タイのコンドミニアムの間取り(その4) 玄関に違いあり

玄関のお話をしたいと思います。
既にお馴染みとなったパークホームズ豊洲に再び登場してもらいます。
※パークホームズ豊洲間取図
豊洲パークホームズ
入口から入ると靴を脱ぐ玄関スペースがあり、下駄箱(古い呼称となったようで、シューズクローゼットが今風かな?)が設置されています。
今時の日本のマンションですと、天然大理石や人工大理石でできた上がり框が格調高くつくり込まれていたりします。
玄関を進むと直ぐ横に個室ストレージが設けられています。ベイビーカーやお父さんのゴルフセット、お子様の野球やサッカーの道具など、室内に持ち込む必要の無いものやスーツケースのようにたまにしか取り出さないものは多々あります。ですので、玄関収納がとても重宝する事は言うまでもありません。
そしてプライバシーの問題。玄関を入ると目の前は壁で、右折してホールに進むレイアウトになっています。勿論これは意図的に行われているデザインです。
日本の住宅に慣れている皆様にしてみれば、「そんなお当たり前じゃないか。何をのんびり書いているんだ?」と思われる事でしょう。
それでは、タイのコンドミニアムの間取図を見ることにします。わざわざ言及しているのかをご理解頂けると思います。
※タイのコンドの間取図1
バンコク間取図1
玄関ドアを開けるとそこはリビングダイニングエリアとなっています。上がり框等というものは無く、申し訳程度にシューズクローゼットが置かれているだけで玄関収納等は勿論ありません。床もリビングと変わらないフローリング製が普通です。
「小さいユニットだからそうなんじゃないの?」と思われる方もいるかも知れません。
それでは、コチラを見て下さい。現在建築中のハイクラスプロジェクトの2ベッドルームの間取図です。
※タイのコンドの間取図2
バンコク間取図2
やはり玄関スペースと言うものは無く、玄関を開ければリビングダイニングが視界に広がります。右手には小さなシューズクローゼットが置かれているだけで、左手はキッチンです。
収納という利便性以上にこのプライバシーの無さに憤りすら覚えてしまうのは僕だけでしょうか?
リビングから木のドア一枚隔てた向こうには共有廊下があるのです。勿論そこからの騒音はあまり遮られる事無く室内に届きます。
セキュリティ上の疑念も大きく残ります。
誰かが訪ねて来た時、建物内に入るにはセキュリティがありますので、知らない人がドアをノックする事はまずありませんが、何かの配達物が部屋に届くような際には、玄関ドアを開けると来訪者には全てがまる見えです。こうなると問題はプライバシーに止まらずセキュリティにまで及びます。
余談にはなりますが、タイでは日本のようにインターフォンは普及しておらず、自宅を訪ねて来た人を確認する事ができません。ですので、訪問者がロビーに着くと電話をしてきて、そこまで迎えに行かなければならず非常に不便です。宅配物が届く際にもロビーに取りに行くのが日常的な光景となっています。
上記から、玄関が無いタイのコンドミニアムでは、ストレージが確保されないという機能面、室内がまる見えになるプライバシーとセキュリティ面、更に言うと靴を脱がずにある程度中に入ってしまう為に起きる衛生面‥等で居住クオリティを大きく落としている事が明確です。
とは言え、タイ人はあまり気にしていない様子なので、これが改善される日はいつ来るのやら、と思ってしまうのです。

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