古き良き時代のバンコク不動産の面影

先週所有していたユニットの一つを売却しました。1998年に新築で購入し、ずっと賃貸に出していた物件です。ある理由で、一時的に自分で住んでいた頃もありました。
1998年と言えば、1997年に勃発した通貨危機による不景気がまだタイのみならず東南アジア全体に暗い影を落としていた頃となります。バンコクでは多くの会社が倒産、大手銀行の幾つかは外資を受け入れて立て直しを開始、街中のビル等は軒並み工事中断・・・、そんな状況でしたので、多くの不動産は投げ売り状態となっていました。
そんな頃、英字で書かれているBANGKOK POSTを開くと、「コンドミニアム40%ディスカウント」の広告が目に飛び込んで来ました。その頃はバンコクでマンションを買う、等ということは露ほども考えたことがなかったのですが、その思い切ったバーゲン情報に興味を抱き、翌日現地に足を運んでみました。
「どうせボロマンションだろう。」と全く期待していなかったのですが、見ると30階建てのタワーコンドでした。そして、額面通りのディスカウントプライス。即決で購入することにしました。
BTSが創業したのが1999年ですから、それよりも1年前の事です。自分は別のマンションに住んでいた為、自らの居住用には不必要でしたので、純然たる投資だったわけです。又、それが僕にとっての初めての不動産購入でもありました。
20、30代の僕は、香港、オーストラリア、シンガポールを転住していましたので、自分で不動産を買う等といったことは想像すらしていませんでした。事実、この物件を購入した後も数年に渡りタイを離れていました。
購入した物件のエリアはアソーク、間取りはあまり好きではありませんでしたが、新築だったのでとても綺麗でした。当たり前ですよね。
購入した際には、アソークがここまで発展するとは想像できませんでした。何しろ周囲の建築途中のビルは、ほぼ全てが工事を凍結し塩漬けになっていたいので無理もありません。近くにあったのは、シェラトン・グランデ、デルタ・グランド・パシフィック(現在のウエスティン・グランデ)等のホテルとロビンソンデパートぐらいだったと記憶しています。
賃貸に出すと間もなくテナントが決まり、その後はほぼ空くことはありませんでした。利回りは15%前後をキープし続けましたので、賃貸投資としては大成功を収めたわけです。現在バンコク中心部の利回りは平均5~6%ですので、何とも稼ぎのいい物件だったわけです。
そして、築20年程となり、「そろそろ潮時かな。」と感じ、簡単な補修をしてつい先月売りに出したところ、何と3日程で購入希望者が現れ売却成約となりました。これには僕も驚きました。
購入価格の2.5倍の値段で売れました。購入した頃は、1US$=40バーツ程だったと記憶しています。US$の原資で購入したので、為替差益も生みました。何とも大きな利益をもたらしてくれた物件だったわけです。
4月は登記費用が2%から0.01%になる値下げキャンペーンを政府が実施していたので、売却諸費用も抑えられました。
今回の売却を仲介したタイ人女性は70歳、元気マンマンの高齢者だったのですが、彼女も1995年にソイ39にある某コンドを新築で購入し、15%以上の利回りで今も賃貸をしていると教えてくれました。そして、売るつもりは全く無い、とも。
最近の平米単価20万バーツを超えるプロジェクトに興味があるか?と聞いたところ、「全くありません。そんなの買って、いくらで貸すの?」と不思議そうに僕の顔を見ていました。

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