルはこれを否定しています。
※DEAN AND DELUKA
この資金繰り悪化のニュースは住宅開発業界のみならずタイ経済界に激震を走らせ、PACEの株は売りを浴びせられる結果に・・。そして現在も株価は低迷を続けています。
※PACE株価動向
そしてその資金繰り悪化が直撃したのが2015年にプリセール開始後程なく完売したNIMIT Langsuanというわけです。
上記の通り完成予定は2018年となっていますが、つい先日建築現場に足を運んだところ54階建てのうち9階部分ぐらいまでしか建築が進んでおらず、どうも長いこと止まっているようです。
※建設が進んでいないNIMIT Langsuan
このプロジェクトのレジデンス部は10階からですので、まだパーキングレベルまでしか捗っていないことになります。これ大丈夫?と心配になるのは僕だけでしょうか?勿論そんなはずは無く、マーケットを見ていると結構な数の転売物件が出ています。そりゃそうですよね?一体どうなるかわからないプロジェクト、売りたくなって当たり前ですが、PACEの不振は広く知られているところなので、キャピタルゲインが乗ったリセール価格で喜んで買うような酔狂な人はまずいません。
但し、もし完成したとすれば、このプロジェクトの価値はこんなものでは無いはずです。正直このハイソ生息地区の中心地におけるスーパーラグジュアリーコンドの平米単価30〜35万バーツは割安感があります。
実際先月末の英字新聞バンコクポストでは、免税店大手でイギリスプレミアリーグ“マンチェスターシティ”のオーナーでもあるキングパワーが水面下で買収交渉を進めているとのニュースが出ていました。
※バンコクポスト記事
又、昨年暮れにはディベロッパー大手サンシリがリッツカールトンレジデンスのユニットを50ユニット程の買収を交渉中、などというニュースもでていましたが、この取引はどうやらご破算になったようです。
リスクを押さえこめるのであれば、NIMIT Langsuanは最強ハイソ地区の正真正銘の豪華コンドミニアムとして魅力的すぎるプロジェクトであると確信します。
でもタイの事情に精通していない外国人が手を出すにはあまりにもホットな物件なんですよね〜。綺麗な花には棘がある、といったどころでしょうか?