Ashton AsokeとPark24を選ぶに当たって (その1)

前回のブログでAshton Asoke、Park24の1ベッドはプリセールと同じ様な価格で出ており買得である、といった内容の説明をしましたが、誤解を招くといけないと思い、今回はその補足をする事にしました。

 

過去ログ:賃貸投資物件の勝ち物件を補足せよ! も参考になるかと思います。

 

両プロジェクトで懸念が残るのは、賃貸投資物件としての有効性です。

 

どちらも立地は素晴らしいのですが、駐在員層の賃貸を狙うにはユニットが小さ過ぎるのです。

 

今年初めに完成した大型プロジェクトとして、プルンチットのNoble Ploenchitとソイ23(アソーク地区)のEdge Sukhumvit 23がありましたが、どちらの物件も賃貸は好調で、特にNoble Ploenchitはいいユニットが見つからない状況になったぐらいです。

 

※Noble Ploenchit

 

Noble Ploenchitの1ベッドは45〜60平米あり、最近の駅近物件としては余裕のある広さを確保しています。

 

片やEdge Sukhumvit 23には、31〜33平米と43平米前後の大小2タイプの1ベッドがあります。大きい方は客付け順調だったのですが、小さい方に関しては結構苦戦しました。弊社で販売したユニットもあったので、そちらはうまく丁度いい予算の人を見つけ難を逃れましたが、その後引き合いがあるのは大きいタイプの1ベッドばかりで、駐在員層の借りる最低限の広さを再認識した次第です。

 

※Edge Sukhumvit 23

 

元来バンコクのコンドミニアムは、1ベッド:60〜80平米、2ベッド:100〜200平米、3ベッド:150〜250平米と余裕の広さが一般的でしたが、2000年代に入りBTS、MRT駅近のコンドミニアムが売り出されると年々急速なダウンサイズ化が始まりました。勿論、土地の価格上昇、タイ人購買層を取り込む為のマーケティングが確たる理由として背景にあったのですが、そのスピードたるや一般的なタイ人の目にも驚くべき現象として映ったのではないでしょうか?

 

1999年12月5日にBTSが開通するまでは、バンコク市内に大量輸送機関はなく、市民の移動手段はバス、タクシー、トゥクトゥクのみが選択肢でした。800万人以上の都市人口を抱えるアジア有数の大都市で、当時はそんな状態だった事を今思うと改めてびっくりです。1990年初めからバンコクはひどい渋滞でその名を馳せていた大都市でしたが、それでもその当時は郊外で一軒家を持つのがタイ人の理想のイメージでした。

 

※1999年12月5日に開通したBTS

 

今でもその名残があるのか、弊社の社員においても1時間以上かけて通勤してくるタイ人社員は珍しくありません。とは言え、公共交通網が未熟な大都市ですので、それでも自宅まで遠いのかと言えばそうでも無かったりするのですが・・・。

 

都市インフラが未発達だった当時は、市街地で済むことのメリットがあまりなく、憧れのアーバンリビングなどといった発想はほとんど無かったと想像します。1990年代からコンドミニアムなどの集合住宅は少ないながらもありましたが、2000年代になって出現し始めたラグジュアリーコンドといった趣のあるものはほとんどありませんでした。

 

その頃は日本人駐在員にとってもコンドミニアム物件の選択肢は限られており、大多数はエクスパットへの賃貸に特化して建てられたサービスアパートや賃貸専用のアパート物件に住んでいました。余談ではありますが、その当時は日本人駐在員家族も満足のいく賃貸物件を見つけるのには苦労していました。

 

2004年になると新たに地下鉄(MRT)が開通。その後新路線や既存路線の大幅延伸が続き、市内の公共交通機関がどんどん拡充し現在もその状況は加速を続けています。駅周辺にはショッピングセンターやオフィスビルが立ち並び、タイの産業構造の変化と共に都市部への通勤者は増加の一途を辿ります。

 

かなりのダイジェスト版になりますが、上記の様な背景でバンコクの中心部、及び周辺部と郊外の駅を中心とした地域に多数のコンドミニアムが建築されてきました。都市部のインフラ拡充と共にタイ人の一戸建て土地神話的な意識の希薄化もそれに伴う形で進んできたわけです。

 

「なーんだ、日本と同じだね。」と言えば全くその通りで、日本のみならず、都市化とアーバンリビングの進化プロセスは大なり小なりこんな感じなのだろうと思います。前置がすっかり長くなり過ぎてしまいましたので、もっと知りたい人は、あとは専門家に聞いてください。

 

下図は、外資系不動産大手CBREが発表した、2017年第2四半期時点での「バンコクで完成したコンドミニアムのユニット数の推移」のグラフです。濃い緑の数が多い方が周辺部と郊外、黄緑の方が中心部となります。バンコクに詳しい人であれば知っているところでしょうが、中心部とは、スクムビット地区、シーロム/サトーン地区、ルンピニ地区が構成しているCBD(=City Business District)と呼ばれるエリアとなります。

 

※バンコクの完成ユニット数の推移(2017年第2四半期)出典:CBRE

 

グラフを見て、「2017年以降は減少だね。」と勘違いする人もいるかもしれませが、2017年以降は2017年第2四半期時点での予想数値であり、今後まだ伸びてくるわけです。2000年代に入り、完成ユニットは右肩上がりに大幅な上昇を続けてきました。

 

そして価格も前述の通り、土地価格の上昇を背景にやはり右肩上がりに推移しました。

 

※バンコク中心部のハイエンドコンドミニアム(未完成のプリセール・リセール)価格の推移(2017年第2四半期)出典:CBRE

 

このグラフにはCBDの中に川沿い地区を別にして数値を算出し、又その数値が最高値となっていますが、これはFour Seasons Residences、Icon Siam、Banyan Tree Residencesなどのトップエンドプロジェクトが数値を押し上げたのだろうと推察します。

 

ユニット数の増加、平米単価の増加と反比例する様に、ユニットの広さはダウンサイズされ続けてきた訳です。

 

ここでやっとPark24とAshton Asokeの1ベッドに言及する準備が整った訳ですが、すでに長くなりましたので、続きは次回と致します。いつも一度にゴールまで辿り着きたいと思って書き始めるのですが、予想を超えて長くなってしまうのが常であり、自分の要領の悪さを痛感します。ものをスパッと捨てられない性癖に起因しているのではないかと思っています。

 

次回は、駐在員などのエクスパットが賃貸物件をチョイスする際の思考プロセスにおいて、広さ、といった要因以外に、間取り、地の利などの要素がどの様に化学変化を与えるのか、そして上記の2つのプロジェクト毎の賃貸動向予想をできるだけ分かりやすく説明したいと思います。風呂敷広げすぎかな?

 

最後に今朝自宅の窓から撮影した写真を掲載します。これはバンコク市内の高速道路の状況で、スクムビット通り出口に向かう通勤車が大行列しているのが分かりますでしょうか?アーバンリビングに越したことはないですね?これでは・・・。

 

※高速出口での渋滞状況

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