プリセールから完成までのコンドミニアム価格の動き (その3)

 

前回のブログでも記しましたが、The Esse Singha Complex(ジ・エッセ・シン・コンプレックス)の支払いプランは、

予約金     10万バーツ(1ベッドルーム)、20万バーツ(2ベッドルーム)

7日以内     ユニット価格の15%

3ヶ月以内   ユニット価格の15%

完成後        残金

となっております。

 

この支払いプランが、人気物件のリセール市場の活性化に一役買っていると見て間違いありません。

 

このプロジェクトの完成引き渡しは2020年となっていますので、ファーストハンドプリセールで購入した人は、最初の3ヶ月ほどでユニット価格の30%+予約金を支払ってしまえば、後は完成までは支払いはありません。

 

その後、転売目的で買った購入者は、転売市場の動きをモニターしながら売出しの機会を待ちます。

 

そして、そこでは転売目的購入者の様々な思惑が交差します。

 

完成ギリギリまでゆっくり待ちキャピタルゲインをマックスにして売りたい、ある程度の利益目標を置きそこに到達した時点で売りたい等々です。

 

前者はハイリスクハイリターン型ギャンブラーといった感じですが、ラグジュアリーコンドミニアムを転売目的で購入する人は、残金を支払い登記する手元資金は十分に持ち合わせている富裕層ですので、「売れなかった登記所有し賃貸投資に回す。」は当初からプランの範囲内となっています。稀に手元資金もローンプランも用意していない自爆型インベスターもいるようですが、そのような損切りファイヤーセールを外国人がキャッチする事はほぼ不可能です。

 

一方、後者に属するのは計画性の高い不動産投資家に属し、無謀に欲をかくことはありません。ある程度の利益目標を達成すれば、手仕舞いをして次の投資に駒を進めます。

 

僕の個人的印象になりますが、タイの転売市場を見ていると前者が多いような気がします。大半のプロジェクトで、完成後でも登記期限を引っ張って転売を試みている人を多く目にします。かと言って、「これは掘り出し物じゃないの?」といったリセール物件もあまり目にする事も無いのですが…。

 

但し、登記所有する資金を持ち合わせている転売希望者でも、「どうしても転売したい。」という人は値下げに応じる場合も多いので、個々の取引ではそれなりに交渉が行われているものと推測します。

 

現在登記引き渡しが進行中のEdge Sukhumvit23(エッジ・スクムビット23)やNoble Ploenchit(ノーブル・プルンチット)といったプロジェクトも、4~5年前のファーストプリセール価格から20~40%程のキャピタルゲインゲインが乗せられて転売されています。

 

ファーストハンド価格で購入して希望価格で転売した人は大きなリターンを手にしています。

 

お客様にこういったリセール物件を仲介する際に気付くのは、必ずしもファーストハンドで購入した人から転売されておらず、2人目、多くなると3~4人目の購入者から転売を受ける場合も少なからずあるという事実です。

 

転売で購入した場合、必ずファーストハンドの購入者が締結したディベロッパーとの売買契約書、そして2人目に転売された際のファーストハンド購入者とセカンドハンド購入者の間で締結された売買契約書等が付帯されますので、勿論直ぐにわかります。

 

これを見ていると面白いのは、ファーストハンド購入者は先述した“後者”(計画的不動産投資家)で着実な利益を手にし、セカンドハンド購入者は“前者”(ハイリスクハイリターン型ギャンブラー)で登記直前になってあまり利益を手にする事なく転売しているケースや、セカンドハンド購入者が多く利益を得ているケース、予約直後に転売されたケース等々、様々なドラマを垣間見ることでできる点です。

 

そこにはプロジェクトの滑り出しの人気度、社会経済的背景、果ては世界的景気の流れ等々、様々な事が要因になっており、妙に納得して共感をおぼえたり、「これちょっと急ぎすぎじゃないの?」といった疑問を呈したりします。一つのコンドミニアムユニットの転売といったイベントの中に多様なストーリーが展開した事が見て取れて、不謹慎ながら「面白いなー。」と思ってしまいます。

 

尚、話は戻りますが、バンコクの大手ディベロッパーは通常転売手数料をチャージする事はありません。購入予定者がディベロッパーのリストでAさんからBさんに変更されるだけですので、自ら申告でもしない限り所得税やキャピタルゲイン税(タイでは無かったかな?)等もかかりません。タイ人で申告している人は先ずいないでしょうね~。

 

こういったシステムが、支払いプランと相まってコンドミニアムの転売市場を活性化している要因となっており、勿論ディベロッパーの思惑がそこに強く働いていることは言うまでもありません。

 

先述したコンドミニアムの支払いプランは、プロジェクトによって異なりますので、その点はご留意願います。

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