Ashton AsokeとPark24を選ぶに当たって (その2)

前回はバンコクの都市化、土地価格の上昇を背景にコンドミニアムユニットがダウンサイズ化してきた経過をユニット数、平米単価の変遷と共に見てきました。

 

本日はタイトルに記した通りの本題に入ります。

 

Sell Before Transferのタイミングでプリセール価格とさほど変わらない価格で買えるのであれば、買い得物件ではないか?何の問題があるの?と思っている人は多いでしょう。今までのバンコクの物件価格の上昇を知っている人であれば特にそう思うはずですし、僕自身もそれに同意する部分もあります。

 

但し、価格的にお買い得である事には同意するにしても、そこで考えなければならないのは、それでは何の為に買うの?というシンプル過ぎる疑問です。

 

Sell Before Transferで購入するということは、登記して所有すると言うことを意味します。「いや価格が上がっていないのであれば買って即転売に回す。」という無謀な人はまずいないでしょう。いるのであれば驚きです。

 

そして所有した後は、賃貸投資か自己居住の選択肢が残るのみです。それが自己居住なのであれば、この2つの物件は大変なお勧め物件となります。3年以上前の価格で買えるのですから、プレビルドのリスクをファーストハンドの購入者に肩代わりさせていいとこ取りができるわけで、こんなおいしい話はありません。

 

僕が懸念しているのは、賃貸投資目的で購入する場合のみに限られます。

 

先ずはAshton Asokeから見る事にしましょう。

 

立地も物件グレードもそしてディベロッパーのブランド力も言う事なしです。でも日本人テナントを見つけるのは簡単ではありません

 

何が問題になるのでしょうか?

 

第1の問題点は広さです。Ashton Asokeの1ベッドはすべて30~34㎡となり、賃貸市場の中心層となる駐在員は50㎡以上の広さを選ぶのが一般的ですので、狭いユニットはどうしてもその選択肢から除外されます。東京都知事の小池さんではありませんが、「小さいユニットは排除します。」となるわけです。

 

※Ashton Asoke、 1ベッドルーム30㎡ 間取図

 

※Ashton Asoke 、1ベッドルーム34㎡ 間取図

 

 

この点に関しては、前回のブログでもNoble PloenchitとEdge Sukhumvit 23を例に挙げて説明しています。40㎡が駐在員層の選ぶ下限サイズと理解するといいでしょう。それより小さくなると、タイのコンドは収納力が無いためスーツケースやゴルフバッグ等を置けなくなり、実用性に問題を来します。

 

2番目の問題は立地となります。「さっき立地がいい。」と言ったではないか?と言われそうですが、上記はユニバーサルな意味での立地の良さとなります。目の前はMRTスクムビット駅、BTSアソーク駅もたったの250メートルほど。確かにバンコクではベストロケーションの一つに数えられます。

 

但し、日本人への賃貸を考えた場合、必ずしもそうとは言えません。実は、アソーク通りを挟んで西側を選ぶ日本人は東側に比べて少なくなります。日本人居住区の中心はアソーク通り(スクムビットソイ21)~エカマイ通り(スクムビットソイ63)ですが、アソーク通りに面した物件は元来コンドが少なかったという側面はあるものの、あまり積極的に選ばれることはありません。

 

その点においては、ソイ21から一本中に入った立地のEdge Sukhumvit 23は文字通り一線を画し、日本人居住区に入ってきますので、40㎡以上の大きいユニットであればテナントを見つけるのに苦労する事はありません。

 

上記の否定的要因を除けばアナンダ社の最高グレードに位置付けられるアシュトンブランドですので、超高層50階建てのスタイリッシュな外観、豪華な内装、共用ファシリティ等の申し分の無い条件が揃うのですが、狭い&日本人居住区から若干外れる、の2点が揃うと賃貸利回り投資の場合、深刻な否定的要因となってしまいます。

 

日本人以外に貸せばいいではないか?と思う人もいるでしょうが、僕もそれには同意です。賃貸成功可能性は広がるのでその通りなのですが、ではどのようにやるのか?英語やタイ語が堪能であれば問題は解決できるのですが、日本に住みながら現地のタイ・外資系の業者とやり取りするのは結構な苦痛を強いられるものと想像します。

 

弊社でも多数の現地エージェントと連携し対応可能ですが、やはり中核を成す日本人エクスパットの賃貸に比べて、その業務優先度は下がり、よほどの事情が無い限り後回しにしてしまいがちです。

