タイのコンドミニアムの間取り(その3) 浴室、トイレに違いあり②

引き続き、浴室とトイレに関するお話です。
タイ以外にも香港、シンガポール、オーストラリアに住んだ経験がありますが、いつも素朴に思うのは、何故個室トイレは無いのだろう?という点です。必ず洗面、シャワーと一緒になったバスルーム内に便器が置かれています。慣れれば確かにたいした事でも無いのですが、どうしても完全なプライベートリラクゼーション空間と感じることができません。
年に3~4回程は日本に帰国し自分のマンションで過ごすのですが、僕は日本のトイレの狭い空間が大好きです。鍵をかけて用事に及べば、家族の誰かが顔を洗いに来たり、シャワーを浴びに来たりという心配は勿論ありません。時間がかかるなと思ったら、雑誌やアイパッドを持ち込んでも問題ありません。そこは100%支配できる自分だけの聖域となるのです。
タイではそうは行きません。パタヤに住んでいる時は3人家族で3ベッド3バスのユニットなので問題ありませんが、バンコクでは2ベッド1バスなのでトイレに長居は禁物です。家内、又は息子が僕の用事の終了を待っている可能性があるからです。
とにかく、洗面やシャワーといった空間に排泄場所まで詰め込む発想が頂けません。僕は徹底したトイレ個室主義者なのです。そして、これには多くの日本人が共感を抱いてくれるものと思います。排泄に自由を!僕は声を大にして言いたい。
もう一つ言いたいのは、脱衣所に関して、です。日本では洗面所に洗濯機を設置するスペースが設けられており、脱衣所としてのスペースがあり、脱衣かごやタオル等をしまう収納設備が完備しているのが一般的です。
タイでは洗濯機は同じ水周りでもキッチンに設置している事が多く、狭い洗面所前のスペースで衣類を脱いだ後は、それらを洗面カウンターやトイレの上に置いたり、フックにかけたり、といった事をし、シャワーをして着替えの後にそれらをキッチンの洗濯機に放り込みに行ったりします。
※洗濯機inキッチン
洗濯機inキッチン
これは生活動線として如何なものか?と強く思います。
衣類を脱ぐ浴室前の脱衣所に洗濯機がある、が完璧な結論だと僕は信じて疑いません。WHY JAPANESE PEOPLE?というアメリカ人のコントをテレビで見ましたが、僕もWHY THAI PEOPLE?と叫びたくなるのです。
前回のブログで告知した通り、今回はタイのバスルームの種類と傾向を見ていく事にします。
元来亜熱帯気候のタイでは熱いお湯に浸かるという習慣が無い為、バスタブの無い浴室が一般的です。ですので、バスルーム内に洗面台とトイレが置かれ間仕切りされたシャワールームがある、という設定が一番多いかと思います。
※①洗面台とトイレ+シャワールーム
1シャワーのみ1
上の間取図のユニットでは、バスルームへはキッチンからアクセスする形になります。これとは違い、一般的にタイにおいては、1ペッドルームユニットの場合、寝室からアクセスするタイプの間取りが多く、来客がトイレを使いたいとなると寝室まで見せなくてはならなくなります。日本人的には寝室を見せるのはどうかな?と思うでしょう。
※②個室トイレ+洗面室+シャワールーム
2シャワーのみ2
上記の間取りでは、タイでは珍しい個室トイレが設定されています。しかもトイレは玄関ホールから、又、寝室より入る洗面室から、のマルチアクセスとなっており、非常に良く考えられたレイアウトだと思います。シャワールームは洗面室からのアクセスとなります。これは一般的ですね。この物件は約1年で完成予定の新しいコンドミニアムです。革新的進化が見てとれます。
※③個室トイレ、洗面室+シャワールーム、洗面&トイレ室+シャワールーム
3個室トイレ
上は2ベッドルーム2バスルームの間取りで、ホールからアクセスする完全な個室トイレが設けられています。主寝室からアクセスするバスルームには、洗面所&トイレ室とシャワールームが設けられており、副寝室からアクセスするバスルームには洗面室とシャワールームが完備。これは2年程で完成予定のやはり新規プロジェクトで、更なる進化が見てとれます。
※④洗面所&トイレ&バスタブ室+シャワールーム、洗面所&トイレ室+シャワールーム
4バスタブ+独立シャワー
主寝室からアクセスするバスルームには洗面所とトイレとバスタブがあり、その中にガラスで間仕切りされたシャワールームが設けられています。築深のコンドでバスタブがある場合は、バスタブの上にシャワーユニットが設置され、カーテンを引いてバスタブの中に立ってシャワータイムとなるのが一般的ですが、水が飛び散って床が濡れる、シャワーカーテンにカビが生える、又見た目が安っぽい等の問題があり、その不満への解答としてこのスタイルが生まれました。但し、スペースをより大きくとる、バスとシャワーを併用できない、といった問題が残りました。
※⑤洗面所&トイレ室+シャワー&バスタブルーム、洗面所&トイレ室+シャワールーム
5洗い場+バスタブ
そんな論争に終止符を打つべく登場したのが上のスタイルです。バスルーム内のガラスで間仕切りした室内に、洗い場のあるシャワースペースとバスタブが設けられています。個室トイレで無いところは頂けませんが、浴室スペースの作り方としてはこれがベストかと思います。湯船につかり、そして身体を洗ったりシャンプーをしたりする際には横の洗い場でじゃぶじゃぶシャワーを浴びることができます。つまり日本式ですね。
写真で見ると次のようになります。(2枚に分けています。)
※洗面所&トイレ室+シャワー&バスタブルーム1
bathroom1
※洗面所&トイレ室+シャワー&バスタブルーム2
bathroom2
個室トイレ化、洗い場付きバスタブ付きスペース化が進化過程で生まれるという事は、最終ゴールは日本スタイルという事になるかと思います。
主寝室からアクセスするバスルーム、といった発想は根強く残っているようですが、タイのコンドミニアムもダウンサイズ化が進むに連れ、それを放棄する日が来るかもしれない、と予想するのは僕だけでしょうか?

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