 

捕捉になりますが、1フロアに2ベッドユニットが2つしかなく、他が全て1ベッドというのも問題をより一層深刻なものにします。600ユニット以上が1ベッドとなりますので、自ずと物件内での賃貸レースは激化するはずです。

 

ビルの出来栄えを見てもカッコよく、あれが3年前の価格で買えるのかと思うとついよだれが出てきそうな物件ですが、その使用用途を冷静に考えないと後悔する事になります。

 

キャピタルゲインを考え含めれば、その可能性は高いので、数年気長に待てる人であれば選択肢としてもいいかも知れませんが、賃貸投資といった面では必ずしも視界良好ではないことをお忘れなく。

 

次にPark 24について考えましょう。

 

※Park24

立地は日本人居住区中心なので問題は無く、ソイ22と24のマルチアクセス可という点は更なるプラス材料となります。

 

この物件の第1の問題は、Ashton Asoke同様に広さとなります。1ベッドは27~28㎡のものがほとんどで、Ashton Asokeよりも狭くなります。

 

ディベロッパーもプロジェクトセールスの段階でそれに気付いたのか、この1ベッドを2ユニット連結させた2ベッドユニットを大々的に販促していましたが、これが第2番目の懸念点となります。

 

27~28㎡の1ベッドの間取図を先ず見て下さい。

 

※Park24、1ベッドルーム 28.08㎡ 間取図

 

次に隣どうしのユニットを連結した2ベッドの間取図を見て下さい。

 

※Park24、連結2ベッドルーム 57.16㎡ 間取図

 

※Park24、連結2ベッドルーム ショールームイメージ

もともと1ベッドルームのレイアウトは、玄関に入るとダイニングキッチン+リビング、ガラスで間仕切された窓側にベッドルームとなっている1ルームタイプによく見られるタイプのもので、開口部はベッドルームのみとなっています。

 

そしてこの1ベッドを連結させると、ダイニングキッチン+リビングスペースは部屋こそ広くなるもののやはり開口部はありません。この開口部の無いリビングエリアはどうしても敬遠されてしまいます。窓の無いリビングはシンプルに嫌ですよね?

 

又、ショールームでは2つになるバスルームの片方にバスタブを設置しているのですが、もともとシャワーブースとなる空間にバスタブを詰め込んでいる為、ゆっくり足を伸ばすことすらできないサイズとなっています。何でわざわざバスタブを入れたの?と思ってしまいます。

 

タイ赴任1年目で、特に女性の場合「バスタブは必須条件。」とする人を目にしますが、ここは常夏のタイ、又日本のようにワンタッチで湯船にあついお湯をはるといったシステムもないので、2年目からはあまりその希望を聞かなくなるのが通常です。ゆったりとバスタブとシャワースペースを確保できないのであれば、シャワーのみとするのがタイでは正解なのです。

 

又、50~60㎡の2ベッドユニットには、家族世帯需要は少なく、単身で予算のある駐在員層がメインのマーケットになります。但し、この連結2ベッドはそのレイアウトの悪さから、単身層を取り込むことも難しいものと予想します。

 

Park24では、プロジェクト当初から2ベッドで設定されているコーナーユニットを購入するのがお勧めです。全室に開口部があるので、単身層のテナントを見つける可能性が高くなります。但し、Sell Before Transferのリセールを見ていると、ほとんどが1ベッドで2ベッド角部屋は少ないようです。

 

※Park24、2ベッドルーム角部屋 51.83㎡  間取図

 

このプロジェクトは高層5棟(うち1棟はサービスアパート)もある巨大プロジェクトで、Ashton Asokeほどではありませんが、1ベッドユニットが圧倒的に多いので、物件内賃貸競争は熾烈なものとなるでしょう。

 

Ashton Asokeでも述べましたが、自己居住目的で間取りに問題を感じない人であれば、ここもまたお勧めの物件です。プロンポン駅までは若干距離はあるものの徒歩10分以内、エンポリウム・エムクオーティエといった大型商業施設が駅と直結、周囲には日本食を始めとする飲食店が軒を連ね、大きなベンジャシリ公園も徒歩圏内と住環境には非常に恵まれています。

 

Ahton Aoke、Park24は共に存在感のある大型プロジェクトで、それが数年前のプリセールと変わらない価格で登場、を目の当たりにすると購入意欲が沸々と湧いてきますが、くれぐれも「何のために買うのか?」という点を冷静に考えてから行動を起こして下さいね。

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